学長メッセージ

イノベーション創出を可能にする「世代・分野・文化を超えた共創教育」を実践します

学長 大澤敏

金沢工業大学は2016年度からプロジェクトデザイン教育を軸として「世代・分野・文化を超えた共創教育」を実践します。世界の舞台で活躍できる能力を育む「アクティブでオープンな夢考房キャンパス」を実現し、学生はそれぞれの夢やビジョンの実現を目指してアクティブに知的創造活動に取り組みます。

学長 大澤敏

今日のように科学技術が多様化し、予測困難な時代において科学技術創造立国として日本が世界をリードし、成長し続けるためには、「技術革新」、すなわちイノベーションを絶え間なく創造できる人材の育成が不可欠です。

このような社会からの期待にこたえるため、金沢工業大学(KIT)は、建学の綱領である「高邁な人間形成」「深遠な技術革新」「雄大な産学協同」に基づいて、人間力豊かで、イノベーション力を持った「自ら考え行動する技術者の育成」を目指しています。

金沢工業大学は、お互いの立場を認め理解しながら、協力して知恵を出し合い、社会に役立つ新しい技術を生み出そうとする挑戦の場です。その教育の最大の特徴は、学生自らが社会的価値を持つ研究課題を発見し、解決策を創出してゆく、「プロジェクトデザイン教育」と呼ぶ独自のプロジェクト型実践教育を教育の柱に据えていることにあります。

そして授業・プロジェクト・研究に、研究者・技術者・地域住民・外国人が参画する「世代・分野・文化を超えた共創教育」を全学で展開しています。学生は世代・分野・文化の異なる人達と共に学び、共にプロジェクトを進め、共に研究に取り組むことで、イノベーションを創出するための

●未来へチャレンジする研究力

●学力×人間力=総合力

●グローバル対応力

を実践的に身につけます。

正課(学力)×課外活動(人間力)」による総合力育成

金沢工業大学(KIT)は、チームで問題発見と解決に取り組むプロジェクトデザイン教育を教育の柱に据えています。2011年には、MITやスタンフォード大学など36か国、130以上の高等教育機関が参加する工学教育の事実上の世界標準「CDIO」(Conceive:考え出す、Design:設計する、Implement:実行する、Operate:運用するの略)に日本の大学で初めて加盟し、教育改革を推進しています。

ユーザーが必要としているものを発見し、創出した解決策はプロトタイプとして具体化し、実験・検証・評価するという一連のプロセスを通じて、グローバル人材に必要とされる「イノベーション力」を養っています。

2016年からは「eシラバス」の本格的な運用を開始し、100を超える課外プロジェクトと正課を連動させることで、「正課(学力)×課外活動(人間力)」による総合力育成を図っています。2017年4月にはアイデアを具体化できるさまざまな機器や広々とした屋内試走スペースを完備した「夢考房」の新建屋も完成し、正課、課外の両面で「CDIO」を推進しています。

試作から実証実験、社会実装まで、イノベーションを可能にする環境が整う

ABUロボコン2013世界大会で優勝し、世界一となった夢考房ロボットプロジェクト。金沢工業大学には100を超える課外プロジェクトがある

2017年4月から運用を始めた新・夢考房は、従来あった2つの夢考房の1.7倍の面積で、学生の自由なものづくりの拠点としてグレードアップしました。金属3Dプリンタや樹脂3Dプリンタ、電子基板の製作や金属加工、樹脂加工、木材加工などのブースのほか、ディスカッションするスペースや巨大な屋内試走スペースも備えています。

また金沢工業大学の15の研究所が集積した「やつかほリサーチキャンパス」では、卒業研究や修士研究で生み出した仮説や理論を高度な研究環境のもとで具体化し、実験、検証することが可能です。

さらに金沢工業大学には実証実験キャンパスとして「白山麓キャンパス」があります。AI、IoT、ビッグデータ、ロボット等を駆使して地域創生に取り組む全学横断型イノベーションプロジェクトの拠点で、研究成果は社会実装し、実証実験を行うことができます。

左:自由なものづくりの拠点「夢考房41」/中:金沢工業大学の15の研究所が集積した「やつかほリサーチキャンパス」/右:「白山麓キャンパス」は実証実験キャンパス。社会実装も可能

