工学専門領域の枠を超えて、高度専門職業人として必要な広範な教育(教養教育やビジネス・経済関連教育を含む)、人間力の育成、および専門能力開発(Professional Development)を行うとともに、工学研究科における修学・研究に資する基礎科学・自然科学領域の教育を行う。また、必要に応じて、専攻に共通して関心の高い先端技術、複合領域、最新の研究開発状況などに関する教育を実践する。
科学技術の専門職として必要な価値(公衆の安全・健康・福利、地球環境の持続性、知的財産の保護など)を、具体的な事例の検討、研究倫理プログラム(中間報告および改訂版)の作成、さらに CITI Japan の受講を通して学ぶ。各研究室における研究・教育活動における倫理的問題について考察し、研究倫理プログラムを継続的に検討することにより、倫理に関する感性と、問題分析・解決能力の向上を図る。
目標●1. 科学技術者が研究・開発・実践において重視すべき価値について説明できる。2.「責任ある研究活動」、「疑わしい研究活動」、「研究不正」などについて具体例を挙げながら説明できる。3. 自らの研究室の倫理プログラムを設計できる。4.「責任ある研究活動」に関わる基本的な概念(データの扱い方、利害相反、オーサーシップなど)について説明できる。
「プロフェッショナルとしての倫理と行動設計A」で学んだ知識の理解を深め、向上させた技能をさらに伸ばすために、具体的な事例の検討とグループおよび受講生全体でのディスカッション、さらにインターアクティブビデオ教材「The Lab」による学習を行う。具体的には、優れた意思決定と行動が社会や研究者コミュニティに貢献した事例を調査・分析してその成果を発表する。また科学技術が人間社会や地球環境に与える影響について調査・分析して、所属研究室の研究倫理プログラムを完成させる。
目標●1. 科学技術者が研究・開発・実践において重視すべき価値について、具体例を挙げながら詳細に説明できる。2.「責任ある研究活動」を推進し、「疑わしい研究活動」、「研究不正」などを防ぐための方法について具体例を挙げながら説明できる。3. 自らの研究室の倫理プログラムを改善することができる。4. 倫理プログラムを実装する方法を提案できる。
工企業の価値生産活動を貨幣計数で測定し、経営活動に必要な原価情報や財務情報に加工する技術を「工業簿記」という。「工業簿記」によってもたらされる原価情報は、経営計画作成をはじめ製品価格設定や原価管理の基本資料となるため、経営管理者や技術者にとって重要な情報である。本科目では、価値生産活動の過程において、原価を認識・測定・記録・報告できるとともに、対処方法を検討できる力を養うことを目標とする。
目標●1. 工企業における製品生産工程と製品製造原価の関係が理解できる。2. 製品製造原価の発生過程を複式簿記手法で記録し、原価情報および財務情報を作成することができる。3. 注文生産および見込生産における製品製造原価計算(個別原価計算)を理解し、原価情報を作成することができる。
企業活動の基本活動のひとつであるビジネスプラン策定の考え方や評価の方法を経営戦略、企業の社会的責任(CSR)の視点より理解した上で、プラン実現の方法としてプロジェクトマネジメントの基本的な考え方を学ぶ。特に、企業から提供されるプロジェクトテーマについて、時間・コスト・品質・人的資源・コミュニケーションなどの観点からのプロジェクト計画・立案と進捗管理、リスクマネジメントを行い実現行動案としてプロジェクトテーマ提供企業に報告する。「ビジネスとプロジェクトマネジメント II 」と連続履修することを強く推奨する。
目標●1. 社会や企業におけるプロジェクトの意義が説明できる。2. プロジェクトの価値を、経済的かつ社会的視点より評価できる。3. プロジェクト具体化の計画手法(PMBOK)を理解し、計画案としてまとめることができる。4. プロジェクト実行の管理手法を理解し、問題点の把握とその対応ができる。5. 企業から提供されるいくつかの具体的な事例について、プロジェクトを提案し、また提案されたプロジェクトを評価・判断できる。
「ビジネスとプロジェクトマネジメントⅠ」で検討した企業提供のプロジェクトテーマについて、テーマ提供企業とともに、さらに実践への検討を進める。特に、プロジェクトテーマ提供企業との協働を目指したプロジェクトプランについての時間・コスト・品質・人的資源・コミュニケーションなどの精度向上を目指す。本科目は、「ビジネスとプロジェクトマネジメントⅠ」の修得(見込)者が対象。
