平成25年度「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」採択 地域志向「教育改革」による人材育成イノベーションの実践

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お知らせ(平成27年度)

数理工教育研究センター 
なるほど!物理実験セミナーを開催

2016.02.13

高校生と物理実験を通し交流


高校生に説明する数理の広場
プロジェクトの学生

 平成27年度大学COC事業「地域志向教育研究プロジェクト」での「地域に根づく数理(数学、理科)の広場」の活動の一環として、2月13日(土)の午後1時から「なるほど!物理実験セミナー」を開催した。

  このセミナーでは、地域の高校生と本学の学生が物理実験を通して交流しながら物理を学ぶことを目的としており「まわって、すべって、ころがって~慣性モーメントってなんだろう!?~」をテーマとして、高校の物理では学ばない比較的難度の高いテーマを扱った。このセミナーは、10月から約4カ月間をかけて「数理の広場プロジェクトメンバー」の学生2人と教員2人が計画を練り、開催直前には更に8人のサポート学生が加わって、セミナーの運営と準備を行った。

  当日は、石川県立工業高校、石川県立小松工業高校、金沢市立工業高校の2、3年生25人と本学の学生2人が参加した。

 まず、最初に慣性モーメントの導入として①滑走台車②水の入ったペットボトル③ゼラチンの入ったペットボトルを使い「転がる速さ」を測定する演示実験を行った。

  ②は斜面を滑る①と同じ速さで斜面を転がるのに対して、③は①よりゆっくり転がることを観察し、この違いが「回転しにくさ」の程度を示す物理量である「慣性モーメント」によるものあることを学んだ。

  その後、慣性モーメントを体験する実験として、2種類の実験をそれぞれ行った。

  一つ目の実験では、面積を一定の100c㎡として縦と横の長さを変えた4種類の長方形の回転体を作製して、落差10cmの長さ1mのレールの上を回転体が転がる時間を測定した。このとき、長方形の形状によって転がる時間がどう変わったかを確認し、その理由をそれぞれのグループで話し合った。


転がり時間を測定し、回転体の形状を相談する高校生

 二つ目の実験では、4cm×12cmの長方形の厚紙に回転軸に対して対称になるよう、おもりとしての磁石を取り付け、回転軸から磁石までの距離を変えた回転体を作製して、一つ目の実験と同様に転がる時間を測定した。ここでは、回転軸からのおもりの距離の2乗の値と転がり時間の2乗の値の関係をグラフにすると、直線上に並ぶことを確認し、物理的な法則が存在することを学んだ。実験用のレールの製作は、少々難しかったようで、サポートの学生がコミュニケーションを取りながら、高校生へアドバイスをしていた。

 前述のような、慣性モーメントの概略を学習、体感したのち、それぞれのグループで、工夫を凝らした「回転体」を製作し、競技大会を実施した。競技大会の内容は、落差20cmの長さ2.5mのレールの上を25秒で転がることを目指した回転体を、先の実験で得られたデータを基に作製し、調整を加えるなどした上で、チャンスは3回与えられ、最も25秒に近いタイムで転がったチームの測定値で優勝を競うというものである。また、今回は「回転体」の厚紙のデザインに工夫を凝らしたユニーク賞も設けた。

 設計する際には慣性モーメントの理論式が載っているパネルを熱心に見入っている高校生もいて、われわれ教職員も感心した。ほとんどのチームがユニーク賞を意識した回転体を作製していた。競技大会の結果24.91秒という素晴しい記録を出したチームが優勝し、スーパーマリオのキャラクターをデザインに用いたグループがユニーク賞を獲得した。

  このグループワークで、実験や競技大会の回転体を作製している間に、本学の学生と高校生が次第に打ち解けて会話が弾み、意見交換をしているグループも多く見受けられ、今回のセミナーが物理実験の学習を通した高校生と大学生のコミュニケーションによるアクティブ・ラーニングや学び合いの場となったことがうかがえた。 参加者のアンケート結果を見ると、参加した高校生は物理の理論的な内容は難しく感じたようだが楽しく実験に取り組め、体感することにより得たものがあったようである。また、実験をする機会が少なかったため、とても良い経験になったという内容の感想などもあった。

 今回のセミナーの準備や運営を通して「数理の広場プロジェクト」の学生たちは、物理の知識を学ぶだけでなく、考える力、表現する力、コミュニケーション能力などの社会人として必要な人間力を伸ばすことができ、この1年で大きく成長した。また、物理実験セミナーを運営する様子や活動記録のアンケートから、今回のセミナーの目的は十分に達成できたといえる。物理や科学を学びながら、地域の高校生たちに教え伝えることに取り組んだ彼らの成長はこれからも続くであろう。

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