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虎ノ門大学院ブログ
2017年11月02日

KIT修了生インタビュー:日野祥子さん(大手製造業)
「私の大切な母校、これまで何度も助けられました」

日野祥子さん(43歳)は、大手製造業の知財部門にお勤めです。大学は政治経済学部で文系出身。弁理士資格は36歳のとき取得しました。ご家族はご主人、そして小学校5年生と2年生の娘さんお二人。趣味は登山とキャンプと日曜大工。登山のほうは、木曽駒ヶ岳など3000メートル級の山を、ご主人と一緒にテントを背負って登る本格的なもの。日曜大工については、「子供のころからモノを作るのが好きでした。家で棚が必要なときは、近所の大工さんのところにいって『木が余ってたら分けていただけませんか』など頼んで、自分でトンカン作っていました」とのことです。

(※ お名前は本人のご希望により仮名を使っています)


■ 29歳の遅いスタート


- 日野さんが知財の仕事に関心を持ったのはいつ、どんな経緯からですか。


最初に関心を持ったのは29歳のときです。それまで知財や弁理士のことは何も知りませんでした。

私は大学を卒業して、総合商社に一般職として入社しましたが、26歳で結婚退職。それから1年は専業主婦でしたが、やっぱり働きたくなったので、フルタイムの派遣社員として外資系ソフトウエア会社に勤め直しました。

その後、会社から誘いがあり、派遣社員ではなく、テクニカルサポート、保守エンジニアの正社員として勤務することになりました。ずっと文系だった私にとって初めての技術職です。この会社に勤めて3年目のとき、知財、そして弁理士の資格に関心を持ちました。

■ 弁理士資格に関心を持った理由


- なぜ弁理士の資格に関心を持ったのですか。


根本には「自分のキャリアの核を持ちたい」という焦りの感情がありました。会社は楽しく居心地も良いけれど、私は何かこう「自分で自分の仕事の手綱を握れるような」「自分の命運を自分で決められるような」、確固たる実力を身につけたかったのです。

そんなある日、ブックオフで偶然、手に取ったのが「弁理士になろう」という本です。奥山先生という女性弁理士の著作でした。何か気になったので買って帰りました。

読み進めるうちに、

「弁理士は技術系と文系のクロスオーバーする領域の仕事」、
「自分で仕事をコントロールできそう」、
「年を取っても続けられそう」、
「収入もそこそこ良さそう」、
「こんな私でも、今からでも…、もしかしたらできるかもしれない…」

と希望が湧いてきました。読み終わったときは

「この道に進めば、私の未来が開ける!」

と確信してしまいました(笑)

私は心が決まるとすぐ動き出す性分です。「よし、学校に行こう」と思いました。情報収集した結果、「弁理士合格のための専門学校」、「K.I.T.虎ノ門大学院」の二択になりました。そして考えた末、K.I.T.を選びました。

■ K.I.T.を選んだ理由


- K.I.T.を選んだ理由を教えてください。


正直いうとその時は、会社に居続けるか弁理士になるか迷いがありました。「弁理士になりたい」という想いと「でも、ホントになれるの? 私で大丈夫なの?」とためらう気持ちの間で、少し揺れていたのです。

だから「自分の本気度を見極める」という意味では、ガチガチの受験予備校より、K.I.T.のような総合的に学べる学校の方が良いと思えたのです(この選択が正しかったことは、後でわかりました)

入学する前は主人にも相談しましたが「やりたいんなら、やってごらんよ」とむしろ背中を押してくれました。学費も自分で出したので、その点も問題ありませんでした。

そしてK.I.T.に入学し、土曜日と平日2回の週3回ペースで一年間、通学しました。授業は素晴らしい内容で、毎回、刺激的でした。同級生には弁理士の方も多く、「いいなあ、充実してそうだなあ、格好いいなあ」と憧れる気持ちが強まりました。

途中、妊娠が分かって、大きなお腹で通い続けるというハプニング(?)もありましたが、1年後、無事に修了できました。



■ 特許庁の面接を受ける


- 修了後は、どうしたのですか。


さっそく弁理士の試験を受けてみました。結果は不合格でしたが、「短答試験は合格。論文は三科目のうち商標だけバツ」だったので、まずまずです。「弁理士は手の届かない資格ではない。次はきっと受かるはず」と思えました。

そんなある日、特許庁で「5年間の任期つき特許審査官」を募集していると知りました。審査官になれば、仕事を通じて特許の勉強もできるし、弁理士試験でも様々な課目が免除されます。さっそく採用試験に申し込みました。

でも面接がヒヤヒヤもので、実は不採用寸前でした。

■ 危ないところだった一時面接


- 「不採用寸前だった」とは具体的には?


