電気電子工学科
学習・教育目標
エネルギー問題の関心が高まる現代社会において、電気エネルギーの有効活用が大きな課題となってきている。本学科では、高効率な電気エネルギー利用、高精度な電気電子制御技術、多機能な電子デバイス技術などの専門知識を修得し、複眼的で柔軟な考察力により、工学的な課題設定、計画遂行および課題解決能力を発揮できる技術者を育成する。
キーワード
電気エネルギー技術
電気電子制御技術
電子デバイス技術
複眼的な考察力
多様性への適応力
新しい価値への創造志向
E301 工学大意(電気電子)
Introduction to Engineering(Electrical and Electronic Engineering)
社会を支える「ものづくり」の三大技術である機械分野、電気・電子分野、情報分野の技術について、工学と社会とのつながり、歴史および現在、未来の技術について学び、「自ら考えて行動する技術者」としての第1歩を歩み出す意識を明確にする。各分野における学ぶ領域、学問の拡がりを学び、各自の将来の目標、夢を実現するためのキャリア形成を意識して、修学計画能力を身につけ、今後の学習姿勢を確立する。「覚える・暗記する」といった学習能力に加えて物事の本質を論理的に考える力(科学力)、デザイン力の醸成を目標とする。
行動目標●現代社会における工学部の役割を理解し、自身の修学計画を立案することができる。電気電子工学科の「学ぶ領域」、研究分野を理解し、今後の勉学の方法、履修計画について主体的に考えることができる。「電気と磁気、計測」、「コンピュータ」について概略を説明できる。「発電機、電動機、変電」、「パワーエレクトロニクス」について概略を説明できる。「半導体」、「トランジスタとIC」について概略を説明できる。自身のキャリア形成プロセスを自身の言葉で述べ、それを第三者に伝える事ができる。
E302 電気回路 I
Electric Circuits I
当科目は電気系科目の中で基礎となる重要な科目であり、電気回路に関する基礎知識を修得し、その物理学的・数学的考察によって、電気回路の特性解析および設計を行うことができる能力を養う。はじめに抵抗(R)のみの回路が直流電源に接続された場合について学習し、次に抵抗(R)、インダクタンス(L)、静電容量(C)およびそれらの組み合わせからなる回路が交流電源に接続された場合について学習する。さらに記号法による回路の計算方法を修得する。
行動目標●直流回路におけるオームの法則とキルヒホッフの法則を説明できる。また、これらを用いて直流回路の計算ができる。直流回路における最大電力条件を計算できる。正弦波交流の平均値や実効値の計算ができる。また、R、L、Cの回路解析ができる。複素数を用いる記号法により回路解析ができる。また、回路の各部の電圧・電流のフェーザ図を描ける。
E303 電気回路 II
Electric Circuits II
「電気回路 I 」の復習を含め、本講義では、抵抗(R)、インダクタンス(L)あるいは静電容量(C)およびそれらを組み合わせた基本回路からやや複雑な交流回路までを扱う。交流回路の計算では、フェーザと複素数を用いたいわゆる記号法を用いて解くのが常識と言っても過言ではない。ここでは、記号法による回路解析手法を修得する。本講義後、「電気回路 III 」において、さらに高度かつ複雑な電気回路の解析手法について学習する際のベースとなる。
行動目標●記号法によりR-L、R-CあるいはR-L-C直列回路や並列回路の回路方程式を立て、回路解析ができる。記号法で直・並列回路の位相条件問題や交流電力の基本的な問題が解ける。記号法を用いて直列共振回路や並列共振回路の問題が解ける。記号法を用いて電力の問題が解ける。
E304 電気製図
Drawing Skills in Electrical Engineering
電気に関連する製図について学習する。製図と規格、線の用法などの製図の基礎を学ぶとともに、基礎的な機械要素の製図、電気回路や電気機器の設計で必要となる回路図の製図を行い、製図の読み方、描き方について修得する。
行動目標●製図で用いられる線種、文字、記号が理解でき、他人に説明できる。電気回路をJIS規格にあった方法で描くことができ、他人に説明できる。簡単な機械製図が理解でき、他人に説明できる。
E305 アカデミックライティング
Academic Writing
「修学基礎A・B」を引き継ぎ、各専門分野におけるレポート作成スキルを育成する。問題発見、問題解決するプロセスにおいては、自己の考えや主張をレポートとしてまとめ、情報を発信する能力が必要である。これを「個人」の能力として身につけさせるために、学科の専門性に則したテーマでレポートの作成手順を学習するとともに成稿することにより、専門科目のレポートおよび論文作成の入門として位置づける。
