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地上型レーザの基本特性に関するワーキンググループ


レーザに関する基礎的な特性を検討する研究活動を行っています。

(1)地上型レーザ(BLK360)および消波ブロック模型を用いた実験

レーザスキャナの弱点の追及および点群データの特性について、屋内で消波ブロック模型を用いたモデル実験を実施した。観測対象物の全体形状を観測するため、対象物を3点から計測した。2m間隔の三角形の頂点に測点を設置し、中心に消波ブロック模型を地上から60cm の位置に吊るした。なお、ここでいう弱点とは観測時に、対象物のエッジ部の欠損や穴が空いている箇所(以下、穴抜け)での点群取得が困難であることを指す。

  • 実験場所
    金沢工業大学 扇が丘キャンパス 3号館内
  • 実験時期
    令和3年9月から12月
  • 実験内容  
     ・可能な限り実験条件を統一するため実験は屋内環境下で実施し、10種類の消波ブロック模型を使用した。各模型について2回ずつ点群データを取得した。
     
     ・点群データより平均反射率および点群数を算出した。本報告では、エッジ数、穴抜け数等の要素に対する平均反射率及び点群数との関係性について報告する。
  • 使用模型
    図1 使用模型一覧(全10種類)
  • 使用機器
    ・LeicaBLK360
    図2 左図、中央図:BLK360、右図:扇が丘キャンパス内での実験の様子(令和3年9月)

(2)実験結果

実験結果から、模型の表面積が大きいほど平均反射率および点群数は大きい傾向にあり、模型のエッジ数には依存せず、平均反射率及び点群数は上下に変動していた。また、穴抜けを有している模型ほど平均反射率及び点群数が大きい傾向にある結果となった。さらに、模型の形状を独自で分類し比較を行った。ツリー型の2種類や丸み型、錐型の一部の模型は平均反射率が大きく、丸み型と錐型の中でもイグルーとペンタコンは平均反射率が小さい結果がみられた。

前述した実験結果の傾向に反し、ドロスとトリバーの2種類を代表にその他の一部の模型で傾向がみられなかった。主にドロスとトリバーは、消波ブロックⅠ型及びⅢ型同様に平均反射率が大きい数値を示していた。この4種類の模型の共通点は、色の明度が高い部類であることであり、色の明度が原因として考えられた。そのため、「高明度の白色、中明度の灰色、低明度の濃い灰色」の3色に明度分類し、新たに実験を行なった。図3に明度に関する結果を示す。

図3 色の明度別の平均反射率及び点群数

実験より、高明度の模型ほど平均反射率及び点群数は大きく、どの明度も各模型の平均反射率の数値は近似している傾向がみられた。また、高明度と中明度の対象物で得られる点群数は同等の数値であり、表面積が大きいほど点群数も多い結果となった。しかし、高明度と中明度の平均反射率の差は、約34%以上と大きな差がみられた。

これらの結果から、今回のような3点からの観測において、レーザスキャナで取得される点群データは、対象物の表面積やエッジ数、穴抜け数、形状といった様々な要素より色の明度に大きく依存する傾向にあることが判明した。

(3) 測量結果をディスプレイ表示する際の色彩表現に関する研究

最新のレーザスキャナにおいては、点群を取得する際にその対象点の「色」もカメラで撮影して、測量結果を表示する際に色彩のついた3次元表示を可能としている。しかしながら、「色」のカメラによる撮影もディスプレイによる表示も、R(赤)G(緑)B(青)の3原色の要素のみを使って記録・再現をされるため、色の再現性(実物と同じ色に見えるか)には個人差が生じる。以前は、色の見え方について、人間を「正常な人」と「色覚異常者」とに2分していたが、昨今では色覚はヒトによってバラつきが大きく、3種類の視覚細胞の光吸収スペクトルが千差万別であることが知られるようになってきている(図4)。しかしながら、現在のディスプレイの色彩表現の規格のベースとなっている「XYZ 色度図」と呼ばれる色彩を数値化する手法は、1950年代に測定された「標準的なヒト」の色覚を基準に作成されており、千差万別の色覚をもつヒトに対応できるものではない。本研究では、このような状況を鑑み、誰にとっても再現性の良い色表示をするための手法を調査・考察した。その結果、ディスプレイで用いる3原色の光源のスペクトル幅を狭くすると、ヒトにより見え方が大きく変わってしまうことがわかった。しかしながら、現代はディスプレイに色の鮮やかさを追求しており、最新のディスプレイ規格では3原色の光源は単色光源(レーザ)であることが条件となっており、ヒトによる見え方の個人差は最大化されてしまっている。現代社会が追及する色の鮮やかさとヒトの色覚多様性への配慮を両立させるには、3原色をベースとする色の記録・再生ではなく、実際のスペクトルをなるべく正しく記録・再現する「多原色方式」を用いるしかないとの結論に達した。このような色の記録は、すでに植生分布を調べる航空写真撮影などにおいて使われており、ディスプレイ側で多色の光源を用意すれば、色の再生についても実現可能である。ただし、1画面の情報量は膨大になるため、さらなる情報処理・通信技術の発展も不可欠である。

図4 1000人の被験者で測定したXYZ 等色関数をすべて重ねたもの。ヒトによる個人差が大きいため線が太くなっている。(Y. Asano, “Individual colorimetric observers for personalized colorimaging” Ph.D. thesis, (Rochester Institute of Technology, 2015))よりデータを引用。

連携企業・団体


  • 株式会社 日本海コンサルタント
  • 株式会社 上智
  • 金井度量衡株式会社
  • 株式会社国土開発センター
  • 株式会社新日本コンサルタント

参加学生


  • 環境土木工学科4年生1名
  • 電気電子工学科4年生1名

担当教員


工学部 環境土木工学科

教授・工学博士

鹿田 正昭

Shikada, Masaaki

山口 敦史 教授

工学部 電気電子工学科

教授・理学博士

山口 敦史

Yamaguchi, Atsushi