採用面接では、複数の面接官と向かい合いましたが、うち一人が私の履歴書を見て隣の面接官に「この人、この学歴だと条件を満たしていませんね」と言いました(私にもはっきり聞こえる声で!)。

一瞬、ああ、もうダメかと背筋が冷えました。でも次の瞬間、別の面接官が、「この人、大学院出てますよ」と助け船を出してくれたのです。その後の面接は上手くこなせて、何とか審査官になれました。

これは明らかに「K.I.T.を修了して助かった」「首の皮一枚つながった」という瞬間です。K.I.T.を修了していなかったら、知財の世界には入れなかったかもしれません。

■ 文章力の重要性


- 特許庁での仕事生活はいかがでしたか。


特許の出願を「受ける側」を経験できて、とても勉強になりました。出願者の真剣な特許出願に対し、審査官である私は、時には「拒絶」という回答をするわけですが、その場合でも、相手が十分に納得がいくように、論理的かつ納得性の高い文章を書かなければいけません。

これだけ真剣なやりとりが、しかし面談はいっさい無く、すべて文章だけでやりとりする。これってある意味、究極のコミュニケーションだなと思いました。

このときはK.I.T.で学んだ文章の書き方が役に立ちました。授業では、「すべてを文章で的確に表す必要があります。たとえば立体図形について文章で記述し、その記述された文章だけから、元の立体図形を正確に再現できるような、そんな論理的で一意的な文章を書く必要がある」と学びました。特許庁での「文章のやりとりだけでの、真剣なコミュニケーション」を行うとき、この教えはとても役に立ちました。

特許庁での仕事中には二人目の子供も授かりました。また入庁して2年目、36歳のとき弁理士試験にも合格することができました。

忙しくも充実した日々を過ごし、5年目の任期切れの時期となりました。このままもう5年間更新しようかと思っていましたが、ここでも再びK.I.T.のおかげで転機が訪れることになります。

■ 訪れた転機


- どんな転機だったのでしょうか。


その頃、K.I.T.で「米国の弁護士資格を取得する」という内容の講演会がありました。修了後は、立ち寄ることもなかったK.I.T.ですが、講演内容が興味深かったので、久々に行ってみました。

そして講演後に、在学中にお世話になった木越先生とばったりお会いしたのですが、そのとき「いま特許庁に勤めていていもうすぐ任期切れなんです」と話したところ、「僕の知っている外資系の会社でおもしろいところがあるから、今度、遊びにきませんか」とお誘いがありました。何だか面白そうと思って、その会社(以後 A社)を訪問したのですが、私はその会社に一目惚れしてしまいました。

■ 特許庁をやめて、民間の世界へ


- どんな点が魅力だったのでしょうか。


その会社はフランスの外資系企業で、当時は自社で取得した特許を使って収益を上げる事業が中心だったので、日本支社にも弁理士を数名抱えていました。女性の弁理士もお一人いらしたのですが、見るからに美しくて、品があって、仕事もバリバリこなしてらっしゃいます。私は、「キャー、かっこいい!」とミーハー的に惚れ込んで、どうしてもその会社に入りたくなってしまいました。

ただ運悪く、その時期は「日本支社の従業員数を増やせない」という判断になり入社できなかったのですが、そうやってお役所ではない、外の世界をいったん見てしまうと、何だか気持ちがむずむずしてしまいました。

結局、特許庁での任期更新はやめて、民間の特許事務所に転職することになりました。これまで出願を受けて審査する側だったのが、今度は出願する側になったわけです。

■ 客商売の醍醐味


- 特許事務所での仕事生活はいかがでしたか。


特許庁とは、また別のやりがいがありました。特許庁での審査の仕事は、一人で黙々と行う作業であって、出願人と会話することはありません。

一方、特許事務所での仕事は、企業の担当者と対面して密に打ち合わせを行い、戦略を練って特許を出願し、それが特許査定されたときは私も我が事のように嬉しくなります。

仕事を通じて、お客様から「ありがとう」と言っていただける、そんな「客商売の醍醐味」を感じることができました。

ここでの仕事はとても楽しかったのですが、勤めて2年目のある日、かつて入社が適わなかった外資系A社から、「欠員が出たので補充したい、どうですか?」と声がかかりました。A社への憧れは捨てきれなかったので、転職を決めました。このとき私は41歳になっていました。