国内初、人工知能IBM Watson による修学支援サービスを開始

金沢工業大学は国内で初めて、人工知能 IBM Watsonによる修学支援サービスを実施しています。「KITコグ」と呼ばれる人工知能を搭載した「修学アドバイザー」が、100万件を超える卒業生の学習履歴から学生が目標とする人物像に類似した卒業生を抽出し、その卒業生の在学中の活動データをもとに、個々の学生に正課・課外で次にどのような行動をとるべきか最適なアドバイスをタイムリーに行うことができます。

「世代・分野・文化を超えた共創教育」の実践

チャレンジラボは、AIやIoT、ビッグデータ、データサイエンスなどの、未来に向けた新技術を全学科の学生が学べる場としての機能も持つ

アクティブラーニングが急速に普及しています。これまでの大学では議論を行うにしても同世代の学生同士で行うことが多かったのですが、実社会では多様な専門分野を持つ多様な世代の人達とプロジェクトを進めていくことになります。つまり多様な人の意見や発想に触れることがイノベーション創出の土台となるのです。

そこで金沢工業大学の共創教育では、技術者・研究者等の社会人との「世代」を超えたコミュニケーションや、他学科の学生や地域の人々との「分野」を超えたコミュニケーション、留学生をはじめとする海外の人々との「文化」を超えたコミュニケーションを重視し、物事を多面的に捉える力を養成しながら、イノベーションを創出するための教育・研究を進めています。

プロジェクトデザイン科目でも「社会人共学者」として企業の技術者や行政担当者が授業に参画しています。2018年度からは従来の学科単位のチーム編成から、学科横断型のチーム編成に変えることで、学生は自らの専門性を意識しつつ、さまざまな専門をもつ仲間と議論することができます。研究室の枠を超えて社会性のあるテーマに取り組む「クラスター研究室」も2017年から本格的に活動を始めています。企業の技術者も参画することで、より実社会での技術開発と近い取り組みとなります。2017年7月にはこの活動の拠点となる「チャレンジラボ」が、扇が丘キャンパスに完成しています。

得意分野を教え合うことが最大の学び

金沢工業大学には教育全般を通しての基本的な考え方として、「教学半」(きょうがくなかば)という中国の古典の礼記に記されている言葉を重視しています。この言葉には、教えることは同時に学ぶことでもあるという意味が含まれています。教える立場の者は学ぶ者より数倍の力量を持たねば、わかりやすく教えることはできません。教えることこそ最大の学びなのです。

金沢工業大学では「学生が教えられる側から教える側の立場になる仕組み」を全学的に展開しています。「学生同士が教え合う」独自のアクティブラーニングが2016年度入学生から全授業科目で導入されるとともに、キャンパスの各所に設けられた「ラーニングスクエア」では、昼夜を問わず、学生が得意分野を教え合う自主勉強会が行われています。

学問の本質を学び、未来へチャレンジする研究力を身につける

左:ガリレオ・ガリレイ プトレマイオス及びコペルニクスの世界二大体系についての対話 フィレンツェ, 1632年, 初版 金沢工業大学所蔵/右:アイザック・ニュートン 自然哲学の数学的原理(プリンキピア) ロンドン, 1687年, 初版 金沢工業大学所蔵

未来の生活を変えるイノベーションはさまざまな学問を統合してこそ生み出されます。イノベーションは学問の本質を深く理解し、その発想や着想に共感することからしか生み出せません。

金沢工業大学は科学的発見や技術的発明が最初に発表された初版本を2000冊所蔵しています。この初版本を活用した教育・研究が「チャレンジラボ」を拠点に始まります。ガリレオは「なぜ星は落ちてこないのか」というサイエンスの本質を考え、当時発明されたばかりの望遠鏡をガリレオ自身で設計、製作し、天体観測と検証を行いました。また万有引力で知られるニュートンの「プリンキピア」初版本では、運動の三法則は数式ではなく、幾何学と各種の実験で導き出された概念が文章で記述されています。学生はガリレオやニュートンなどの初版本に触れ、その思考のプロセスを辿り、記述されている各種の実験器具等を設計製作し、実際に実験してみることで、彼らの概念や理論、技術を本質から理解することができます。

オットー・リリエンタール 飛行術の基礎となる鳥の飛翔 ベルリン, 1889年, 初版 金沢工業大学所蔵
ライト兄弟も参考にした研究書。なぜ鳥が飛ぶのかという本質を学べば、全く新しい形状の飛行機を創り出すことも夢ではない

