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メディア情報学科の鎌田と申します。最初にプロジェクトの概要についてご紹介させていただきます。
最初にイノベーションの変化という壮大な話題で恐縮ですが、世の中の製品がどんどんよくなっていったのが20世紀です。研究開発の仕方が当時は既存のものに改良・改善を行なえば売れた時代であり、その製品の用途も主にユーザが考えていました。
ところが、その状態も20世紀の末から続かなくなり、何をつくればよいかが不明確になってきて、その提供形態も提案やサービスへと変化してきました。
これまでのように既存のものを改良・改善して提供するのではなく、「既存のものを組み合せて新しいものをつくり出すためにはどうすればいいのか」という考えが研究開発の現場で意識されるようになってきました。
このような時代にあっては、クリエイティブな人材、いわゆる21世紀型の技術者と呼ばれる人材が必要とされます。一番端的な例は、新しいデザインと機能を組み合せること、新しい感性と新しい機能を組み合せることが、今必要な典型的なパターンだと思います。
このプロジェクトの目的は、IT製品やサービスの利用の方法について、学生の感性と企業の技術を組み合せて新しいものを生み出すことです。
それを実行することで、学生は企業から技術を学ぶことができ、企業は学生の感性にふれることができるという相互メリットがあります。それによっていわゆるヒット商品のアイディアを探究するということです。
まとめると、学生の技術と企業の技術力をマッチングするということで、地域志向連携プロジェクトの精神に叶っていると思いましてこちらのプロジェクトに取り組みました。
一番端的な例で申しますと、企業から技術をいただいて、学生がそれにもとづいた提案を行い、企業から評価を得るものです。正課のなかで、たくさんの学生がいろんなアイディアを提案し、課外事業では試作を提案します。
こちらがプロジェクトメンバーになります。さまざまな学科から、職員にも参加いただいております。
プロジェクトでは、ヒット商品のアイディアを探究するためにこれらのことを行いました。
学生は行動目標として、以下のようなことを実践します。
ご覧いただいたように本学のCOC事業の中心的行動指針である「コトづくり」に取り組んでみようということです。
どこまで実現できたかはまだまだ途上ですが、これだけの学生が参加しました。延べ人数であることをご了承ください。表にある外部参加者とはプロジェクトに参加した人数であり、見学者などは含みません。
こちらが主な28年度の活動です。プロジェクトがスタートした平成27年度よりプロジェクトメンバーの教員の正課にプロジェクトの内容を組み込んでおります。
最初の2つの授業については、簡単に説明しますと、「最新技術を使って地域を活性化する」提案を行いました。企業から提供された10個くらいのテーマから学生が興味のあるものを選択して、利用方法のプレゼンテーションを行いました。
最初のコミュニケーション技法の授業では、学生アンケートでは「理解できた」58.5%、「一部理解できた」26.6%、「身近で技術が使えるようになると良い」「実際に触れてみたい」など、前向きなコメントが多数ありました。
企業講師へのアンケートでも、ためになったと。理由として、学生のコメントから地域との関連性などの価値を確認できた、新鮮な発想の提案があった、等の評価をいただきました。
次に情報フロンティア大意(経営情報)はこちらです。
こちらは私の授業ですが1年生と4年生ではレベルを変えて授業を行っています。
企業講師へのアンケートの結果として、「あまりためにならなかった」という声もありました。「学生の提案は甘かった」という意見もございました。その反面バラエティのある提案を知ることができたという評価もいただきました。
オープンセミナーに関しては、いろんな授業があるということで、いろんな方に参加いただくことによって起こる参加者間の相乗効果があるのではないかと実行しました。
こちらは私の研究室の学生を中心に集めたものです。大学の先生2名に来ていただいて起業と、地域活性化スマホアプリの2つのテーマでセミナーを行い、学生アンケートで好評価をいただきました。起業については「ビジネスコンテストに応募してみたい」といった前向きなコメントがありました。スマホアプリに関しては、最初に褒め合ってコメントするという仕組みで行いまして、これが非常に新鮮でアイディアの改善につながったとのことでした。講師へのアンケートでも好評価をいただいております。
私の授業やオープンセミナー1では、基本的に講師が一人で学生がたくさんいるという構図に変わりがないですが、その中で、質問に対し、学生があげた色のカードを自動集計するという方法を取り入れ、コミュニケーションの活性化を図りました。
2番目のオープンセミナーは複数の研究室が集まって実施しました。情報セキュリティをテーマに、サイバー事情とセキュリティ確保という内容で講義いただきました。他の科目でも同様の仕組みでやっています。2名の先生に来ていただき、大いにためになったという評価をいただいております。おもに人材育成というプロジェクトの趣旨からは少し違った観点ですが、よい評価をいただきました。
工場見学はスーパーコンピュータの製造現場やパーソナル機器の開発現場で行っています。そこでIoTとかITがいかに有効に活用されているかを知りました。
学生に見学前に提案をしてもらいましたが、見学時には見学に集中してしまったようで、工場への提案が浅いレベルに留まったという反省がございます。
企業の新技術を用いた新提案の試作活動をご紹介します。最初に述べました10個の企業の新技術から一番アイディアが多かったものを、地域活性化につなげるアイディアで実現したものです。LEDライトを仕込んだ燈籠をスマートフォンでキャッチするとURLが出て、建築模型の地図になり、スマートフォンの角度によっていろんな向きにできるというものです。試作品として大学祭で実演展示しました。
このアイディアを実現化できれば、金沢をはじめとした観光地における観光案内に活用できます。このアイディアは企業にフィードバックされています。
もともとは自治体に見ていただき、地域の活性化につなげたいと思っていましたが、まだその段階には至っておりません。
最後にまとめますと、正課については地域社会との関連づけが学びの意欲につながったと思います。課外については学びのフィールドを広げました。
これからの課題については、学生プロジェクトで学生が入れ替わりますので、プロジェクトの継続をどのようにしていくか、企業・自治体との課題の共有をどうするかといったことがあげられます。
現在、社会人に授業に参加いただく仕組みをつくっているので、社会人を交えた議論をプロジェクトに取り入れたいと考えています。さらに、多くの授業では1~2週間、長くても3~4週間のマッチング活動になっておりますので、より長期的にマッチングできる仕組みも必要です。
課外につきましては、有志の学生で実施して短い期間の活動になってしまったため、今後は研究室活動としてうまく取り組むことができないか思案しています。そして、地域のイベントに参加することで地域とのマッチングを図りたいと思います。私からは以上です。ありがとうございました。