行動目標●電気電子の分野における問題を発見し、レポートのテーマを設定できる。電気電子の分野における情報を収集・分析・整理することができる。電気電子の分野に則したレポートが作成できる。
E306 電気磁気学 I
Electromagnetics I
「電気磁気学 I 」は電気電子・情報通信分野における重要な基礎科目であり、2年次以降に履修する専門科目を理解するのに必須である。本講義では「電気磁気学」におけるさまざまな物理現象を解析するのに必要な基礎数学を修得すること、主として静電場における電荷、電界、電位、静電容量に関する基本法則を理解すること、静電界の諸問題への解答能力を修得することを「学習・教育目標」とし、続く「電気磁気学 II 」、「電気磁気学 III 」の理解に必要な基礎学力を身につける。
行動目標●電荷の性質、電荷間に作用するクーロンの法則が理解でき、静電界に関する基礎的な問題が解ける。電荷が形成する電界と電位の関係を理解し、ガウスの法則を用いて種々の電荷分布に対する電界と電位の基礎問題が解ける。導体系の静電容量、静電エネルギー、複数のコンデンサの直並列接続による合成容量に関する基礎的な問題が解ける。誘電体の電気分極を理解し、誘電体を含む導体間の静電容量および静電エネルギーに関する基礎的な問題が解ける。
E307 電気回路 III
Electric Circuits III
「電気回路 I 」および「電気回路 II 」の復習を含め、本講義では、抵抗(R)、インダクタンス(L)あるいは静電容量(C)およびそれらを組み合わせた基本回路からやや複雑な交流回路までを扱う。交流回路の計算では、フェーザと複素数を用いたいわゆる記号法を用いて解くのが常識と言っても過言ではない。ここでは、記号法による回路解析手法を修得する。本講義後、「電気回路 IV 」において、さらに高度かつ複雑な電気回路の解析手法について学習する際のベースとなる。
行動目標●記号法を用いて最大電力問題が解ける。記号法を用いてフェーザ軌跡の問題が解ける。相互誘導現象について説明でき、記号法を用いて基本的な相互誘導の解析ができる。二端子対回路で、少なくともZ、Y、Fの各マトリクス表示を用いた計算や、T形およびπ形等価回路への変換ができる。
E308 電子工学
Electronic Engineering
情報、通信から電力の分野まで幅広く利用されている半導体電子デバイス分野を主に扱う。具体的には、pn接合の基礎の理解やバイポーラ形およびMOS形トランジスタの基本構造および動作原理を学習する。さらに、それらの知識を基に集積回路の種類や構造への理解を深める。また、光電変換素子など各種電子デバイスについて、必要最低限の物理と基本構造、動作原理ならびに応用事例を学ぶ。本科目は後に開講される「物性工学」を理解する上でのベースとなる。また同時開講の「電気材料」では半導体以外の材料や各種素子について学ぶ。
行動目標●半導体のエネルギーバンド図および半導体中のキャリアの基本的な挙動と電流の関係を説明できる。半導体のキャリア濃度、フェルミ準位、導電率など基本的な物理量を定量的に求めることができる。半導体デバイスの動作原理を、エネルギーバンド図を用いて説明できる。各種の電子デバイスの基本構造、動作原理および特徴を説明できる。光電変換デバイスの基本構造、動作原理および特徴を説明できる。集積回路(IC)の種類、構造および主要な作製プロセスを説明できる。
E309 電気材料
Electrical Material Engineering
電気機器では磁性材料、導電体材料、絶縁材料が重要な構成要素である。電力分野でも電気機器が多用されている。電力用ケーブルには各種導電体材料、高分子系絶縁体材料が組み合わされ利用されている。また、電気制御分野ではパワーエレクトロニクスが大きな部分を占め、コンピュータ制御は常識となっている。そこでは半導体材料を中心に各種電子デバイスが大量に利用されている。ここでは、各種電気材料を用いる実験を計画・遂行できる基礎的能力やエレクトロニクス応用能力を高める。
行動目標●原子の構造、および原子の結合と物質の構造について説明できる。導電材料の種類を示し、それらの特徴・用途について説明できる。絶縁材料の誘電特性や高電界における電気伝導現象について説明できる。絶縁材料の種類を示し、それらの特徴・用途について説明できる。物質の磁気的性質について説明できる。磁性材料の種類を示し、それらの特徴・用途について説明できる。
E310 電気磁気学 II
Electromagnetics II
