開講科目の詳細
技術標準化要論
Essentials of Technology Standardization
担当教員
受講対象者
・企業における事業戦略立案担当者、標準化活動業務担当者、知財担当者、
官公庁の知財・標準化政策立案担当者など、ビジネスや知財経営に
資する標準化活動に関心をお持ちの方
・標準・標準化に関する基礎的な知識・考え方を習得することに意欲を持つ方
※本授業は「技術標準化政策特論」とともに、標準・標準化全般に渡る基礎的な知識の修得を目指しており、本授業で学んだ知識をベースとして「技術標準化と経営戦略特論」、「情報通信標準化特論」、「国際標準化実務特論」において、実務経験に基づいた実践に役立つ知識やツール、事例やノウハウについて学習することが望ましい。さらに、標準化活動の現場で必要とされる交渉能力、コミュニケーションスキル等は「交渉学要論」「国際交渉特論」において学習することが望ましい
授業の主題と概要
技術革新のスピードが速まり、経済のグローバル化が進展する今日、「標準化」の重要性が国内外で指摘されています。特に、情報通信・IT分野では、一製品を製造するに当たり多数の技術の組み合わせが必要になることから、技術要素間のインターフェースを提供する役割を果たす「技術標準」の重要性が高まっています。
企業にとっては、研究開発の成果たる自社の技術等について、知的財産として保護・活用するだけでなく、国際的な標準化活動を行うことにより、グローバルに市場を獲得し、利益を確保するための戦略が必要となる場合が多々あります。しかしながら、企業にとってなぜ「標準化」が重要なのか、また、どのように「標準化活動」を進めればよいのか、について十分な理解及び対応はなされていないのが現状です。一方、「標準化」は政策的側面を併せ持つことから、
我が国として国際的に標準化活動をどのように進めていくべきか、も重要な論点となっています。
本授業では、このような背景を踏まえつつ、標準・標準化とは何か(概念)、標準の分類、標準化の目的及び役割、標準化のメリット・デメリット等を学習した上で、日本における標準化手順及び国家規格(JIS)、国際標準化手順、産業基盤に関する標準化、環境・安全に関する標準化について学びます。さらに、標準・標準化の様々な側面として、経済的・法律的側面について概説し、知的財産権と標準化、パテントプールと標準化等のテーマも取り上げながら、標準・標準化全般に渡る基礎的な知識及び標準化活動における考え方(フレームワーク)について学習することをねらいとします。
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到達(習得)目標
標準・標準化活動全般に関する基礎的な知識を修得することを目標とする。標準・標準化の持つ様々な側面とそのダイナミズムを理解し、日本における標準化及び国家規格(JIS)、国際的な標準化手順、産業基盤・環境・安全に関する標準化、知的財産権と標準化、パテントプールと標準化といった基礎的事項を説明できる能力を獲得することを目標とする
講義スケジュール
講義 回数 |
講義テーマ |
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1,2 | オリエンテーション(授業の概要の説明) 標準・標準化の基礎知識(その1) 標準・標準化とは何か(概念・定義)、標準・標準化の目的及び役割 |
3,4 | 標準・標準化の基礎知識(その2) 標準・標準化の具体例・標準・標準化の分類、標準化のメリット・デメリット ゲストスピーカーの講義(その1) <標準化の事例紹介> |
5,6 | 標準・標準化の基礎知識(その3) 日本における標準化手順及び国際標準化手順(概論) ゲストスピーカーの講義(その2) <環境分野の国際標準化・外国政府への働きかけ・標準化外交> |
7,8 | 標準・標準化の基礎知識(その4) 国家規格(JISマーク制度等)、日本における標準化の特徴 ゲストスピーカーの講義(その3) <安全に関する規格 - ISO/IECガイド51について> |
9,10 | 標準・標準化の様々な側面(その1) 標準・標準化の経済的側面、法律的側面① 標準・標準化の様々な側面(その2) 標準・標準化の経済的側面、法律的側面② |
11,12 | 標準・標準化の様々な側面(その3) 産業基盤に関する標準化 ゲストスピーカーの講義(その5) |
13,14 | 標準・標準化の様々な側面(その3) 標準化と知的財産権との関係性<パテントポリシー、独禁法> 標準・標準化の様々な側面(その4) 標準化と知的財産権との関係性<パテントプールと標準化> |
15,16 | 期末レポート発表および討議 本授業に対する質疑応答等 |
開講について
開講時期: 1期
開講形態: 毎週2コマ(180分)×8日間
講義回数: 全16回
※状況に応じて、一部変更が生じる場合もございます。予めご了承ください。
テキスト/参考図書
【テキスト】
標準化実務入門テキスト(試作版)
http://www.jisc.go.jp/policy/hyoujunka_text/index.html
※履修者にはテキストを配布する。
【参考図書】
① 「コンセンサス標準戦略―事業活用のすべて」(2008)
新宅 純二郎・江藤 学 編著(日本経済新聞出版社)
② 「パテントプール概説―技術標準と知的財産問題の解決策を中心として」
(2006) 加藤 恒 著 (発明協会)
③ 「世界市場を制覇する国際標準化戦略―二十一世紀のビジネススタンダード」
(2008) 原田節雄著 (東京電機大学出版局)
④ 「標準化戦争への理論武装」(2007) 山田肇著 (税務経理協会)
⑤ 「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」(2009) 妹尾堅一郎著
(ダイヤモンド社)
⑥ 「オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版」(2015)
小川紘一著(翔泳社)
⑦ 「ものづくりの科学史 世界を変えた《標準革命》」(2013)(講談社学術文庫)
⑧ 「知的財産と標準化戦略」(2015)藤野仁三著(八朔社)
※上記は一部追加・変更となる場合もございます。また、指定テキスト及びケースなどは、別途ご購入頂くもので、授業料には含まれておりません。予めご了承ください。