平成25年度「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」採択 地域志向「教育改革」による人材育成イノベーションの実践

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お知らせ(平成26年度)

KIT サイエンス シティ プロジェクト
金大附属高校へ出前授業

2014.01.31
電流・電圧の測り方を見て回る学生たち

 金沢工業大学(以下、本学)数理工教育研究センター教職員6人(代表者:青木克比古)の申請した「KITサイエンス・シティ・プロジェクト」が平成26年度のCOC事業に採択された。このプロジェクトは、地域の生徒に科学の興味・関心をもてるように地域貢献することや本学学生の科学教育力向上のため、高校への出前授業を以下のとおり実施した。

日 時 平成27年1月31日(土)9:45~11:35
場 所 金沢大学附属高等学校(以下、金大附属高校)の物理実験室
対象生徒 金大附属高校理科系2年生2クラス (合計83人)
本学学生 理科教育法Ⅱの履修生2人、数理考房・物理プロジェクト3人
授業内容 「乾電池の起電力と内部抵抗の測定」の実験
与えられた1.5Vの乾電池に流れる電流とその端子電圧を測定し、横軸を電流、縦軸を電圧とするグラフを描いて、直線と縦軸の交点から電池の起電力を求め、直線の傾きから電池の内部抵抗を求める。 
出席教員 [金大附属高校]
渡會兼也教諭(物理担当)、風間重利副校長が2時限に参加。
生物担当の教諭1人が3時限に見学。
[本学]
田中忠芳准教授(説明)、筆者(三嶋)と西岡圭太講師(指導補助)、青木克比古数理工教育研究センター所長(オブザーバー) 

 授業の最初に、渡會教諭が、実験を説明する田中准教授と、他3人の教員を紹介したあと、本学学生5人が実験指導をすることを紹介、5人は順番に自己紹介をした。 その後、田中准教授は「今日は電池のはたらきを学びます。電池のはたらきは何でしょうか」と生徒に発問したところ「電位差をつくる」「回路をつなぐと電流を流す」との解答があった。「回路に電流を流すと、それを妨げるはたらきもある。電池の中で何かが起こっている。電流と電圧を測って調べてみよう」と求め、回路のつくり方、電流・電圧の測り方の諸注意をした。そのあと生徒は2人~3人が1組になり回路を組み始めた。

 その後教員が巡視していると「電流が流れません」と質問する生徒に「電池の+極と電流計の+極をつないでいるか」と聞くと「電池の+極と電流計の-極をつないでいました。逆でした」と言って組み直していた。また、電流計の針を斜めから見ている人には「電流計は真正面から針を見るように」とアドバイスを与えるなど基本から教授した。本学学生も生徒たちを見回り、実験が終わった人には「スイッチを切っておくこと」。また、グラフを描く際、目盛の取り方が不適切な生徒には、目盛の取り方のアドバイスなどを与えていた。アドバイスを受けた生徒は納得し、素早く対応していた。

 以下に、金大附属高校生徒83人が答えたアンケートの結果について述べる。

①「学生の対応はよかったですか」
a.とてもよかった  49.4%   b.よかった  41.0%
c.あまりよくなかった 7.2%    d.よくなかった 1.2%
無回答 1.2%

②「今日の授業は有意義でしたか」
a.とても有意義だった 31.3%   b.有意義だった 61.4%
c.あまり有意義でなかった 7.2% d.有意義でなかった 0%

③良かった点
・最近は、実験を物理や化学の時間にすることが少なくなってきたので、自分たちで回路を組み抵抗を変えたりして実験を進めることで「実験をしている」という実感があった。
・実験が面白く、先生や学生達の教え方が上手だった。
・説明だけではピンとこない事も実験してみると、グラフを描いたりすることで分かることがあった。グラフの描き方さえも知らなかったので、学生の方に色々教えてもらえた。

④改善した方がいいと思われた点
・もう少し器具の使い方の細かい説明があった方が、分かりやすかったと思う。
・コンデンサーも授業でとりあげてほしかった。最後にまとめみたいなものがほしかった。
・時間がぎりぎりだったのでもう少し余裕があった方がいいと思う。

⑤その他
・また機会があればしてみたいです。ありがとうございます。 
・本当に楽しめました。点をグラフ上にうって直線にならんだ時はうれしかったです
・回路を組んだ経験があまりなかったのですが楽しかったです。また挑戦したいです。
・また来ていただきたいです。

 

 次に、本学学生5人が答えたアンケートの結果を紹介する。

・身に付いたと思うことは「コミュニケーション能力(対話)」を5人が選んだ。「身に付けたいと思うことは「教える力・伝える力(解説・説明)」を4人が選んだ。

・「生徒に教えることの難しさを知った。全てを教えないようにどこまで言うべきなのか判断することが難しかった。そのことを学べてよかった」「どのようにしたら生徒に考えさせる力を身につけさせるかということについて考えさせられた」「高校生に分かりやすく教えることが身についた。高校生に教えるとき、高校生が持っている基礎知識に合わせて教えなければ高校生が理解できないことを学んだ」などの意見があった。

 

◆むすび

 本センターとして、学生も指導に加わる初めての出前授業であり、本学生が金大附属高校生に対してうまく指導できるであろうかと危惧する声もあった。もう少し丁寧にまんべんなく見回るなどの改善点はあったが、生徒さんから「学生さんの教え方が上手だった」と褒めて頂き、しかも「また来ていただきたい」との言葉も頂戴しました。本学生にとっても貴重な体験となったようである。渡會先生にお礼と今後の連携をよろしくお願いしますと述べて、校舎を後にした。

 この出前授業が、概ねよかったことを踏まえ、本学学生にも、授業に今日のような実験をぜひ取り入れた方がよいという意見が出た。アクティブ・ラーニングを更に展開していく上にもぜひそのように願う次第である。

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