「電気磁気学 II 」は電気・電子・情報・通信工学分野における根幹をなす基礎科目の1つであり、その修得は他の科目を理解するために必須である。本講義では「電気磁気学 I 」(3期)で学んだ基本的な知識を基に、ベクトル解析、微分学、積分学などの数学的考察を用いて、電界、磁界およびそれらの相互作用に関する基礎的かつ重要な電磁現象に関する問題を解き、定量的に理解できることを「学習・教育目標」としている。
行動目標●電流とその周りの磁界の関係を理解し、ビオ・サバールの法則、アンペアの法則を用いて基礎的な磁界問題が解ける。磁界と電流の関係を理解し、磁界中にある電流の流れている導線に働く電磁力を計算できる。磁界が電流におよぼす作用を理解し、電磁誘導に関するファラデーの法則を用いた基本的な計算ができる。自己および相互インダクタンスについて理解し、関連した基礎的な問題が解ける。
E311 電気電子計測
Electrical and Electronic Instrumentation
電気電子計測は、適切な計測器を使って電気的な種々の量、例えば電圧、電流、抵抗などを測る手立てである。また、場合によっては、電気の世界から足を踏み出し、長さ、重さ、速さなどの物理量を測ることも出てくる。本講義では、これら電気や電子計測の基礎が理解できるように、単位や測定用語の意味と使い方を学び、主要な電気電子計器の構成と測定原理などを修得する。
行動目標●計測の基礎となるSI単位を使いこなすことができ、測定用語が説明できる。主な電気電子計器(デジタル計器)の構成と測定原理が説明できる。主な電気電子計器(アナログ計器)の構成と測定原理が説明できる。各種電子計測器(オシロスコープ、周波数カウンタ、インピーダンスブリッジなど)の構成と測定原理が説明できる。計測対象量に合わせて適切な測定手段、測定器が選択できる。
E312 過渡現象論
Transient Phenomena in Linear Circuits
状況や条件が変化した時、ある状態が安定な状態に落ち着くまでの過渡期に生じる現象が過渡現象である。本科目は、電気回路の回路方程式(微分方程式)を立て、初期条件を入れて過渡状態にある電気回路の電圧、電流、エネルギーなどを計算する方法を学ぶ。またラプラス変換とその応用を学ぶことにより複雑な回路の過渡現象を解析する方法を学ぶ。これらにより、電気回路で生じる各種過渡現象を理解する。
行動目標●電気回路を見て、回路方程式(微分方程式)を立て、初期条件を書くことができる。電気回路を見て、初期条件を見つけて適用することができる。微分方程式を解いて、過渡現象を表す式を求めることができる。過渡現象を表す式を基にして、それを図示することができる。ラプラス変換法を理解できる。ラプラス変換を用いて、電気回路の過渡現象を解くことができる。
E313 電気機器
Electrical Machinery
電気機器は広い意味で電気に関するすべての機器を指す用語であるが、本講義では、基本的なエネルギー変換機器に限定し、変圧器、電動機(モータ)、発電機(ジェネレータ)を扱う。これらは、電気−電気エネルギー変換、または電気−機械エネルギー変換を担うものである。この講義では、まずエネルギー変換の基礎事項を理解し、続いて各種機器の構造、原理、特性、運転法を学習する。
行動目標●直流電動機の原理を理解し、励磁方式による分類とそれらの特性および運転法が説明できる。変圧器の原理を理解し、等価回路による基本的な特性計算ができる。誘導電動機の原理を理解し、等価回路による基本的な特性計算と運転法が説明できる。同期電動機と同期発電機の原理、等価回路による基本的な特性計算および運転法が説明できる。
E314 電子回路 I
Electronic Circuits I
電子回路はエレクトロニクスの技術者や研究者にとって、非常に重要な学問である。本講義では、最初にダイオードやトランジスタの基本動作を主体としたアナログ電子回路の基礎について学習する。次に、バイポーラトランジスタを用いた基本増幅回路を理解することにより、アナログ電子回路の考え方や設計法を身につける。さらに、FETやオペアンプの回路についてもその動作原理と回路を具体的に学習する。また、デジタル電子回路における最も基礎的な論理回路についても学ぶ。
行動目標●ダイオード、トランジスタの働きを説明できる。トランジスタ増幅回路の小信号等価回路を描ける。オぺアンプを用いた回路を設計できる。2進数や16進数の進数変換ができ、それぞれ10進数との関係についても説明できる。ブール代数の計算や論理回路の簡単化ができる。OR回路やAND回路などを説明できる。
E315 自動制御 I
Feedback Control I