目標●1. プロジェクトプランを再検討。2. プロジェクトの価値を、経済的かつ社会的視点より再評価できる。3. プロジェクト具体化の計画手法として PMBOK を実践する。4.PMBOK の管理手法を理解し、問題点の把握とその対応ができる。5. 複数の企業から提供されるCSRの取り組み事例を参考に自らのプロジェクトプランの再評価ができる。
企業活動の基本活動のひとつであるビジネスプラン策定の考え方や評価の方法を経営戦略、企業の社会的責任(CSR)の視点より理解した上で、プラン実現の方法としてプロジェクトマネジメントの基本的な考え方を学ぶ。特に、企業から提供されるプロジェクトテーマについて、時間・コスト・品質・人的資源・コミュニケーションなどの観点からのプロジェクト計画・立案と進捗管理、リスクマネジメントを行い実現行動案としてプロジェクトテーマ提供企業に報告する。
目標●1. 社会や企業におけるプロジェクトの意義が説明できる。2. プロジェクトの価値を、経済的かつ社会的視点より評価できる。3. プロジェクト具体化の計画手法(PMBOK)を理解し、計画案としてまとめることができる。4. プロジェクト実行の管理手法を理解し、問題点の把握とその対応ができる。5. 企業から提供されたプロジェクトテーマ解決案について、再度経済的かつ社会的視点から評価しなおし、提案を実践できる。なお、本講座では期間内にテーマ提供企業・研究所施設を見学する(この見学会の参加は修了条件の1つとして扱う)。
中央銀行を中心とした金融システム全体と、個別企業の資金調達・運用などの金融行動を理解し、意思決定に応用できる知識と能力を養う。授業では、金融市場と金融商品を軸に、金利などの変数に係る理論、金融政策の実際、企業の資金調達と運用の理論などを学び、エンジニアとして必要な金融知識を確立することを目指す。
目標●1. 中央銀行の役割と金融政策を理解する。2. 金融市場に関する理論を理解し、金融状況を説明できる。3. 金融市場の構造と変動について理解する。4. 企業ファイナンスに関する基礎理論を理解し、企業の状況を把握して資金調達と運用計画を立てられる。
イノベーションとは何なのか、イノベーションはいかにして起きたか、どうすればイノベーションを起こせるのかなどイノベーションを論ずる書籍が数多く出版されており、イノベーションに関する社会の期待の高さを伺わせる。本科目ではさまざまなイノベーション論を俯瞰し、イノベーションの事例研究を行い、イノベーションに関する知識や概念を自分なりに整理することで、自らの専攻を通じてイノベーションを実践するために必要となる知識や概念の修得を目指す。
目標●1. イノベーション論に関する俯瞰ができる。2. イノベーションの事例のいくつかを説明できる。3. 自らの専門領域におけるイノベーションのための課題を説明できる。4. 自らの専門領域におけるイノベーションのための組織活動支援に関して提案ができる。
エンジニアが自らの強みである “ 技術 ” をビジネスで “ 如何に活かすか ” を考える Management of Technology(MOT)について、その基幹学問分野である “ 経営戦略論 ” を通じて学ぶ。具体的には、伊丹敬之著『経営戦略の論理 第4版』をベースに①経営戦略の基本概念や②ビジネスを取り巻く5つの要因と戦略適合に触れ、経営戦略の理論を体系的に習得する。同時に、企業において実際にあったMOTのケースに触れながら、社会の現場で直面するさまざまな問題の本質を洞察する訓練をする。
目標●1. 技術を社会で活かす上での経営戦略の意義が説明できる。2. 経営戦略の基本概念について説明できる。3. ダイナミック適合の論理について説明できる。4. ケースから「いい戦略」のポイントを探ることができる。5. 現場の問題点の本質を探ることができる。
この科目では、まず、複素数とオイラーの公式に言及し、複素変数の解析関数や複素平面での線積分を定義し、複素変数関数の微分積分学である関数論について学習する。関数論は、流体力学や電磁気学などに現れる現象の解析に必要な理論の枠組みを与えるものである。次に続く、「基礎解析学特論B」とは独立した内容であり、この科目だけの受講も可能である。
目標●1. 複素数と複素平面について理解し、複素数に関する計算や複素平面上での幾何学的な意味について理解することができる。 2. コーシーの積分公式や留数定理が理解でき、複素積分が計算できる。