■ 一撃必中が求められる


- 外資系A社での仕事はいかがでしたか。


やりがいとプレッシャーの両方を強烈に感じました。その前にやっていた出願作業は、「数打ちゃ当たる」という側面もありました。しかしA社での出願は、「一撃必中。必ず特許を取り、必ず収益を上げる」、「美しく、完璧な形で特許が取得できれば賞賛される」、「取得できなければ無能扱いされる」という成否がハッキリした仕事でした。

でも私はもともと「自分で仕事をコントロールしたい」「賞賛でも、罵倒でも、仕事への評価を全身で受け止めたい」と願って、弁理士の世界に飛び込んだのです。A社の仕事環境は私にとって「望むところ」でした。

ただ残念ながらA社での仕事生活はわずか1年で終わってしまいました。フランス本社で「特許事業を縮小する」ことになり、日本支社で弁理士を抱える必要がなくなったからです。A社を退職した後、転職活動の末に入社したのが、今の勤務先です。

■ クロスライセンスという新たな仕事


- 今はどんな仕事をしているのですか。


今の仕事は、クロスライセンスやパテントプールなどライセンス関連の業務です。

特許出願では「特許の取得」が一つのゴールとなります。しかしライセンス関連の業務では、ライセンス締結先の企業と折衝して、自社の事業に資する結果を生み出すことが目標となります。今まで関わってきた「出願(審査)」とは全く違う仕事であり、非常な難しさを感じています。

でももともと私は「今までやったことがないこと」「未知の世界」に飛び込むのが大好きなのです。考えようによっては、43歳になってなお新しいことにチャレンジできるなんて、素晴らしい幸運といえます。転職して1年過ぎで、まだ手探りの時期ですが、早く結果を出して、さらに充実した仕事人生を歩みたい、そんな気持ちで日々を過ごしています!

■ 修了生からのアドバイス


- いまK.I.T.への入学を検討している人に「先輩修了生としてのアドバイス」などあればお聞かせください。


私の場合、「文系出身者が30歳から弁理士を目指す」という遅いスタートでした。私のケースは少し特殊であり、あまり皆様の参考にはならないかもしれません。ただ「動きつづければ道は開ける」というのは、これまでの仕事人生で確かに実感します。

そして、いま思えば、大きな分かれ目となったのが、特許庁の面接でした。学歴が原因で足切り寸前になっていたところを、K.I.T.の修了実績が認められて特許庁に入庁することができたわけです。もしあのとき面接に落ちていたら、今の私はないと思います。

K.I.T.に入学して、様々な業界、バックグラウンドの皆さんと知り合えたこと、木越先生を始めとする素晴らしい先生方と出会えたこと。この出会いは、会社と家を往復するだけの生活では、決して得られないものでした。あらためて母校K.I.T.虎ノ門大学院に感謝いたします。また、これからK.I.T.に入学する皆さまに、すばらしい出会いと仕事人生のあることを、心より願っております。

■ K.I.T.虎ノ門大学 客員教授 木越力先生より一言


- 当時の日野さんはどのような院生でしたか。


K.I.T.に在学中の日野さんは、大きなお腹を抱えて授業を受けていらっしゃいました。私は、妊娠しながら夜間や休日の社会人大学院に通うなんて、たいした頑張り屋さんだと感心する同時に、体に障りはないだろうかと心配にもなりました。ただ、そう声をかけても、ご本人は、大丈夫ですと明るく答えるので、何ともたいしたものだとあらためて思いました。



その後のご活躍は、本人がインタビューの中で話されたとおりです。ご自身はあまり意識していないようですが、実は日野さんは、「特許庁」「特許事務所」「一般企業」という三領域を経験したという、希有なキャリアの持ち主です。それに加えて英語も堪能でいらっしゃいます。

この強みを生かしていけば、今後、知財の世界でさらに充実した仕事人生を送れるでしょう。かつての教師の一人として、日野さんの今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。



※ 取材日時 2017年10月
※ 取材制作:カスタマワイズ

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