ポスターセッションで説明をする学生
2年次を対象とした科目「プロジェクトデザインⅡ」では、社会人として必要とされる素養の一つとして、テーマの設定から問題発見、情報媒体の利用と分析、更には解決に向けた提案までの一連の設計過程を、実践的にチーム学習している。そのテーマ選定の動機付けとして、野々市市と金沢市の両市役所から提案いただいた地域の実際的な課題も、地域に貢献しうるテーマの候補として学生に提供されている。4月10日(金)のテーマ説明会、および5月20日(水)の中間質疑会を経て、7月1日(水)には本年が初の試みとなる「市役所提供テーマ評価会」を開催した。
本評価会は、市役所職員の方々と本学教職員に、 各チームの学生とポスターを介して質疑応答を交わしてもらい、今後の活動について助言を頂くとともに、各チームの進捗と成果を評価して頂くことが目的である。
多目的ホールを会場として開催した本評価会は、基礎実技教育課程の松本重男教授の司会進行のもと、午後3時から60分にわたりポスターセッションが実施された。野々市市役所から4人、金沢市役所から10人の担当者に参加いただいた他、本学教職員72人の来場があり、市役所提供テーマに取り組む79の学生チーム(野々市市テーマ19、金沢市テーマ60)と活発な討論が行われた。また、質疑ができない時でも当該チームにコメントを伝える試みとして、ポストイットにコメントを記入してポスターに貼ってもらうという工夫を取り入れた。多くの興味を引きポストイットの花を咲かせたチームもあった。
来場者と活発な討論を繰り広げる学生
社会人を相手に、学生たちは臆することなく自分たちの成果を呈示し、終了時刻の間際まで話し込む姿も見受けられた。来場された方々からの鋭い指摘や質問に、時には、たじろぎながらも真摯に対応する学生たちの姿勢が印象的であった。市役所職員の方々から、前学期末までの活動について強い期待を寄せていただけたチームは、進捗報告のため、期末に担当部署に伺う予定である。
本評価会を通して、社会人との討議を体験した学生からは、至らなかった部分への反省とともに、チーム活動のみでは得難い多角的な視点に触れて大いに刺激になったとの感想が多く出された。また、自分たちのアイデアの優れた点を専門家や利用者の目線から評価いただいて自信になったとの声もあり、教育的側面でも意義の大きさが実感されたものと思われる。
両市役所の担当者からは、学生諸君の取り組みのひたむきさとアイデアのおもしろさについて好評が得られたと同時に、提案について実効性や実際的な面での更なる深まりにも期待する声が聞かれた。学生たちの成果が、今後の両市の施策に何らかのヒントを与えることができれば、当科目の指導に当たる教員一同にとっても大きな励みとなる。
本評価会の溌剌とした空気に触れて、本学発の地域連携・地域貢献の一助となるべく気持ちを新たにするとともに、多忙の中で参集いただいた両市役所の担当者と本学教職員の皆様に心より御礼申し上げたい。