温度についての実験
1724年
ダニエル・ガブルエル・ファーレンハイト(1686-1736)
 ファーレンハイトは気象関係の計器の製作に成功をおさめた人であり、温度計の改良を志して、温度測定について広汎な研究をした人でもあります。1714年にはアルコールの代りに水銀を用いて、温度の正確な測定と、水の沸点以上の、また、氷点以下の温度測定をするというこの方面での新生面を開きました。ファーレンハイトは、水の正確な沸点と氷点を付けた新しい温度計を考案し、現在でも用いられている温度測定の正確なやり方を確立したのでした。
 本書はファーレンハイトが水銀温度計の作り方について述べた初めてのもので、特に注目すべきは水以外の他の液体も一定の沸点を持つことを発見したことです。そして、その温度計で求めた数種の液体の沸点を記しています。  ファーレンハイトのこの論文中で最も重要なところは、温度計を作るに際して用いた温度の三つの固定点について、短い説明を加えたところです。これは現在の沸騰封入式温度計の製造技術そのものであり、水の過冷却現象の発見につながるものでありました。"