産業界や家庭内でもマイクロコンピュータを用いた自動制御機器が数多く使用されている。現在の工学分野では、自動制御理論を学習し、実践することは非常に重要こととなっている。本科目では、制御系の数式化、ラプラス変換、ブロック線図、伝達関数を用いたフィードバック制御系の考え方を学び、さらに伝達関数の特性、制御系の安定性、過渡応答特性、定常特性などを学習する。また、それらを応用したフィードバック制御系の設計を行うことができることを目標とする。
行動目標●自動制御で用いられる要素の種類とそれぞれの特徴を理解できる。ラプラス変換、ラプラス逆変換を理解できる。伝達関数を理解でき、自動制御系を伝達関数とブロック線図で表すことができる。伝達関数表現によるフィードバック制御系の基本設計ができる。自動制御系の安定性の評価方法について理解できる。
E316 高電圧パルスパワー工学
High - Voltage Pulsed Power Engineering
現代社会の基幹をなす電気エネルギーは益々多様化し、理工学分野で高電圧の特性を利用した装置は極めて多い。しかし、我が国では、今後、電力需要増加による設備更新より既設高経年設備の適切な管理が重要な課題となっており、設備の障害検知や絶縁設計のさらなる高度化と信頼性の向上が以前に増して要請される。これに対応するには高電圧パルスパワー工学の知識が必要不可欠である。この講義では、高電圧環境下で生じる諸現象の基本的特性を理解し、放電現象とそのメカニズム、高電圧の発生と計測法、高電圧応用について学習する。
行動目標●各種の電極構成で生じる電界強度を解析式から計算できる。電界中に存在する荷電粒子の運動を理解し、放電の基礎現象を概略的に説明できる。タウンゼント理論とパッシェンの法則を数式的に説明でき、ミークのストリーマ理論を図式的に説明できる。液体、固体誘電体中の電気伝導特性と放電特性を理解し、気体中の特性と相違する点を概略的に説明できる。交流、直流、インパルス高電圧の発生法と測定法を回路図から説明でき、主な絶縁試験法を概略的に説明できる。気体、液体の高電圧応用技術を例示して概略的に説明できる。
E317 物性工学
Physical Electronics
電子デバイスの主役である半導体デバイスの動作原理を説明するために必要な半導体の基礎物性を理解する。半導体デバイスは半導体中の電子の運動を利用するため、固体(結晶)中の電子の挙動を量子力学に基づくバンド理論によって学ぶ。また半導体中でのキャリアの生成機構を理解するとともに、バンド図を使って電気伝導を学ぶ。さらに、半導体デバイスの基本構造である金属−半導体(MS)接触、p形半導体−n形半導体(pn)接合および金属−酸化物(絶縁体)−半導体(MOS)構造について、それぞれの機能および性質(特性)をバンド図を使って学ぶ。
行動目標●水素原子についてのシュレディンガー波動方程式の解の物理的意味を説明できる。バンド理論を用いて固体の電気伝導を説明できる。i形、p形およびn形半導体の原子配置模型を使って電気伝導現象(機構)を説明できる。i形、p形およびn形半導体のエネルギーバンド図を使って電気伝導現象(機構)を説明できる。半導体のキャリア生成機構を説明でき、キャリア密度を定量的に計算できる。バンド図を用いて半導体デバイスの基本構造におけるキャリアの挙動を説明できる。
E318 電気系コンピュータ工学
Computer Engineering for Electrical Engineers
コンピュータは、スーパーコンピュータからパソコンやマイコ
ンに至るまで、産業界においても、また、個人用にも広く利用されている。本科目では、コンピュータの基礎を身につけることを目標とし、特に、コンピュータの基本構成と動作原理の理解に重点を置く。具体的には、機械語命令と命令実行サイクルおよび関連するハードウェアなどについての確実な理解を目指す。なお、コンピュータは種々の制御に用いられることも多いので、他の講義と関連づけて理解するとなお良い。
行動目標●コンピュータの基本構成および仕組みを理解し、説明できる。C言語、アセンブリ言語、機械語で記述された簡単なプログラムを関連づけて理解し、説明できる。CPUの基本構成およびCPUにおける機械語命令の処理の流れを説明できる。記憶装置および入出力装置について基礎事項を説明できる。コンピュータの高性能化について基礎事項を説明できる。
E319 電気エネルギー発生工学
Generation of Electrical Energy
現代社会を支える電力は、火力、原子力、水力発電所などで生み出され、送配電網で需要家に供給されている。本科目では、各種発電の原理、発電設備とその特徴など発電に関する基本知識を学ぶ。特に主力の火力発電については、熱力学による発電効率の計算法、効率向上法を、原子力発電については、原理、原子炉の形式、燃料サイクル、安全性などについて学ぶ。また新しい発電法である太陽、風力、地熱、燃料電池発電についても原理と特徴を学ぶ。
