プロジェクトの趣旨・目的

プロジェクトの背景

本学は、教員が「教える教育」から、学生が「自ら学ぶ教育」への転換を目指して教育改革に取り組み、学習環境の整備、カリキュラムの再編、学部・学科の再編に取り組んできました。しかし、「自ら考え行動する技術者」を育成し社会に輩出するためには、学科という枠組みで捉えた教育システムやインフラの整備だけでは不十分であり、組織の壁を越えた教職員の連携や、学生とのコミュニケーションの充実といった、大学を構成する教職員の意識改革を実施しなければなりません。

学生が将来活動する企業では、めまぐるしく変化する社会環境に柔軟に対応することが求められています。つまり、本学においても、社会の変化を常に把握し、その要素である社会的ニーズを、教育内容および教育実践へと柔軟かつスピーディーに反映させなければなりません。

そんななか、企業・技術者にとって環境問題への対応はもはや必須テーマであり、各専門領域の融合による社会全体としての取り組みが求められています。本学の教育実践でも環境問題をテーマとして取り上げていますが、学生の認識は所属する学科・専門領域内にとどまっており、思考が局所的な視点に基づいたものになる恐れがあります。

そこで本プロジェクトでは、正課科目(プロジェクトデザイン教育)に環境問題という社会的制約条件を取り込み、今後、技術者に求められる「環境マインド」を醸成する教育プロジェクトを実践します。技術者としての単なる知識や認識だけではなく、地域社会、地球規模の環境問題に対して俯瞰的な視点を持ち、自らの立場で取り組むべき対応や意義を理解しながら問題解決を進めていくスキルの修得を目指します。

教育プロジェクトにおける学生のあるべき姿

学生は、まず専門領域の地域社会における役割を理解し、関連する環境問題をテーマとして見いだします。その上で、地域社会と連携して実践的な問題発見解決に取り組み、社会的背景やその影響等を第三者に対してわかりやすく示し、理解を得ることを目指します(学生の行動目標1)。上記を達成した学生は、各教育プロジェクトが有する環境問題の社会的意義を俯瞰的に捉え、それぞれの取り組みプロセスや成果を融合することを目指し、新たなテーマや解決策の創造につなげます(学生の行動目標2)。

学生は、これらを通じて問題発見解決プロセスを展開するスキルを高め、また、各々の解決策や成果を有機的に連携することで、「ポイント」⇔「エリア」、「個」⇔「組織」等、規模や分野、役割が異なる中でそれぞれの解決策の連動や相乗効果の重要性を理解します。