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応用バイオ学科4年次の山下千佳さんが「香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会」でベストプレゼンテーション賞を受賞

2017年9月12日UP

受賞した山下千佳さん(右)と小田教授9月9日・10日に金沢工業大学扇が丘キャンパスで開催された「第61回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(TEAC2017)」において、応用バイオ学科4年次の山下千佳さん(小田忍研究室)がベストプレゼンテーション賞を受賞しました。

発表演題は「界面バイオプロセスによるMonascus色素並びに生物活性物質の選択的生産」で、紅麹カビから医薬品原料を効率的に生産するシステムの研究成果について発表したものです。

紅麹カビは古くから東アジアの国々で天然の食用赤色色素の生産に利用されており、具体的な商品として、例えば沖縄名産の豆腐ようが有名です。その一方で、紅麹は赤色色素以外に黄色色素も生産しますが、黄色色素には、アルツハイマー抑制、骨粗鬆症抑制、高脂血症治療、高血糖症治療、抗炎症、抗菌活性など、様々な医薬としての性質を示す重要な化合物群が含まれています。

今回の山下さんの研究では、それらの物質群から、モナシン並びにアンカフラビンという2種の黄色色素(生物活性物質)を効率的に生産するシステムの構築に成功しました。モナシン、アンカフラビンとも、抗糖尿病、抗肥満、記憶・学習能力増進作用、抗高脂血症並びにコレステロール低下作用、抗炎症や抗酸化作用が報告されており、また、モナシンについてはさらに抗ガン並びに膵臓保護作用なども報告されています。黄色色素中にはこれら両化合物以外にも数十種もの化合物が存在しており、各々有用な薬理活性を持っています。

ちなみに、これら薬効のある黄色色素はいずれも水には溶け難いものばかりであり、従来の液体培養法(栄養源・原料を溶かした水中での培養)では生産困難です。小田研究室の界面培養システムでは、紅麹は有機溶媒に接しているため、発酵生産と溶媒中への抽出(菌体外への排出)が亢進され、かつ、水溶性の赤色色素の混入が抑止できるという効果があります。

研究成果は、今後急速に進展することが予想される高齢化社会において、深刻な問題となる様々な疾病に対し、予防薬あるいは治療薬を提供するための強力な生産ツールとなる可能性があります。

受賞した山下千佳さんは、KIT医工連携プロジェクトである「天然物創薬プロジェクト」のメンバーとして、また、琉球大学農学部との共同研究を軸とする「沖縄プロジェクト」の担当として、3年次より小田研究室において研究に取り組んできました。今後大学院修士課程に進学して、更なる研究の発展を図っていくことになります。

なお小田研究室では、現在、他の標的化合物として、骨粗鬆症治療薬原料の高生産研究にも琉球大学と共同で取り組んでおります。

香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(TEAC)について

TEAC(テアック)は、1957年に設立された「精油と香料、およびそれらに関する化学とバイオ」に関わる産官学の専門家が結集する伝統ある学術集会であり、年1回の討論会を47都道府県持ち回りで開催しています。2015年の大阪、2016年の北海道に続いて、石川県では1984年に金沢大学で開催されて以来2度目、実に33年ぶりの開催となりました。

本討論会の特徴は、香料や食品、飲料、製薬あるいは化学分野に属する多くの企業が協賛していることにあり、産業界との繋がりが非常に強いことにあります。産官学が協力・補完し合いながら、当該学問分野の発展と社会福祉への貢献をめざして活動しています。

【関連リンク】

応用バイオ 小田忍研究室