文部科学省 平成29年度私立大学研究ブランディング事業選定

金沢工業大学 English

これからの科学技術者倫理研究

 

~社会が必要とする課題への取り組み~

科学技術倫理セミナー

『正義の味方は常に正しいのか?』を開催 (2019.7.25)

 2019年7月25日(木)に『正義の味方は常に正しいのか?』のテーマで第2回科学技術倫理セミナーを23号館1階のパフォーミングスタジオにて開催した。

 当セミナーは、本学が「社会が必要とする科学技術者倫理研究に先導的に取組む大学」「実社会に結びついた工学教育と合わせて科学技術者倫理教育の研究を実践する大学」となることを目的として実施した。先進技術に囲まれ、便利で快適な生活を謳歌・構築している現代人の意識の中で、徐々に希薄になる倫理観を『技術的』『哲学的』側面から深掘りし、答えのない問いの下で自己を見詰め直す機会とすることを狙った。

 セミナーでは、広島大学の眞嶋俊造准教授から話題提供を行い、その話題をテーマに本学の金光秀和教授がファシリテーターとなり哲学対話を行った。

 話題提供では、『正義』はどのように定義されるのかを、勧善懲悪のヒーローを題材として例が挙げられた。参加者の年齢層が幅広かったため、一部現役学生は例題のヒーローを知らないという一幕があったが、現実社会の状況と照らし合わせるとヒーローの存在は、実に問題点が多いことに気付かされた。そのうえで現実社会における『正義』の執行方法として、「正しい戦争」「正しい戦闘」というものがあるのかとの話になった。「正しい」とは何か、それは何によって担保されるものなのか、「戦争」と「戦闘」とは何か、行動はどこまでを許容できるのかを眞嶋准教授は参加者個々人へと語り掛け、それぞれに考えるように促していた。その後「正義」が必要とされる社会というのはいかなるものか、正義の執行方法である「攻撃手段」の例を挙げ『正義の味方は常に正しいのか?』と質問し、「我々はそれをどこまで許容できるのかを真摯に見つめる必要がある」と話題提供を締めくくった。

 哲学対話では、に参加者全員が輪を組み、話題提供された内容も加味してテーマに関しての哲学対話が行われた。テーマは答えのない問いかけではあるが、参加者個々人が思った「正義」をそれぞれが語りあう姿を見ることができ、そこに倫理教育の真の姿を感じられた。対話は終了予定時間まで行われ、話し合いきれなかった問いに対する思考は各自の『宿題』として参加者は持ち帰ることになったが、「自分の中で新たな課題が生まれたのでよかった。」「立場を超えて話し合えることがとても良かった」等の肯定的意見を参加者全員からいただき、このセミナーの有用性を再認識するに至った。

内容
日 時
 2019年 7月25日(木) 17:05~18:45
会 場
 金沢工業大学扇が丘キャンパス
 パフォーミングスタジオ(23号館)
 石川県野々市市扇が丘7-1
参加費
 無料
プログラム
 17:05~17:10 開会挨拶(科学技術倫理応用研究所 所長 西村 秀雄 教授)
 17:10~17:55 話題提供(眞嶋俊造氏・広島大学准教授)
 17:55~18:45 哲学対話(ファシリテーター:金光秀和・金沢工業大学)
眞嶋 俊造 氏 のご紹介
英バーミンガム大学修了(PhD)。北海道大学大学院文学研究科准教授を経て現職。専門は応用倫理学(戦争倫理、研究倫理、職業倫理など)。代表的著作として『正しい戦争はあるのか?―戦争倫理学入門』(大隅書店、2016年)、『平和のために戦争を考える―「剥き出しの非対称性」から』(丸善出版、2019年)など。


セミナーの様子

 



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