スペース・シャトル チャレンジャー号の事故に関する大統領調査委員会報告
1986年
合衆国大統領調査委員会
 アポロ計画を受け継いだ宇宙空間と地球の間を往復するスペースシャトルプログラムは、大成功を収め、安全性の高い宇宙ロケットとして、日常的に一般市民が宇宙見物に出かけられるのもそう遠くはないと考えられていました。
 ところが、1986年1月28日、スペースシャトル・チャレンジャー号が、発射直後に爆発し、宇宙飛行士七人が全員犠牲になり、全世界にショックを与えたのです。早速、大統領直命の調査委員会が設置されて、詳細な原因調査が行われました。その結果、明らかになった事は、技術が巨大化すればする程、その技術をコントロールしなければならない人間の組織も巨大化し、その中で個々人の責任が次第に不明確となって行くということと、技術と組織の両面において、全体を把握するのが徐々に困難になるという事でした。その不明確さの中で、小さな設計ミスや小さな無責任が積み重なり、度々行われた警告も無視されてこの大きな悲劇を招いたのです。チャレンジャー事故は技術的な欠陥が致命的というのではなくて、巨大技術に対する時にあらわれる人間の欠陥が致命的だったと言うべきでしょう。これは、将来の技術発展と人間との関係に対する警告とも言える報告書です。