取組みの内容

卒業生評価や企業の人材育成体制を把握しキャリア教育の改善を実施する仕組みの構築

取組1:キャリア教育のさらなる改善!

本学では、従来から学年に応じたキャリア教育を実施し効果を上げてきましたが、就業力育成という観点に立って効果を把握するための仕組みはありませんでした。そこで、「在学生」と「社会に出て3年が過ぎた卒業生」、それに「採用実績のある企業」にお願いし、アンケートやインタビューを実施。その分析結果をキャリア教育にフィードバックし、教育内容の改善を図ると共に初年次に実施しているキャリアガイダンスと学年と学生のキャリア発達レベルに合わせたキャリア教育の体系化を図ります。

在学生へのアンケート

就職活動中の在学生に対しては、標準的な就職活動時期を過ぎて就職活動している学生と、10数社の入社試験を受験して内定を得られない学生を対象に、学生一人一人との面談から、その要因を特定し、その対策を行なうと共に、標準的な就職活動時期で内定を得られるようなキャリア教育に反映させます。

卒業生へのアンケート

社会に出て3年が過ぎた卒業生を対象にした独自のアンケートを設計。その調査とインタビューから企業などで勤務する「やりがい」、「企業で必要とされる能力と自分の位置付け」、「大学時代の教育に対する評価」、「教育を支援するポートフォリオをはじめとした各種の施策や制度の有効性」などの満足度を把握すると共に、卒業3年後の離職率と離職の原因を把握します。

採用実績のある企業へのアンケート

本学の卒業生を採用して頂いた企業に対してアンケート調査を実施。また本学が毎年秋に東京、名古屋、大阪、富山、金沢において実施している「KIT人材開発セミナー」(参加企業数:約1750社)において、他の社員に比べて本学卒業生の「仕事をこなす力」や「成果を出す力」などの能力や「粘り強さ」について多面的な切り口から分析。アンケート結果と合わせて要因を把握しキャリア教育の改善を図ります。

「社会的・職業的自立に関する指導など」( キャリアガイダンス)に関する科目群の改善と体系化

取組2:キャリア教育科目群の改善と体系化!

本学では、下の表に示すように入学直後から学年に応じたキャリア教育を展開しています。初年次に、社会と技術者について学ぶと共に、自己分析の結果から目標を設定。逆算的に在学中に獲得すべき能力を明らかにして修学計画を立案し、加えて高学年になるに従い、今学んでいることが企業でどのように関連するかを常に意識させることを意図したキャリア教育を展開しています。

教育課程内の科目フローと課程外の活動

経済状況に対応したキャリア教育を提供

科目フローを、より体系化すると共に深化させるために、キャリア教育科目群を基軸とし、これまでに選定を受けた特色GP 、現代GPなどで開発・実施してきた問題発見解決型、産学連携型、地域連携型のプロジェクト教育を発展させ、就業力育成の観点から内容を再構築します。また、取組みの1で実施する卒業生や採用企業からのアンケート結果を、速やかに分析し急速な経済状況の変化に対応したキャリア教育が提供できるよう教育内容の改善に努めます。

リスク!という新たな視点に対応

グローバル経済の中で、常に企業はフレキシブルな対応が求められています。それはまた、社員・従業員にとっても、自宅待機やリストラ、倒産などの将来起こり得るリスクを事前に想定しておくことが必要だということに他なりません。リスクに遭遇したときに対応する能力、またリスクを未然に回避する能力を考える機会を設け、いわゆるリスク管理能力を育成するに有効と思われる教材を開発します。その結果、入学時に設定する目標設定について、「リスクという新たな視点」が加わり多面的な目標設定が可能となります。

就業力育成・評価システムの導入と学生のキャリア開発意欲を向上させるポートフォリオシステムの再構築

取組3:ポートフォリオシステムの再構築!

自己成長型教育プログラムの見直し

本学では、平成18年度の特色GPで選定された自己成長型教育プログラムとしてKITポートフォリオシステムを構築し展開しています。その成果が上がっていることも確かですが、近年の急速な経済状況の悪化によって未内定で卒業式を迎える学生もいるなど、実情に合わせたキャリア・ポートフォリオのさらなる見直しの必要を感じています。

社会人基礎力育成・評価システムを改良

そこで、平成20、21年に経済産業省委託事業である社会人育成事業にて環境土木工学科が取組み構築した「社会人基礎力育成・評価システム」(学生・教職員・企業人のトライアングル構造から教育プログラムを展開し、その有効性が確認されています)を全学に展開するために改良し、新たに「就業力育成・評価システム」を設計し、これをキャリア・ポートフォリオに組込む形で再構築を行ない就業力向上を図ります。

多様な学生のキャリア開発ニーズに応じたキャリア教育プログラムの導入

取組4:適性に合わせてキャリア教育を複数化!

これまでは、入学時のキャリア発達の違いや目的意識の明確度の違いがあっても、一つの枠組みのキャリア教育を展開していました。しかし近年は価値観が多様化し、一つの枠組みでは十分な対応が難しい社会情勢となり、個々の学生の適性に合わせたキャリア教育コースを提供することが急がれます。

そんな時代のニーズに応えるため、これまで多くの卒業生を受け入れている企業との連携から、本学が実施してきたキャリア教育内容、卒業生へのアンケート結果、企業の人材育成プログラムの内容を総合的に考慮し、学生の適性に合わせた複数のキャリア教育を開発します。

学内で勤務する学生スタッフ研修制度の導入

取組5:学内インターンシップで就業力を向上!

本学では、学生がキャンパスで充実した活動が行なえるように、夜間、土日に多くの学習支援センターを開館していて、その運営補佐のために1025名(平成22年実績)の学生を雇用しています。その雇用範囲も、教材作成、キャンパス美化、駐輪場誘導・整理、学内便配付など、多様な業務へと範囲を拡大しています。

従来は、学生を雇用する部署ごとにOJT形式でその業務指導をしていましたが、これらの学生を単なるアルバイトではなく、新たに「学内インターンシップ」と位置づけてのキャリア教育を展開します。そのためにも、各企業で行なわれている新入社員研修について、業界、業種、職種による違いや特徴を調査し、学生スタッフの業務内容に合わせた研修制度と勤務評価システムを確立し、学内インターンシップを通して、就業力の向上を図ります。