この科目では、フーリエ解析について学習する。いろいろな周期関数のフーリエ級数の計算に習熟し、偏微分方程式への応用について学ぶ。フーリエ解析は振動のような周期的な現象や周期的に変化するデータの解析に必要な理論である。先行の「基礎解析学特論A」とは独立した内容であり、この科目だけの受講も可能である。
目標●1. 周期関数のフーリエ級数展開を求めることができる。2. 簡単な熱方程式、波動方程式への応用が理解できる。
現代の工学的諸分野において確率論的知識や手法は基礎的な素養として必須である。このコースでは、まず測度論的な立場から確率変数を導入し、その平均と分散、モーメント母関数との関係を学習する。代表的な確率分布である2項分布、ポアソン分布、正規分布、ロジスチック分布などを学習する。その後、多次元確率変数とその応用として情報論的エントロピーや確率過程の諸問題を取り上げる。
目標●1. 確率変数、確率分布の概念が理解できる。2. 代表的な確率分布とその現象例との関係が理解できる。3. 正規分布、多次元正規分布の応用に習熟する。4. 情報エントロピーや確率過程の応用諸問題が理解できる。
I で学習した内容を踏まえて統計的手法について学習する。まず、中心極限定理とその標本分布や2項分布への応用、χ2分布、t分布、F分布について学習する。統計的推定として母数の点推定(最尤法など)や区間推定の考え方を理解する。さらに検定の考え方について学び、母数の検定のみならず適合度、独立性、均一性、相関係数などの応用上重要な検定問題を学習する。各自の専門分野におけるデータ収集とその分析を通じて実践的応用力を養う。
目標●1. 中心極限定理とその応用について理解できる。2. 代表的な標本分布であるχ2分布、t分布、F分布が理解でき確率の計算ができる。3. 統計的推定法を理解し諸問題に適用できる。4. 統計的検定法を理解し、さまざまな応用諸問題に適用できる。5. 自ら問題を設定し、データを収集し、結論を導くことができる。
先端技術と基礎科学の密接な関係をさまざまな実例を通して学ぶ。物理学、化学など基礎科学の研究により、さまざまな現象、概念、原理、法則などが発見され、新技術、新機器が創出されてきた。先端技術と科学Aでは、現代の先端技術の主柱となる基礎理論である量子力学に関して、粒子・波動二重性、不確定性原理などの根幹的内容を学び、これをもとに量子計算機構・量子コンピューターの基本的事項を修得し、これからの先端技術の展開について考察する。この考察によって、工学、環境・建築、情報、バイオ・化学分野で行動する技術者としての素養を身につける。
目標●1. 現在のコンピューターと量子コンピューターの違いについて実例をあげて説明できる。2. 量子力学の基礎原理が量子計算機構にどのように関係しているか実例を挙げて説明できる。3. 量子チューリングマシンの働きをとおして、量子コンピューターがどのような性能を持つか実例を挙げて説明できる。
先端技術と基礎科学の密接な関係をさまざまな実例を通して学ぶ。物理学、化学など基礎科学の研究により、さまざまな現象、概念、原理、法則などが発見され、新技術、新機器が創出されてきた。先端技術と科学Bでは、医療機器として広く用いられている磁気共鳴断層撮影装置(MRI)について、磁気共鳴の原理、ハードウェアの構成、画像の明暗を制御するパルスシーケンス、フーリエ変換による画像構成法について学習する。これによりなぜMRIの画像撮影が可能なのかその原理を修得し、先端技術の現状について考察する。この考察によって、工学、環境・建築、情報、バイオ・化学分野で行動する技術者としての素養を身につける。
目標●1. MRI装置の構成を説明できる。2. フーリエ変換によるMRIの画像構成を説明できる。3. MRIの画像撮影の原理について説明できる。
この科目では、科学技術領域での研究活動を中心とした日本語でのコミュニケーション技能の向上を目指す。授業では、わかりやすい文章構成、論理的な段落構成、文法的に正しく簡潔な文、適切な表記法などの観点から日本語の特徴を概観し、実際に文章作成および添削作業を行う。また、各自が所属する学協会研究誌の投稿規定・執筆要綱の確認、学会誌論文に目を通しての論文特有の日本語表現リスト作成、各自の研究テーマでの論文要旨作成にも取り組む。
