Books That Changed The World

世界を変えた書物

それでも地球は動いている

プトレマイオス及びコペルニクスの世界二体系についての対話

ガリレオ・ガリレイ「プトレマイオス及びコペルニクスの世界二体系についての対話」フィレンツェ 1632年初版

「天文対話」と言う略称で良く知られるこの書物ほど文化的影響力を持った書物は歴史上あまりない。それまで二千年以上も信じられてきた地球中心の宇宙構造、アリストテレスが基礎づけプトレマイオスが理論化した天動説を、否定し逆転させたのはコペルニクスの太陽中心宇宙構造、地動説であった。しかし、この地動説を一般の人々に普及し、決定的に受けいれさせたのは実にこの本であった。本書は正面切ったコペルニクス説主張の書物で、コペルニクス説支持者と、プトレマイオス説支持者、中立的立場の者の三人が議論するという形で書かれている。プトレマイオス説支持者シンプリチオは全く愚鈍な人物として描かれ、彼の議論は論破に次ぐ論破をされてコペルニクス説の正しさが強調されると言う結論になっている。本書は出版されるや否や、一千年もプトレマイオス説を正当と定めてきたキリスト教教会から強烈な反発を受けた。特にシンプリチオの愚鈍さは当時のローマ法皇ウルバヌスVIII世をあてこすったものだと中傷され、1633年、ガリレオはローマの異端審問所に拘禁され宗教裁判にかけられた。裁判ではコペルニクス説を放棄するか焼き殺されるかと迫られ、彼は止むなく自説の放棄を申し出て釈放された。だが、釈放されて審問所に出た時に「それでも地球は動いている」と呟いたと言うことが伝わっている。このことは宗教に対する科学の勝利、また偏見に対する真理の勝利を象徴するものとして有名になり広く伝えられたが、正にこのことによってこの書物は陰で良く読まれコペルニクス説の普及に多大の貢献をしたのである。上掲の扉絵はこの議論を象徴して、左端のアリストテレスが中央のプトレマイオスと右端のコペルニクスに何事か説明しているところが描かれている。 (金沢工業大学教授 竺 覚暁)

 

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ここに掲げた書物は、金沢工業大学の科学技術稀覯書コレクション「工学の曙」文庫所蔵のものです。金沢工業大学は、洞察力に充ちた次代の技術者を育成する為に、全学生に対して「科学と文化」「科学と環境」「科学技術史」など科学や技術の文化史、思想史、倫理に係わる科目を必修としています。「工学の曙」文庫はそのバックボーンをなすものとして講義に生かされています。

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