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手足の麻痺・しびれ等の原因部位を正確に診断可能。
金沢工業大学の超電導センサ技術による「脊髄機能の見える化」技術がナノテク展大賞受賞

2016年2月9日UP

開発した脊磁計試作機2016年1月27日〜29日に、東京ビッグサイトで開催された第15回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」で、金沢工業大学と共同で生体磁気計測技術の研究開発を進めている株式会社リコーが「脊髄機能の見える化」技術などの展示を行い、nano tech大賞を受賞しました。

「脊髄機能の見える化」は、金沢工業大学、株式会社リコー、東京医科歯科大学と共同で研究開発を進めている脊磁計を用いた技術です。脊磁計は脊髄神経の活動に伴って発生する磁場を体表面で検出し、神経信号の電流の位置や大きさを可視化する装置です。神経の発する磁場は極めて微弱なので、超電導量子干渉素子(SQUID)と呼ばれる高感度な磁場センサを使って検出します。金沢工業大学先端電子技術応用研究所は1999年から東京医科歯科大学整形外科と共同で、同研究所の超電導センサによる脊髄誘発磁場の研究を進め、世界で初めて脊磁計の開発に成功しました。2014年に株式会社リコーが共同研究開発に加わり、同社の高度な画像処理技術により、さらに完成度の高い脊磁計試作機が実現し、実用化が近づきました。

脊髄が椎間板や靭帯などに圧迫され、神経信号の伝搬が阻害される脊髄変性疾患は特に高齢者に多く、手足の麻痺やしびれなどが症状として表れます。このような症状の原因部位を正確に診断するためには、MRIなどで得られる脊髄の形態的な異常を検査するだけではなく、脊髄神経がはたらいているかどうかを調べる機能検査が重要です。ところが、従来の脊髄の機能検査は脊柱管の中にカテーテル電極を挿入して信号を検出するため、検査に特別な技能が必要で、患者の負担も大きく、ほとんど普及していませんでした。

現在開発が進められている脊磁計を用いることによって、脊髄神経のはたらきを体の外から観察する無侵襲な機能検査ができるようになります。MRIなどの他の画像診断装置と組み合わせて、より正確な原因部位の特定が可能となり、これまで診断が困難だった脊髄疾患の診断に役立つと期待されています。