行動目標●火力発電の再熱再生サイクルを正しく理解し、熱効率の計算ができ、火力発電の特徴、設備、課題などを説明できる。原子力発電の原理、炉の形式、燃料サイクル、廃棄物処理および安全性について正しく理解し、説明できる。水力発電について原理、設備およびその特徴を説明でき、発電計算を行うことができる。太陽発電、風力発電、地熱発電および燃料電池発電について、原理と特徴を説明できる。
E320 電気回路 IV
Electric Circuits IV
電気電子工学の最も基礎となる科目の1つが電気回路である。本科目では、電気回路 I ・ II ・ III の修得者を対象に、電気電子分野で特に重要となる三相交流回路とひずみ波交流の理論について学ぶ。三相交流回路では、その性質と各種結線に対する計算法、ひずみ波交流については、フーリエ級数による波形の記述法とひずみ波回路の計算法について理解することを目標とする。
行動目標●ひずみ波交流がフーリエ級数で表せることを説明でき、数式の意味が理解できる。フーリエ級数を求めることができる。ひずみ波回路の基礎的な計算ができる。三相交流回路の基本概念が理解でき、基礎的な計算ができる。三相結線方式の等価変換ができる。
E321 電子回路 II
Electronic Circuits II
電子回路はエレクトロニクスの技術者や研究者にとって、非常に重要な学問である。本科目ではデジタル電子回路における基礎的な論理代数や論理回路について学習し、各種論理回路の動作原理を理解することを目標とする。講義においては、AND、OR回路などによる組み合わせ論理回路のほか、フリップフロップ、カウンタなどの順序回路、A/D変換器などのデジタル機能回路について学び、それらの動作原理について説明できる力を養う。
行動目標●組み合わせ論理回路の基本設計ができる。パルス回路(微分回路や積分回路、マルチバイブレータ)が説明できる。4種類のFFの特徴と基本動作原理が説明できる。基本的な同期式/非同期式カウンタ回路の設計ができる。A/DやD/A変換回路の動作原理が説明できる。
E322 電気磁気学 III
Electromagnetics III
「電気磁気学 III 」は電気電子・情報通信工学分野を学ぶための基礎となる重要な専門科目のひとつである。その修得は、これに続く他の専門応用科目を理解するために必須である。本講義では「電気磁気学 I 」「電気磁気学 II 」で学んだ基本的な知識を基に、磁性体、磁気回路、インダクタンス、電磁波の性質などについて重点的に学習する。また演習問題に多く取り組み、電気磁気学の基礎的な問題を解く力を修得する。
行動目標●磁性体中の磁化現象を理解し、磁界の計算に関する基礎的な問題が解ける。磁性体で構成した磁気回路を理解し、磁束や磁界を求める基礎的な問題が解ける。電磁波の性質を理解し、関連した基礎的な問題が解ける。
E323 半導体工学
Semiconductor Engineering
「物性工学」で取り上げることのできなかった半導体の重要な基礎物性を理解する。また、各種の半導体デバイスにおいてpn接合および金属−半導体(MS)接触の特性がどのように利用されている(役立っている)かについて「物性工学」で学習したバンド理論を用いて学ぶ。具体的には、pn接合ダイオードおよびオーミック電極とショットキー障壁(SB)ダイオードの動作原理と特性を理解する。さらに、半導体デバイス製造の1例として、太陽電池を取り上げ、原石(素材)から材料精製、デバイス製造・加工プロセスを理解する。
行動目標●半導体の基礎物性を説明できる。半導体の電流およびキャリアの時間的変化を説明でき、定量的に解析できる。pn接合およびSBダイオードの動作原理(整流作用)を説明できる。pn接合およびSBダイオードのI-V特性およびC-V関係式を導出でき、これらの特性を説明できる。pn接合の降伏現象およびpn接合を利用する各種ダイオードを説明できる。原石から太陽電池の製造までの基本的な材料・デバイス製造工程(プロセス)を説明できる。
E324 電気系プログラミング演習
Programming Practice for Electrical Engineers
電気電子分野において、計算機は多種多様な問題を解決するために必須の道具となっている。電気電子機器の制御や設計のためにもソフトウェアは欠かすことができない。電気電子分野の技術者は、プログラミングと数値解法の技法を体系的に学び、身につけておく必要がある。本科目では、C言語によるプログラミングの基本的技法を、主に演習を行うことにより、修得することを目標とする。また、電気電子分野における基礎的な問題を、数値解法により解けるようになることを副次的目標とする。
