平成25年度「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」採択 地域志向「教育改革」による人材育成イノベーションの実践

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KITトピックス/活動報告(平成27年度)

空間デザイン研究 環境・建築学部 建築デザイン学科 教授 川﨑 寧史
学科を横断してプロジェクトに取り組む

空間研究デザインプロジェクトについてお話させていただきます。平成26年度から27年度にかけて、環境・建築、情報フロンティア、工学など、オール工大と申し上げてもいい教員がグループとして活動し、学生も同様に学科の枠を超えて共に活動してきました。私は学部の異なる学生が共に作業している光景がとても好きです。

もともと私が建築系の先生と10年前から金澤月見光路という活動を続けており、その活動を通じて多くの学部の先生方と出会ったことが、このような活動を可能とした理由です。COC事業が始まる前から同様の地域活動をしてきたということでご理解ください。
金澤月見光路も10年を経て、次の10年のテーマは「デザインに知性(インテリジェンスを)実装する」を考えています。魅せるだけのデザインから実際に知性をもったものへと進化していこうということです。

技術と知識を駆使して積極的にイベントを展開

今年度は、昨年10月にJR金沢駅と香林坊から広坂にかけての市内中心部で金澤月見光路と金澤月見ゲートを同時開催しました。

KIT-COC事業の概要

産学連携による技術応用としまして、平成26年に立山科学工業が柔軟性のある紙の電極シートをつくり、本学に「何か応用できないでしょうか」と尋ねてこられました。そこで一昨年は4回、今年度はすでに5回、当大学で応用研究会を行い、COC事業に応用しています。


LED電極シート応用研究会の様子

この写真は立山科学工業の技術者の方に来ていただいて、照明装置のユニットをつくる実技をしている様子です。
 私たちはLEDシートを貼り付けた平板で造形、あるいは家具をつくるということも考え、池永先生にユニット化する仕組みを考えていただきました。
 それで平成26年と27年に香林坊アトリオ広場でこのようなカフェブースをつくり、地域連携による賑わい創出として3店舗の飲食店に利用いただきました。夕暮れになると明かりが灯り人が集う様子です。ここに使われている電気は、LED電極シートで個別に光らせています。このアイディアは、本年度の石川県デザイン展ににおいて石川県観光連盟理事長賞に輝きました。


石川県デザイン展で空間デザイン部門〔インテリア〕石川県観光連盟理事長賞を受賞

さらに緑化材のメーカーである株式会社トーケンと緑化材を組み込んだユニットをつくり、昨年10月に、しいのき迎賓館でオーガニックCafeをつくりました。この時は5つの地元のオーガニックを扱う店舗が出店し、賑わいをみせました。
この構造体は出展者が自由にカスタマイズできるのが特徴です。我々は造形ではなく空間をつくっており、店舗の方々がどんどんカスタマイズすることができます。このアイディアは全国コンペに応募し、見事に奨励部門賞をいただきました。


会場でもひときわ目を引くLEDシートの店舗

「主張する『みせ』学生デザインコンペ」で
奨励部門賞を受賞

これは平成26年なんですが、伸び縮みするような空間をつくりたいということと、影絵がおもしろいという女子学生の発想からジャバラの空間をつくりました。構造の西村先生と私どものグループが一緒につくったものです。
内側から枠に光が当たることで、そこを通り抜ける人たちが動く影絵となり、子どもたちがとても喜んでいました。デジタルではないけれど、こういう映像もあるんだということでご紹介します。


花畑をくぐり抜けるー花の小路-
(しいのき迎賓館 2014)

こちらは宮下先生が例年つくられている線材を組み合せた大型のオブジェです。平成26年は21世紀美術館、翌年はしいのき迎賓館に設置しました。しいのき迎賓館では地域連携のイベントとして女性グループによるパフォーマンスが行われました。


大型遊具型オブジェと地域連携によるコンサート(しいのき迎賓館 2014)

こちらは土田先生、出原先生、ご提供いただいた立山科学グループがICチップを実装した携行型あかりを開発し、参加者に金澤月見光路のスポットを巡回していただく企画です。ICチップに情報が蓄積されますから、最後にそれをデジタルのポストカードにしてプレゼントしました。この試みは継続して行う予定です。


携行型のあかりオブジェ

プロジェクションマッピングで多くの人を魅了

金澤月見ゲートでは出原先生による金沢駅もてなしドーム(鼓門)のプロジェクションマッピングも行いました。垂直や水平な部分がなく、ねじれているなど、厳しい条件下でこれだけのパフォーマンスができるのは素晴らしいことだと思います。
観賞型のプロジェクションマッピングとともに、身体の動きに感応して変化する動的映像のプロジェクションマッピングを投影しました。スマートフォンという身近なアプリで参加できる参加型のプロジェクションマッピングでもあり、日本空間デザイン大賞2015において「エンターテインメント&クリエイティブ・アート空間」部門入選を果たしました。


北陸新幹線開業キックオフイベントとして行われたプロジェクションマッピング(金澤月見ゲート)

さらに、北陸新幹線開業に向けて金沢駅から武蔵までの道を彩りたいということで、星の道を作りました。昔、旅人が星を見て旅をしていたことから、音センサーで光の色が変化するハイテクの星型のユニットを作り、「ほしあかり」と名付けました。
それが好評で、片町商店街やタテマチストリート、香林坊・広坂エリアへと広がり、多くのイベントに要請をいただきました。

若者の街として知られる「タテマチストリート」では、賑わい創出のためのブランディングを行うこととなり、金沢駅周辺の星の道とリンクする形で「雪のストリート」を表現しました。 11月から2か月間、商店街にプロジェクションマッピングで雪のストリートを表現し、その際に使用したCGはすべて学生がつくりました。
街路樹に雪がまとわりつき、それがお店のウインドウにどんどん積もっていき、最後にクリスマスツリーになっていく映像です。商店街の方からは、店側は通常雪を嫌うので自分達にはない新鮮な発想だと喜ばれました。

この期間には「ロマンティックタテマチ」としてコンサートを始めとしたさまざまなイベントも開催されました。こちらも日本図学会中部冬季例会で奨励賞をいただきました。
これまで多くの賞をいただき、学術発表、地域発表会等を行ってきました。COC事業は大学が持つ知識、技術を地域に還元することが大切だと思っておりますので、これからも積極的に活動を展開していきます。私からのご報告は以上です。ありがとうございました。

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