合衆国政府助成(1940-1945)のもとに行われた原子力の軍事目的利用開発の概要
1945年
ヘンリー・スマイス(1898-)
 ベクレルの放射能発見に始まる原子物理学の展開は、1938年のハーンとマイトナー、ストラスマンによるウラン核分裂による原子エネルギー、アインシュタインの計算したE=mc2 のエネルギーの解放によって、全く新しい局面に入りました。これによって、人類が限りないエネルギーを手にする可能性が生まれる一方で、そのエネルギーを兵器として用いる可能性も生まれたのです。そうして、その双方の実現可能性がはっきりしてきたのは、不幸にも世界が戦争をしている最中だったのです。アインシュタインはナチスに逐われてアメリカ亡命後、説得されて当時のルーズベルト大統領に戦争終結のため核爆弾製造計画の実施を要請しました。これを受けて、オッペンハイマーのもとにテラー他の核物理学者が4000人も集められて、政府の資金供給のもとで、マンハッタン計画と呼ばれる原爆開発の巨大プログラムが、ニューメキシコ州、ロス・アラモスで始動したのでした。その結果は、1945年8月に広島、長崎へ投下された原爆の爆発となってあらわれたのです。本書は所期の目的を達成した事を確認した上で書かれた、核爆弾開発の政府の公式報告書です。