平成25年度「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」採択 地域志向「教育改革」による人材育成イノベーションの実践

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お知らせ(平成26年度)

KITサイエンスシティプロジェクト「サイエンス講座」
第3回~第5回目講座を経て

2014.12.06

 「地(知)の拠点整備事業(COC事業)」の一環として「平成26年度地域志向教育研究プロジェクト」に採択された「KITサイエンスシティプロジェクト」では、地域の小学生を対象としたサイエンス講座「KITサイエンスカフェ~小学生からはじめるサイエンス~」を10月から開催しており、第1回、第2回を終え、第3回から第5回の実施について報告する。

〔第3回〕身の回りにあるサイエンス!?


ジャイロ運動について車輪を使って説明する学生と
体験する参加者

 第3回は、物理プロジェクトの学生10人、教員2人が中心となって、工大祭イベントの一部として「オープンサイエンスカフェ『身の回りにあるサイエンス!?』」を8号館1階フロアで実施した。

 内容は、シャボン玉による表面張力の不思議、プラ板やブロックを使用した分子構造の学習、地球ゴマを使用したジャイロ運動、糸電話による音の振動、二面鏡、マジックミラーによる屈折の不思議等を学生たちが説明し、来場者に実際に体験してもらうものであった。
 会場は、来場した子どもたちや保護者で賑わい、参加者は学生の説明やアドバイスに耳を傾け、手や体を動かして体験することで、サイエンスをより身近に感じているようであった。


シャボン玉で表面張力の実験を行う学生と参加者

 第3回はオープンサイエンスカフェのため、サイエンス講座の申し込み者は任意の出席としていたが、悪天候の中、半数以上の申込小学生が参加し、身近なサイエンスを体験し、第1回、第2回とは異なるサイエンスを楽しんで学習していた。他の回とは異なる「オープンサイエンスカフェ(自由参加)」の形式のテーマのため、地域や子どもたちがサイエンスや理科に自然と興味を持てる場となったようである。



〔第4回〕電子回路の世界!?つなげたら何ができるかな


SYNTH KITを使って音を作り、音の測定を楽しむ参加者

 第4回は電子工作モジュールの「SYNTH KIT」を使用した音作りや「SPACE KIT」を使用した光の測定、「スクラッチ」を使用した簡単なプログラミングの体験を通して、電子回路がどのようなものかを学習した。
参加者は5チームに分かれ、「SYNTH KIT」20分、「SPACE KIT」20分、「スクラッチ」40分程度の配分でローテーションを行い、いろいろな電子回路を体験した。サイエンスカフェ運営プロジェクトメンバーの学生たち4人は、それぞれに、コーナーの担当をしたが、子どもたちに馴染みのない言葉をかみ砕いてわかりやすく伝えることや、時間配分等に苦慮しながら、丁寧に説明とサポートを行っていた。

 まず「SYNTH KIT(アナログ回路モジュールによるシンセサイザー)」コーナーでは、電子回路を組み合わせて音作りを行い、電子回路から音を作ることができることを体験した。また、それぞれに作成した音や音階をオシロスコープで測定し、音の波形を目で見ることで、音が振動で発生しているものであることを体験し、子どもたちは目を輝かせて測定していた。
 次に「SPACE KIT」コーナーでは、電子回路を組み合わせた光の作成や動力学や明るさの測定を、科学法則(電磁気学、キネティック(動力学)やエネルギー科学)の基本原理の学習を学んだ。実際に、電子回路で設計した「光の明るさ」がどの程度かを暗幕の中で測定するなどして、電子回路でできることが、どのようなことかを体験してもらった。

 最後に「スクラッチ」のコーナーでは、子どもたちがパソコンを操作して、画面に描かれている猫の動作を考えプログラムする体験を行った。猫の動作を簡単なプログラムで作り、試行錯誤しながら自分たちの思い通りに動く猫をプログラムするのに苦心したようで、何度も何度も考えながらプログラムしており、時間が足りないという声が多数上がっていた。
 今回のテーマは、小学生には少々難易度の高いものであったが、参加者は非常に興味をもって取り組んでいた。

〔第5回〕“仰天!自分でつくれるパラボラアンテナ!?”

 第5回は、前夜来の大雪で足元の悪い中、17人が元気な笑顔をみせてくれた。
 今回のテーマは、巻段ボールとアルミ箔(もしくはテープ)を使って直径40cmのパラボラを作り、LED光源(手作り)と組み合わせてアンテナとするもので、LED光源(手作り)をパラボラの焦点に置いて、光がアンテナから出ていく様子をみるというものであった。

 参加者を5チームに分け、各チームに1人の学生が補助としてつき、子どもたちのパラボラアンテナ作りを指導した。
 最初に、巻段ボールをそれぞれのチームに対応した「型(各チームのパラボラの焦点距離は異なっている)」でパラボラの形状にし、その表面にアルミ箔(もしくはテープ)を貼った。参加者たちは、それぞれ役割を分担しながら、アルミ箔(テープ)貼りやアンテナの組み立てに熱心に取り組んでいた。中には作業への参加をためらう子どもたちもいたが、学生の上手なリードでうまく溶け込んでいった。

 できたパラボラを室内の天井灯に向けて光を集めたり、測定用のLEDランプを仮光源としてパラボラが反射する光を窓ガラスに写したりして、最も明るくなる位置(焦点)を探し、その位置とパラボラの中心との距離(焦点距離)を測った。最初、焦点を探す要領がよく分からなかった子どもたちも何度か繰り返すうちに慣れてきて、チーム内でバラバラだった焦点距離が、徐々に値がまとまってきた。最終的に、焦点がどこかをチームで判断し、メンバーそれぞれで測った焦点距離の平均値をそのパラボラの焦点距離として、その位置に手作りのLED光源を設定し、光源を光らせてパラボラアンテナを完成させた。

 最後に、5チームのパラボラアンテナの出来栄えを比べるため、暗幕のある教室に移動し、それぞれのチームで作ったパラボラアンテナから出る光の明るさを測定した。チームにより明るさが大きく異なっており、その理由がアルミ箔(テープ)の貼り方によることを子どもたちは実感していた。パラボラの出来栄えがよく、最も明るい光を出したチームからは「わぁっ」という歓声が上がっていた。最後に参加者全員で、5台のパラボラアンテナを囲んで記念撮影した。


完成した手作りのパラボラを前に記念写真に納まる
子どもたちと学生スタッフ

 今回、小学生に少し難しいテーマではないかと思い内心心配をしていたが、子どもたちを指導した5人のサイエンスカフェ運営プロジェクトメンバーの学生たちの事前準備、当日のスムーズな指導と参加者とのコミュニケーションのおかげで無事成功裡に終わった。学生たちも、前回の反省を踏まえて準備や発表、説明に工夫をしたようで、複数回の参加により、一人ひとりが一歩一歩前進していたように感じられた。また、出来上がったパラボラを家に持ち帰り、もっといろいろ勉強したいという熱心な子どもたちには、おみやげとしてパラボラを差しあげた。

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