「学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、「入学者受入れの方針」の3つの方針を踏まえて教学経営を効果的に行う情報管理を行うため、それぞれの方針に基づいて実践される業務から発生する情報を一元管理する必要があります。また、「教育課程編成・実施の方針」によって実践される教育の成果(学生の成長)を客観的に判断するために、定性的・定量的に評価する仕組を強化する必要があります。
教学経営に求められる情報は、最終的に事務職員の下で管理されることになります。単にデータを収集するのではなく、それらを有効に活用するために、以下の2つのSDを実践する仕組を構築します。
SD(1)
教学経営に求められる情報を取り扱う事務職員に対して、教育目標から展開される本学の「学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、「入学者受入れの方針」について教員と同様に理解を深める研修会を計画的に全職員に実施します。
SD(2)
各事務部署の機能が、学生の修学プロセスとどのように関連しているのか、そのプロセスから発生・収集する情報からどのようなことが推測されるかなど、情報の流れを中心に、既存の業務の見直しを実践するスキルを修得します。
現在、本学で開講される全ての科目において、以下の表に示すような達成度評価を実践しています。
そこで、科目関連や総合力指標(人間力と専門力)の内容を明確化することにより、体系的に管理された評価結果を基盤に、学生の時間軸での評価尺度と定量的評価システムの構築を行います。このことにより、例えば、「“思考・推論・創造する力”が学年を経て年々向上している」や、「“知識を取り込む力”の向上が見られない」など、学生一人一人に対して、効果的な成長支援が可能となります。
指標と評価割合 | 評価方法 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試験 | クイズ 小テスト |
レポート | 成果発表 (口頭・実技) |
作品 | ポート フォリオ |
その他 | 合計 | ||
総合評価割合 | 30 | 15 | 35 | 5 | 0 | 5 | 10 | 100 | |
総合力指標 | 知識を取り込む力 | 10 | 5 | 8 | 0 | 0 | 0 | 0 | 23 |
思考・推論・創造する力 | 10 | 5 | 15 | 1 | 0 | 2 | 0 | 33 | |
コラボレーションと リーダーシップ |
0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | |
発表・表現・伝達する力 | 4 | 2 | 12 | 2 | 0 | 0 | 0 | 20 | |
学習に取組む姿勢・意欲 | 6 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 10 | 22 |
これまで、本学では、正課において学生の学習成果をポートフォリオに登録する仕組を構築し運営してきました。一方、正課の学習に加え、課外においても学生が自発的・積極的に修学に取り組むことを推進しています。
このような本学の教育実践スタイルの中で、学生の成長を継続的に把握し支援していくためには、課外で実践される主要なプログラムにポートフォリオシステムの導入を図り、既存のポートフォリオシステムの統合が必要となります。
本学の教育実践の更なる特色化と、学生一人一人の総合的な学習成果を把握する仕組として、課外学習プログラム専用のポートフォリオシステムを開発。また正課科目に連携対応するポートフォリオシステムとして、「総合ポートフォリオシステム」の開発を段階的に行います。
また、課外学習プログラムについては、実際のものづくりや様々な実証実験、さらには社会での活動(地域連携・産学連携活動)が多く含まれる点から、学生が作成した作品やコンテンツといった成果物とその学修プロセスを蓄積し、それらを学生自らが第三者に対して情報発信して評価を受けられる体制を確立します。
このことにより、学生個々人を対象とする修学成果全体を把握する仕組が可能となり、それらの成果を学生自らが可視化することで、成長支援と共にIR活動の強化にもつながります。
先に述べたシステムの運用の体制を本取組期間中に確立させるために、正課学習と課外学習の両面に取り組む学生を対象としたプロジェクトを発足し、学生自身がポートフォリオ活用スキルを高め合う「オナーズプログラム」を実践します。
具体的には、新たに構築する課外学習プログラム専用のポートフォリオの活用方法を学ぶ機会の提供や、正課・課外の両方に蓄積されたポートフォリオシステムから、これまでの修学履歴を振り返り、第三者に対して、プレゼンテーションならびに情報発信できるスキル修得と情報交流会を行います。
これまで本学では、学部教育の最終フェーズとして、学部教育集大成科目であるプロジェクトデザインIII(工学設計III)の成果報告を社会に対して公開してきました。
この成果報告会には、教育実践の特色である産学連携にご協力を頂いた企業の方や、学生の保護者、卒業生等が参画し、学生自身が本学での修学を経て成長した姿を実際に確認いただく場として運営を行ってきました。しかしながら、IR活動の強化の観点から、最終成果のみならず、学生の成長過程に応じて定期的な報告会を開催する必要があります。
この交流プログラムの目的は、「学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、「入学者受入れの方針」の3つの方針に基づく本学の教育実践の相互理解を深めることを目的としています。
具体的には、ステークホルダー(高校、企業や地域社会など)を対象とした交流プログラムを構築することで、教学経営への取組や、産学連携・地域連携による教育プロジェクトの報告など、大学や学生からの積極的な情報発信を図り、助言や評価を受けて、さらなる改善を推進するためのIR活動を展開します。
交流プログラムを通じて得られたステークホルダーからのコメントや感想は、学事運営組織に対するフィードバックと、直接、教育プロジェクトを担当する教職員にフィードバックされます。このような教育プロジェクトの成果報告を中心に、教学経営全体の取組を周知する機会を設けることで、「学位授与の方針」、「教育課程編成・実施の方針」、「入学者受入れの方針」に連動した、次なる改善・改革を実施することが可能となります。
但し、ステークホルダーからのコメントや感想、さらにはアンケート結果については、その内容の真意を紐解いて教職員にフィードバックし、FD・SDへとつなげていく必要があります。そのため、交流プログラムを通じて得られた情報と、一元管理される学内の情報を総合的に取りまとめる「IR活動強化推進チーム」によって各現場(教育現場、学事運営現場、教育支援現場)の教職員にフィードバックレポートを提供する仕組を構築します。