電話の研究
1877年
アレクサンダー・グラハム・ベル(1847-1922)
 ベルはスコットランド生まれで、父は聾唖者に発声法を教える専門家でした。彼も父の仕事をついで発声法の研究をし、同じ様に唖者に発声を教えていましたが、1870年に家族全部がカナダへ移住し、ベル自身は1871年にアメリカへ移住し、1873年にボストン大学の発声生理学の教授となりました。この頃彼はヘルムホルツの音響理論に触れ、機械的に音声を再現する事に興味を持ち始めました。ベルの着想は音の変化が電流の変化に変換でき、またその逆を行う事が出来れば、電流を用いて光の速度で会話を電線を通じて伝達できるというものでした。
 1876年3月、ベルは初めて音声を彼がいうところの「波状電流」に変え、この電流を受話器の側でちゃんと聴き分けられる音声に再生することに成功したのです。最初の電話により伝達されたメッセージは、ベルが助手を呼ぶ「ワトスン君ちょっと来てくれ」というものでありました。ベルは電話機を作った最初の人ではありませんが、実質的に電話機を発明した人となったのです。電話機は、後にジーメンスやエジソンが炭素粒を用いた、より再生能力の高い送・受話機を持つものに改良し、急速に全世界に普及したのでした。