第5回 空から見た世界遺産と自分自身

【学びのポイント3】 気球に乗せたカメラから、自分自身を撮影してみよう!

いよいよ、気球を使った実験に入ります。講義では遠く離れたところから、物にふれずにその大きさや様子を調べる技術「リモートセンシング」について学びましたね。今から皆さんが行う実験もリモートセンシングのひとつです。実験内容はカメラを乗せた気球を飛ばし、上空(離れた場所)から自分自身を撮影し、撮影写真と写真測量の技術を使ってみんなの身長を測るというものです。

それでは1人ずつポイントが付いた帽子をかぶって、撮影を行いましょう。

実験の時間

カメラを乗せた気球を飛ばして、上空から記念撮影!

学生「午後からは気球を使った実験をします。気球を上にあげますので、みんな前に出てきてください」

キッズ「はーい」

学生「このボックスの中にカメラが乗っています。上にあげますよ」

学生「気球が膨らんで上空へと浮かびましたね。それでは順番に写真撮影を始めます。1人2ポーズを撮影します。1ポーズ目はこの白いポイントが付いた帽子を被り、正面を向いたまま撮影します。上のカメラに白いポイントが写るようにしてください。2ポーズ目は帽子をとって、上空のカメラに向かって自由にポーズをとってください」

学生「カメラは前じゃなくて、上空にあることを忘れないでね。1ポーズ目は上空の違う位置から2枚撮影しています」

キッズ「1ポーズ目は前を向いて」

キッズ「2ポーズ目は上に向かってポーズ」

学生「みんな、ポーズがおとなしいな。2ポーズ目はもっと動きをつけたほうがおもしろい写真が撮影できるよ」

キッズ「じゃあ、寝っころがろう」

学生「いいですね~。おもしろい写真が撮れるよ」

【学びのポイント4】 上空から撮影した写真を使って、自分の身長を測ってみよう。

気球のカメラから撮影した写真を使って、みんなの身長を測ってみましょう。ここでは以前にも勉強した写真測量の技術を使います。上空の2方向から撮影した2枚の写真をパソコンに取り込みます。2枚の写真に写り込んだ白いポイントのデータを解析し、図形の相似の関係を応用させることで身長を測ることができます。

お兄さんと一緒に、専用ソフトを使って2枚の写真に写ったポイントを解析してみましょう。

講義の時間

撮影した写真をパソコンに取り込み、写真測量を体験しよう

学生「撮影おつかれさまでした!みんなのパソコンにそれぞれの写真のデータを取り込みましたので確認してください。上空から撮影した2枚の写真を使って、皆さんの身長を測ります」

学生写真測量とは、違う位置から同じ物を撮影した2枚の写真を使用して、その物の高さや長さを測る方法です。目を片方ずつつぶって物を見ると、右目と左目で見える位置が変わりますね。これを視差といいます。この視差を利用すれば、実際の物の大きさを測ることができるんです」

学生「先ほど上空から撮影した2枚の写真を見てください。'写真の真ん中から帽子のポイントまでの距離の合計'と'写真に映った自分自身の長さの合計'の比率を計算します。相似な三角形に置き換えて、算出した比率を使えば、不明な一辺を求めることができます。つまり、上空のカメラから地面までの距離がわかれば、自分自身の身長がわかるはずです。ちょっと難しいかな」

学生「難しい計算は専用ソフトImage Masterが自動でやってくれるので、お兄さんに聞きながら、写真に映った白いポイントのデータを解析してください」

キッズ「難しいよ~。お兄さん、教えてください」

学生「2枚の写真に映った白いポイントをチェックして、計測ボタンを押ししてね。最後に自分の身長が算出されるよ」

キッズ「ぼく140㎝だけど、110㎝になっちゃった」

学生「どうですか?写真を撮影する時の光の加減などで誤差がでる場合があります」

学生「2ポーズ目に撮影した写真は自分のイメージどおり写っていますか?写真は2枚とも記念に持って帰って下さいね」

学生「少し時間があまったので、アナグリフで作成した3D画像を見てみましょう。赤青メガネで画面を見ると、画像が飛び出してくるように見えます」

写真測量
空中写真や地上写真を元に、対象物の大きさや形状を測定する方法のことです。
相似
2つの図形のうち一方を拡大もしくは縮小した時、もう一方に重なる時、2つの図形は相似であるといいます。