平成23年度より、学生自らがこれまでの学習成果を振り返り、第三者(主に企業)に対して自らの成長をPRするステークホルダー交流会を開催している。
これは、本学の教育研究実践の成果を「学生自身の成長」と捉え、その成果をステークホルダーに対して分かりやすく伝えることで、社会から信頼される大学を目指すと同時に、ステークホルダーからのフィードバックによる学生の学習意欲の喚起、さらには教育研究実践の改善・改革を目指すものである。
今年度は平成26年11月13日(木)対象:機械系、電気系、バイオ・化学系~14日(金)対象:情報工学系、情報フロンティア系、建築系、環境土木系の2日間にかけて開催され、約50名の学生が、270名の参加者に対して自己PRを行った。
交流会において自己PRした学生は、事前の自己PR講座を受講し、担当職員との個別面談を繰り返し行っている。学生は、自分の中に明確な目的をセットすることの重要性や、成長するためには自らが厳しい選択をすることが求められることなどを理解したうえで、これまで自身が経験してきた様々な苦労や成功体験、さらには自身が掲げるビジョンに向けた明確な目標から、それぞれの成長ストーリーが立案された。
ステークホルダー交流会当日、各学科の代表として選ばれた学生は、アントレプレナーズラボのイノベーションホールにおいて、プレゼンテーションを行い、すべての学生が、ポスターセッションを通じて、自身の自己PRを行った。
入学後、意欲的に地域社会との連携による学習機会や短期留学等に取り組むものの、達成感を味わうことができない中で、自らが何のために学んでいるのかを自問自答する中、明確な目的をセットすることの重要性に気付き、大学院進学を決断するといったストーリー。また、指導担当教員の前職における実績を聞き、自らが掲げたキャリア像を達成するためには、「その教員から認められること」と具体的な目標を定めて必死に学んでいるといったストーリーなど、学生が繰り広げるプレゼンテーションは会場に訪れたステークホルダーを魅了していた。
ポスターセッションでは、学生の前に訪れた企業の方々が長蛇の列を作るほどの成長振りで、学生一人ひとりに対し様々なアドバイスが寄せられていた。
ステークホルダー交流会に参画する方々は年々増加している。とりわけ、訪れる企業の方々にとっては、学生の真の成長の姿を直接確認することができることが魅力となっている。教育付加価値日本一を目指す本学にとって、学生の成長こそが最も重要な指標であり、その学生の成長をいかにわかりやすく的確に社会に伝えることができるかを追求しなければならない。また、学生に対して、「自ら考え行動する技術者」として明確な目的を持つことを継続的に支援していかなければならないと感じている。
今後、これらの課題を解決するためには、教職員自らがこれまで以上に明確な目的をもって教育研究や業務に取り組むことが必要であり、その上で、学生との円滑なコミュニケーションを図ることが求められる。また、継続的に学生自らが成長を発信する仕組みの構築や、ポートフォリオシステムの実質化を図る仕組みの構築など新たな仕組みの構築も必要になると感じている。取り組むべくことが数多く残されているが、関係部署との連携強化から実現に向けて取り組んでいきたい。