平成25年度「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」採択 地域志向「教育改革」による人材育成イノベーションの実践

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お知らせ(平成26年度)

Design for the Communityが野々市市に英語版パンフレット寄贈
~家庭ゴミ分別表、スポーツガイドののいち、 コミュニティバスのっティ時刻表~

2015.02.21

受贈式後、粟野々市市長と対話する学生

 金沢工業大学学生プロジェクトチームDesign for the Community が野々市市発行のパンフレットの英語版を作成した。作成した3種類のパンフレットは、それぞれ300部ずつ印刷し、2月27日(金)に野々市市役所で行われた受贈式で粟貴章野々市市長に寄贈した。 プロジェクトでは、デザイン思考の方法を用い、野々市市在住外国人を対象に、市が市民向けに提供しているサ ービスに対するニーズ調査を実施し、市の取り組みとニーズの間のギャップを探り、問題発見および解決方法を検討した。調査では、まず、在住外国人に英語でインタビューを実施した。ニーズ調査と分析に基づき、在住外国人が野々市市で更に住みやすくなる情報を提供するため、「野々市市コミュニティバスのっティ時刻表」と「スポーツガイドののいち」の英語版を作成し、昨年度金沢工業大学の学生チームが作成した「家庭ゴミ分別表」を改良した。

◆プロジェクトの内容

 デザイン思考とは、モノではなく、ヒト中心(human centered)のアプローチであり、デザイナーではない人々がデザイナーの発想法を幅広い分野に適用し問題解決をする方法である。プロジェクトではこの方法を用いることにより在住外国人が日本に住む上でどんな問題に直面しているか、また何を必要としているかを探り、解決策を導き出した。 チームは、まず野々市市から提供されている現状のサービスについて住民の視点から観察するため、市役所、保健センター、図書館を視察した。各施設で貼付されているポスターや設置されているパンフレットを集め、必要に応じて各施設の所員に質問を行い、情報を収集した。

 これらの情報をカテゴリー別に分け共感マップ(Affinity Map)を作成した。次にこのマップを基にインタビューの質問を抽出した。


野々市市在住の外国人にインタビューする学生

 次に、グループに分かれ、野々市市在住外国人15人にインタビューを実施した。インタビューは、本学英語教育課程の教員やその家族、レストラン経営者、コンビニエンスストア経営者の方々に協力していただいた。インタビューでは、それぞれの生活スタイル、必要としている情報がどんなものかを聞き取り調査した。集まった情報は市の提供している情報に基づきカテゴリー別に分け共感マップ(Affinity Map)を作成した。共感マップから、現状のサービスについての認知度や浸透度を分析、課題を抽出し、問題定義(Define Problem)を行った。その結果、大きく2つの問題が見つかったので、2つのグループに分かれてそれぞれ解決方法を検討した。

 問題①は交通手段に関するものであった。インタビューした住民の中には自動車を所持していない世帯が半数近くあった。「買い物はたいてい自転車で行くが、冬は天候が悪いので不便だ」といった回答も得た。のっティのバス停がすぐ近くにあることに気がついていなかったという返答を得たことから、バスの時刻表、ルート地図などの英語版を作成することがこれらの問題の解決につながると考えた。

 問題②はスポーツ施設に関する情報の欠如である。「運動好きなのでプールなどのスポーツ施設を使用したいが、どこに行ったらいいのかわからない」といった回答を複数得た。野々市市が発行しているスポーツガイドには、全てのスポーツ施設についての情報が掲載されているが、日本語版のみであり日本語が読めない住民に情報が届いてないことがわかった。

 プロトタイプの作成では、野々市市役所からパンフレットのデータ提供を受け、英語版作成に取り組んだ。英語版作成作業では、日本語版のパンフレットをそのまま英語にするのではなく、日本語がわからない住民にとって生活に役立つ情報をより詳細に記載するようにした。例えば、のっティの案内マップの日本語版には商業施設の名前のみが記載されているが、英語版にはsupermarketと追記し、それぞれの建物がランドマークとして使えるように気を配った。

 反対に、スポーツガイドには地元のサークル、クラブ活動代表者の連絡先が記載されていたが、日本語対応のみのため取り除くことにした。これらは何度もディスカッションし、野々市市の担当者とも相談して最終的に決定した。同時に昨年度作成した「家庭ゴミ分別表」の英語版の改訂についても野々市市の担当者と打合せをし、持続して使えるパンフレットにするためカレンダー部分を改良した。

◆プロジェクトの成果

 本プロジェクトでは、在住外国人へのインタビューを実施したことにより、行政情報についてのニーズと課題を発見し、それに対しての解決策に取り組むことができた。また、野々市市役所の担当者と意見交換をし、英語教育課程の教員からのアドバイスを受けるなど、様々な人々との協働作業(Collaborative work)を行うことができた。また、平成25年度に本学の学生と留学生、および野々市市役所との協働作業で作成した家庭ゴミ分別表の英語版の改訂も進められた。これら3種類のパンフレットは、野々市市役所や主要施設の窓口で配布するほか、市のホームページからダウンロードできる。これらの活動により、在住外国人は行政サービスがより受けやすくなり、外国人にとって住みやすいまちづくり活動の一端が担えたと言える。


学生が作成したポスター

 

「2014大学・地域アクティブフォーラム」で 優秀ポスター賞受賞

前述のプロジェクトは、一般社団法人大学コンソーシアム石川平成26年度地域貢献型学生プロジェクト推進事業の採択を受け実施した。平成27年2月21日(土)金沢市東急ホテルで「2014大学・地域アクティブフォーラム」が一般社団法人大学コンソーシアム石川主催で行われ、県内の地域連携活動を行った学生団体が集まり成果報告を行った。

 このフォーラムで、金沢工業大学学生プロジェクトチームDesign for the Community が野々市市発行パンフレットの英語版作成の成果報告を行い、優秀ポスター賞に選ばれ、一般社団法人大学コンソーシアム石川の山崎光悦会長から表彰を受けた。

◆Design for the Communityメンバー:学生8人
柳町卓実(3EE)、島崎 樹(2EA)、野田凌平(2EA) 、
安部駿汰(2EA)、立松悦朝(2EA)、依田浩平(1BC) 、
三井雅貴(1BC)、西部光平(1ER)
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◆指導教員:(英語教育課程):教員5人
藤井 清美 准教授(指導責任者)、ブレント・ライト 講師 、
ステファニー・レイノルズ 講師、井ノ口 悦子 講師、
アンドリュー・ガーガリー講師

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