行動目標●C言語で書かれたプログラムを読んで理解することができる。C言語で、基礎的なプログラムを書くことができる。簡単な問題について、アルゴリズムとして記述することができる。電気電子分野の基礎的な問題を、計算機を用いて数値解法により解くことができる。コンピュータ工学の基礎であるデータ表現と論理回路について他人に説明できる。
E325 自動制御 II
Feedback Control II
現在の工学分野では、自動制御理論を学習し実践することが、非常に重要なこととなっている。本科目では、ラプラス変換、伝達関数、ブロック線図などの取り扱いに習熟し、古典制御理論に基づくフィードバック制御系の設計法を学習する。さらに、状態方程式を用いて線形システムを微分方程式によって表現し、制御系を解析および設計する現代制御理論の基礎を学習する。
行動目標●ラプラス変換、伝達関数、ブロック線図を使いこなすことができる。自動制御系の設計に際し、特性補償法を理解でき、基本的なフィーバック制御系の設計ができる。制御系を状態方程式で表すことができ、伝達関数との関係を理解することができる。古典制御理論・現代制御理論の両方について、安定判別法を理解できる。状態フィードバックについて論じることができる。
E326 電気エネルギー伝送工学
Transmission of Electrical Energy
発電所で作られた電気エネルギーを、有効かつ安定して需要家まで運ぶために電気エネルギー伝送システム(電力流通設備)が必要となる。本講義では、その構成と基本原理が理解できるように、送電、変電、および配電のハードとソフト両面について学ぶ。
行動目標●電気エネルギーの輸送(流れ)とその方式の概要が説明できる。変電所の仕組みとその役割が説明できる。電気エネルギーの伝送特性が求められ、伝送路の簡単な故障計算ができる。過電圧と絶縁設計、保護継電方式、誘導・電波障害の概要が説明できる。
E327 パワーエレクトロニクス
Power Electronics
パワー半導体デバイスを用いた電気エネルギーの変換と制御(パワーエレクトロニクス)分野の基礎理論を学習し、電気エネルギーの応用能力を身につける。本講義ではまず基本的な電力変換の仕組みやパワー半導体デバイスの種類と特性を学習する。次に、パワー半導体デバイスを用いた電力変換回路として、整流回路、チョッパ回路、インバータ回路の動作原理と特性を学習する。
行動目標●パワーエレクトロニクスの意味と特徴、パワー半導体デバイスを用いた電力変換の基礎を説明できる。代表的なパワー半導体デバイスの種類と特性を説明できる。各種整流回路図、運転中の波形を説明でき、出力電圧・電流を計算できる。各種チョッパ回路図、運転中の波形を説明でき、出力電圧・電流を計算できる。各種インバータ回路図、運転中の波形、出力電圧・電流、ならびにPWM制御の概略を説明できる。パワーエレクトロニクス技術の必要性とその応用技術を概略的に説明できる。
E328 電子デバイス工学
Electronic Devices
半導体デバイスの基本構造であるpn接合、金属−半導体(MS)接触および金属−酸化物(絶縁体)−半導体[MOS(MIS)]構造を利用するトランジスタの動作原理を「半導体工学」で学習したバンド理論を使って学ぶ。具体的には、バイポーラ(pnpおよびnpn接合形)トランジスタおよび電界効果トランジスタ(FET)のデバイス構造、動作原理と特性を学ぶ。また、各種FETおよびMOSデバイスについても動作原理と特性を学ぶ。さらに、デバイス製造技術の1例として、MOSFETからなるMOS集積回路(IC)製造の基本的なプロセスを学ぶ。
行動目標●バイポーラトランジスタの基本構造、動作原理(増幅作用)および特性を説明できる。MOS構造を定性的に説明でき、C-V特性を定量的に導出できる。MOSFETの動作原理(増幅作用)および特性を説明できる。MOSFETからなるMOS集積回路の製造の基本的な工程(プロセス)を説明できる。各種の電界効果トランジスタの基本構造、動作原理(増幅作用)および特性を説明できる。各種のMOSデバイスを説明できる。
E329 電子応用
Sensor Applications for Electronic Engineers
電子機器や電子システムの基本構成要素として、電子デバイスに要求される役割と機能は多彩であり、電子デバイスの種類も多岐にわたっている。本科目では、「電子工学」および「物性工学」の講義で修得した知識を基に、主要な電子デバイス、即ち、集積回路、光デバイス、表示デバイス、センサデバイスなどの基本構造、動作原理および応用技術について学ぶ。さらに、近年発展が著しい有機半導体についても学ぶ。
