取組みの概要

「人間形成」と「産学協同」の有機的な連携から、学生の就業力をさらに向上させるキャンパスづくりを。

ここ数年、とくにリーマンショックに見舞われて以来、企業の新卒採用人数の減少に加えて質重視の厳選採用の傾向が強まっています。また、採用の内定を得られないまま卒業を迎える学生の急増が大きな社会問題となりマスコミを賑わせてもいます。これらのことは単に経済状況の悪化にのみ原因があるのではなく、学生たちに一定の就業力が身に付いていないことに加えて、大学教育の質の保証という問題をも指摘されています。

金沢工業大学(以下、本学)においても、教育課程内外の学習や活動が必ずしも就業力の向上に結び付いているとはいえず、たんなる娯楽や趣味の域を脱せずにいる学生も少なからずいるのは確かです。また、近年の就職状況においても早期に複数の会社から採用内定を得る学生がいる一方、10数社に応募してもなかなか内定を得られない学生もおり、就職活動の長期化が修学に影響を及ぼしています。さらに大学卒業者の約3割が、就職3年以内に離職するといわれている問題に対して、本学の現状はどうであるか十分な調査が定期的に実施できているわけではなく、加えてその要因の特定と十分な対策が展開できていないことも事実です。

今後、これらの背景をふまえ現状を分析しながら、本学がこれまでに展開してきたキャリア教育を含めた人間形成に関する教育課程内外の各種の取組みの成果を、就業力育成という観点から把握する仕組みを構築していきます。また、その効果を検証し改善することに加えて、様々な支援体制も含めて有機的な連携を図った「就業力育成キャンパスの形成」に取組むのが本プログラムの使命に他なりません。

具体的に展開する5つのテーマ

これらのプログラムを着実に実施し成果をあげるとともに、本学の「人間形成」に向けた取組みと「産学協同」に向けた取組みを有機的に連携し、学生の就業力の向上を図るキャンパスの形成を目指します。

取組みによる5年後の達成目標

5つのテーマを実践することによる5年後の達成目標として、次のようなゴールイメージを描いています。

  • 本学が実践する就業力育成のための教育課程内ならびに教育課程外のプログラムが、卒業生と就職先企業とのトータルな連携体制によって、いつも改善が図られるようになっていること。そのうえで、学生一人ひとりのキャリア像に連動した、確かで新たな教育プログラムを提供できること。
  • 再構築されたキャリア・ポートフォリオを含む教育プログラムを、学生自身が積極的に活用することによって、それぞれ自分が思い描くキャリア像と企業が求める人材像との両面を照らし合わせながら、具体的な就業力をイメージできる能力を身につけること。そして、その就業力の獲得のために、目標にそったキャリア教育に自発的に取組むこと。

このような、キャリア教育環境と学生の活動を実現し、全学的に展開される教育課程内外の学習や活動を、自らの就業力の向上に積極的に結びつける学生を育成します。