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丹下健三生誕100周年プロジェクトの展覧会に
建築系の研究室チームが模型制作に協力参加

2013年7月29日UP

7月20日〜9月23日まで香川県立ミュージアムにて開催されている丹下健三生誕100周年プロジェクト「丹下健三 伝統と創造 瀬戸内から世界へ展」に、建築学科 西村 督 教授と建築デザイン学科 竹内申一 准教授らの研究室チームが模型制作を行い協力参加した。

 

丹下氏の数多い作品のうち、「広島子どもの家」「愛媛県民館」の模型制作を2研究室の学生らが中心となって合同で制作した。制作期間はおよそ3か月。学生らは模型制作における図面作成し、緻密な作業を行った。また制作過程においては、建築デザイン学科下川雄一准教授の協力を得てCADを使って3Dモデル化し、やわらかな曲線美を描く構造を表現するために3次元切削機を利用して加工を施した。

 

<西村先生・竹内先生からのコメント>

今年、瀬戸内海の島で現代美術の国際芸術祭「瀬戸内国際芸術祭2013」が開催されます。その芸術祭のメインプロジェクトとして、世界的建築家丹下健三の生誕100周年を記念した展覧会「丹下健三 伝統と創造〜瀬戸内から世界へ」が香川県立ミュージアムで開催されます。この展覧会で瀬戸内各地の丹下健三に関連する建築作品の模型が展示されます。

丹下健三の建築を理解し、その建築の持つ意義を模型で表現することに意欲的な全国の建築系の研究室へ模型製作の依頼がありました。本学の竹内申一研究室(建築デザイン研究室)と西村督研究室(建築構造研究室)の担当した建築作品は、1950年代前半に建設された公共建築「愛媛県民館」と「広島子どもの家」であり、いずれも現存しません。これらの建築物は、エレガントな造形の鉄筋コンクリートの曲面板(シェル)構造であるとともに、丹下健三と協働して多くの名建築を残した世界的構造家坪井善勝が、物資の乏しく建設が困難であった戦後間もない時期に、新しい応用力学理論を用いて実現させた著名な作品でもあります。

2つの建物に共通している点は、構造がシェル構造であることで、その空間的特徴を表現するために断面模型としています。また、構造体の厚さなどを忠実に再現することや、部分を省略して抽象化することによって、空間本来の魅力を伝えられるよう工夫しています。模型曲面の最小厚さは、ドーム形状の愛媛県民館で1.2mm、アサガオに似た形状の広島子どもの家は2.4mmで非常に薄く、また曲面の厚さが連続的に変化しています。模型製作で最も困難を極めたのは、これらの繊細な曲面をどのような方法で作成するかでした。手作業で製作することは困難と判断し、切削機械による加工としました。材料は切削加工が容易な木塊です。切削には建築系の下川雄一先生の指導の下、CADで詳細な形状データを作成した後、本学2号館の環境シミュレーションラボにある三次元切削機を使用しています。切削期間は美しい曲面を忠実に再現するために、一作品に約2週間要しました。

今回、建築家丹下健三の建築作品の模型製作を通して国際芸術祭のプロジェクトに協力する機会を得ました。この機会は、本学の建築デザインと建築構造の教員が協働して作品を作り上げる有意義な取り組みでした。

 

 

※丹下健三氏は東京オリンピックの舞台となった国立代々木競技場や東京都庁舎を設計した人。戦後日本の歩みと時代精神が象徴的に刻まれた建築として世界から認められている。

 

※「愛媛県民館」は1954年日本建築学会賞を受賞している。

 

 

以下の写真は丹下健三生誕100周年プロジェクト事務局より提供(Photo:市川靖史氏)