行動目標●pn接合、MOS構造および集積回路の基本的な構造と動作特性について説明できる。発光ダイオード、レーザダイオード、太陽電池などの発光デバイスの基本構造、動作原理および応用について説明できる。液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどの表示デバイスの動作原理および応用について説明できる。光センサ、圧力センサ、ガスセンサなどのセンサデバイスの動作原理および応用について説明できる。有機エレクトロルミネッセンスデバイス、有機太陽電池などの動作原理および応用について説明できる。
E330 電気電子専門実験・演習A
Electrical and Electronic Engineering Major Lab / Exercises A
「プロジェクトデザイン入門」、「プロジェクトデザイン I ・ II 」、「プロジェクトデザイン実践」、専門科目などで学習した理論および手法を生かし、電気エネルギー技術、情報・制御技術、エレクトロニクス技術に関するさまざまな「実験・演習」を行うことで、技術者に必要な“問題発見・解決能力”、“分析・解析能力”、“専門的な基礎能力”、“工学的な応用能力”を修得し、次年度の「プロジェクトデザイン III 」で活用できるようにする。なお、履修者が取り組む「実験・演習」テーマは「電気電子専門実験・演習B」とは異なる。
行動目標●実験を正確に実施できる。実験より得られた結果を、整然とまとめることができる。起承転結のあるレポート作成ができる。
E331 電気電子専門実験・演習B
Electrical and Electronic Engineering Major Lab / Exercises B
「プロジェクトデザイン入門」、「プロジェクトデザイン I ・ II 」、「プロジェクトデザイン実践」、専門科目などで学習した理論および手法を生かし、電気エネルギー技術、情報・制御技術、エレクトロニクス技術に関するさまざまな「実験・演習」を行うことで、技術者に必要な“問題発見・解決能力”、“分析・解析能力”、“専門的な基礎能力”、“工学的な応用能力”を修得し、次年度の「プロジェクトデザイン III 」で活用できるようにする。なお、履修者が取り組む「実験・演習」テーマは「電気電子専門実験・演習A」とは異なる。
行動目標●実験を正確に実施できる。実験より得られた結果を、整然とまとめることができる。起承転結のあるレポート作成ができる。
E332 電気設計
Designing Skills in Electrical Engineering
現代社会の機能を支える多くの電気製品は設計作業を経て製作される。設計とは、実現すべき装置の仕様を決定し、与えられた技術的要件を満足させながら、最も経済的に、また、最も短日月に装置を製作する手立てであり、その寸法、形状、性能、価格などを算出し、図面として製造ラインへ指示するまでの一連の作業をいう。本講義では、これらの基礎が理解できるように、電気機器設計を例に取り、講義と演習を通して設計手法の考え方とCADによる図面作成の双方について学ぶ。
行動目標●設計技術の使命を説明できる。設計に関する規格の目的と種類を説明できる。電気機器設計の基礎原理を理解し、設計の流れを説明できる。同期機の設計法を理解し、これに従って設計計算できる。CADで簡単な図面を作成できる。
E333 電気応用
Electric Power Applications
電気エネルギーを、光や熱、あるいは力学エネルギーに変換することは容易である。しかも、変換量を容易に制御できるので、家庭や産業で広く実用されている。本科目では、体系的に分類された電気エネルギー利用形態の概要を学習する。即ち、ビルや工場の各種設備、あるいは鉄道、飛行機、自動車などの交通施設で用いられる電動機と照明、電熱、電気化学、および自動制御技術について、さらにその他の電気応用の超電導、静電気、磁気応用などについて学ぶ。
行動目標●電動機の鉄道、自動車などの産業分野における応用例について概略を説明できる。各種照明用光源や照明方法について説明でき、簡単な照明計算ができる。電気加熱と熱回路の特徴や具体例などについて説明できる。電気分解と電池の電気化学反応の相違や、一次、二次電池の種類や特徴について説明できる。フィードバック制御における伝達関数や安定性判別の概要と特徴について説明できる。これら以外の電気応用としての超電導応用について、具体的な応用分野と装置原理および開発経緯の概略を説明できる。