目標●1. 簡潔で論理的な文章を構成することができる。2. 正しい日本語表現(文字、語彙、文構成、接続表現など)を使うことができる。3. 文法的に誤っている文や複雑でわかりにくい文章が持つ問題点を指摘し、適切に修正できる。
この科目では、研究論文(リサーチペーパー)の基本的構成と各章に書くべきことがらを概観しながら、典型的に用いられる英語表現を学ぶ。そして、各自の研究テーマに関する実際の論文英文要旨(アブストラクト)各文の役割を検証する。これらの学習内容をもとに、自身の研究に関するアブストラクトを作成する。また、論文検索の方法や入手した論文資料の管理方法、自身の所属学会の投稿規定・執筆要領などについても理解を深める。なお、この科目に続いて開講される「イングリッシュテクニカルコミュニケーション II 」は必修ではないが受講を推奨する。
目標●1. 研究論文の基本的な構成と各章に書くべきことがらを日本語または英語で説明できる。2. 辞書を利用して、論文各章で典型的に用いられる英語表現を産出できる。3. 学生自身の研究テーマの英文要旨を作成できる。4. 自身の所属する学会の投稿規定や執筆要領を提示することができる。
この科目では、口頭コミュニケーションで用いられる基礎的アカデミックイングリッシュについて学ぶ。特に(1)科学技術分野で用いられる数式などの用語の学習、(2)研究論文などの論理構成の検証、(3)質疑応答やディスカッションなどアカデミックな口頭コミュニケーションで頻繁に用いられる英語表現の学習、(4)言語面(例:発音、イントネーション)および非言語面(例:姿勢、アイコンタクト、声量、話すスピード)でのプレゼンテーションスキルの向上に重点を置く。授業内でミニプレゼンテーション練習を何度か行い、最終的に自身の研究テーマについて英語でプレゼンテーションができるようになることをめざす。なお、この科目に先立って開講される「イングリッシュテクニカルコミュニケーション I」は必修ではないが受講を推奨する。
目標●1. 数式などを英語で表現できる。/ 2. 自身の研究課題について、発表内容を論理的に整理/構成できる。/ 3. 学習した表現を用いて質疑応答やディスカッションができる。/ 4. 適切な声量や速さで、聞き取りやすい発音・イントネーションを用い、聴衆との効果的なアイコンタクトを取りながら、研究発表に適した英語での口頭発表ができる。
ポジティブ心理学の基本概念と「幸せ(well-being)」に関する最新の知見・介入方法について学ぶとともに、自らの「well-being」について考察する。また、優れた仕事(Good Work)を通して社会へ貢献することなどを検討する「志向倫理」と他者への危害や不適切な行為を避けることなどを強調する「予防倫理」の違いについて、具体例を通して批判的に考察する。加えて、優れた仕事に関する調査を行い、その成果を発表する。
目標●1. ポジティブ心理学の基本概念について説明できる。2.well-being に関する複数の考え方について説明できる。3. 自らの well-being を構成する要素について説明できる。4.「志向倫理」と「予防倫理」の違いについて説明できる。5.GoodWorkについて、具体的事例を使って説明できる。6. ポジティブ心理学と技術者倫理の関係について説明できる。
日本の産業力強化に向けて、国際標準化に関する重要性が産学官で活発に議論されている。これを受けて業種を問わず各企業では標準化対応の強化、ビジネスへの活用を進めている現状がある。本科目では、国際標準化の基礎事項の理解と事例学習を通じて国際標準化のビジネスに与える影響を体得する。また、各自の研究が標準化にどのように関わっているかについて学ぶ。具体的には、本科目では、国際標準化の意義、役割、基礎事項を最初に講義する。その後、国際標準化にとっての重点 8 分野 ( 機械、電機、通信、情報、化学、建築、環境、デバイス ) について事例説明を行い当該分野における今後の課題、方策について学ぶ。また、国際標準化と関係が深い知的財産権についても概要を学ぶ。さらに、これらを踏まえ国際標準化に対する企業での取り組みやグローバルビジネスについて必要となる交渉学について学外講師を招き講義頂く。
目標●国際標準化は業種を問わず就職後接する機会が必ずある。その際に臆することなく対応できる能力を身に付けることを目指す。また、将来社会インフラを主としたグローバルビジネスに係る学生諸氏にとっての基本スタンスの取得を目指す。