1889年に完成したエッフェル塔の設計図も、金沢工業大学は所蔵しています。この設計図を建築や材料を学ぶ学生が見たら、どのように感じるでしょうか。力学に基づく合理的な形態と美しさとの関係を考える。最先端の複合材料を使い、斬新なデザインでより高さのあるものを作れないか考える。チャレンジラボでは設計図をもとに学生が3Dプリンタを活用して実際にミニチュアを製作する中で、こうした事を学生自身で考えていきます。
当時の技術と実験精度の中で明らかにされた偉人たちの研究にはまだ実現されていない部分も多くあります。科学技術の偉人たちは何を考え何を語ったのか、そして彼らが生み出した原理や発見は未来に何をもたらし、生活をどのように変えていくのか。今日の技術と学生たちの斬新な発想があれば、それをもとに全く新しいイノベーションを生み出せるかもしれません。

加速する「文化を超えた共創教育」グローバル対応力を身につける

「プロジェクトデザインI」(1年次後学期)英語コースの模様。問題の発見・解決から成果発表まで、すべて英語で行われる

近年、金沢工業大学のプロジェクトデザイン教育はASEAN諸国から注目され、その教育手法を学びに金沢工業大学に留学する教員が増えています。また既に教育現場へ輸出された成果も出ています。このように世界中の文化の異なる人々が「共同と共創による価値」のために“集まり”“協働する”グローバルなキャンパスを金沢工業大学は理想としています。

理工学英語を軸とした授業運営も加速しています。入学式直後に行われる必修科目「修学基礎」の第一回目の授業「学長講話」は今年から質疑応答も含め、すべて英語で行われています。一部の専門科目ではテストの問題を英語で出題しています。プロジェクトデザイン科目でも昨年から英語コースが設けられ、多くの学生が率先して履修しています。2020年には全授業の50%で理工学英語を取り入れることを目標にしていますが、新しい概念を教える際には日本語でしっかりした理解を促します。さらに基礎的な専門用語やよく使う表現を網羅した英語の用語集をeシラバス上に公開することで、自学自習の助けとしています。

金沢工業大学の学生と留学生のペアが一緒に日本企業のインターンシップに参加するバディ制度や国際coop教育も進めており、グローバル社会で通用するコミュニケーション力を養うことができます。さらに工学分野の大学院で全米トップ大学の一つ、ニューヨーク州のロチェスター工科大学との間でDual Degreeプログラムを2018年より開始します。金沢工業大学の大学院工学研究科情報工学専攻博士前期課程の学生が、金沢工業大学とロチェスター工科大学の両大学院で学び、修了要件を満たすことで、最短2年間で両大学の修士号を取得できるというものです。学生にとって有益なプログラムであるとともに、金沢工業大学の授業の質が高く評価されている証といえます。

「工学教育における革新(Innovations in Engineering Education)」をメインテーマとした「CDIO 2018国際会議」を2018年6月28日(木)から7月2日(月)にかけて、扇が丘キャンパスで開催します。期間中は工学教育に関する基調講演・発表やワークショップなど、さまざまなプログラムが実施される予定です。世界のCDIO加盟大学との交流の中で、イノベーション創出にむけた工学教育のさらなる進化を目指します。

多国籍チームで問題発見・解決に取り組む「ラーニングエクスプレス」

フィールドワークで得た情報をまとめ、何が問題で何が必要とされているのか議論する

「ラーニングエクスプレス」はアジアの学生達と多国籍チームを組み、アジアの村でイノベーション創出に取り組むグローバル人材育成プログラムです。専門分野や言葉や文化も違うアジアの学生たちがチームを組み、地域発展、環境問題、持続可能な社会の観点から、村人(ユーザー)の立場になって何が問題で何が必要とされているのかを考え、生み出した解決策は試作品として具体化し、村の方々に提案します。製品化は「現地住民が現地の技術水準で実施可能であること」が求められています。

金沢工業大学はこの「ラーニングエクスプレス」での解決策の具体化を行う拠点となり、世界に学生が出向くだけでなく、世界から学生達が金沢工業大学のキャンパスに来て、多国籍チームで地域の課題に取り組む構想を進めています。

交通アクセス
921-8501 石川県野々市市扇が丘7-1 TEL:076-248-1100
  • ハイ・サービス日本300選
  • JIHEE[(財)日本高等教育評価機構 認証評価]
  • JUAA[(公財)大学基準協会]

K.I.T.(ケイアイティ)は金沢工業大学のブランドネームです。

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