E334 電気法規と電気施設管理
Laws, Regulations, and Management for Electrical Facilities
電気関係業務の監督、管理に従事する場合、専門技術に加えて、これに関連する法令や管理的知識を必要とすることが多い。この見地より、電力を供給する電気事業者への各種規制、また、電気に起因する障害、事故の状況と安全確保のための法令、ならびに基準の概要が理解できるように、これら諸法令と合理的な電気施設管理法について学ぶ。
行動目標●電気関係法令について、その概要が説明できる。電気設備技術基準の基本用語を理解し、具体的な電気工作物について技術基準のいくつかを説明できる。電気施設管理のあり方について、その概要が説明できる。
E335 電気通信法令
Telecommunications Law
電気通信事業法は昭和60年に施行され、電気通信事業の分野に競争原理が導入された。その後も電気通信の技術革新、インターネットならびに携帯電話の普及などの環境変化に対応しその都度同法は改正され今日に至っている。電気通信事業の実施ならびに電気通信主任技術者の国家試験受験のために必要な電気通信法令の知識を修得する。
行動目標●主となる電気通信関連の法令の体系および目的を理解し、説明できる。各法令の内容および用語を理解し、説明できる。各法令について事例に対応させて理解し、説明できる。電気通信技術者資格試験の問題を解くことができる。
E904 専門ゼミ
Preparatory Seminar for Design Project III
電気エネルギーシステム、または電子システムに関するプロジェクトデザイン III の課題内容を理解し、これまでに修得した知識・技術を活かして、課題に対する問題点を解決するための方法を提案することができる。これにより、技術者としての総合的能力を築く基盤を身につけることができる。
行動目標●プロジェクトデザイン III の目標や活動計画について、明確なイメージを持つことができる。プロジェクトデザイン III のプロジェクトテーマ内容を、概略的に説明ができる。プロジェクトデザイン III を自主的に実施するための基礎的な知識や技能を修得できる。設計や研究のプロセスが修得できる。
E924 プロジェクトデザイン III
Design Project III
これまでに修得した知識・技能をフルに活かして、プロジェクトテーマの研究活動に取り組み、問題提起能力、問題解決能力、創造性能力を養い、技術者としての総合的能力を身につける。
行動目標●研究の目的と内容が説明でき、問題点を明確にして、解決法を提案できる。グループ討論や、指導教員との適切なコミュニケーションによって、粘り強く研究を遂行できる。研究成果をプロジェクトレポートとしてまとめることができる。研究成果を効果的にプレゼンテーションできる。
E944 進路セミナー I
Career Planning Seminar I
自分の将来の進路、技術者としての職業観の形成を計り、自分に適した進学・就職の目標を設定すること、およびそのために必要な準備・対策に自主的かつ意欲的に取り組むことを目的とする。主な課題は3つある。①自己分析とキャリアデザイン、②進路アドバイザーや企業人技術者の講演、工場見学などを通して職業に対する意識向上を計り、自分に適した進路の在り方を探究する。③資格取得、一般常識、総合適性検査(SPI)など準備・対策に比較的長期を要する課題に計画を立てて着手する。
行動目標●人生設計と進路との関係を自ら深く考察できる。自分に適する進路を発掘すべく、それに必要な思考や行動ができる。進学・就職など自分の進路に関する方針や目標を自ら立案する方法を修得し、立案できる。進路に対する目標を達成するために必要な知識、能力、資格などを調査し、自ら準備・対応ができる。
E954 進路セミナー II
Career Planning Seminar II
自分の将来の進路、技術者としての職業観の形成を計り、自分に適した進学・就職の目標を設定すること、およびそのために必要な準備・対策に自主的かつ意欲的に取り組むことを目的とする。主な課題は3つある。①自己分析とキャリアデザイン、②進路アドバイザーや企業人の講演、先輩達の体験談聴講などを通して職業に対する意識向上を計り、自分に適した進路の在り方を探究する。③資格取得、一般常識、総合適性検査(SPI)など準備・対策に比較的長期を要する課題に計画を立てて着手する。
行動目標●自分が目指す進路を選択できる。進路選択に必要な情報の収集ができる。各種模擬試験の結果から自己の適性を冷静に判断できる。自分の思っていること、考えていることを相手に明確に伝えることができる。