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Planck, Max. (1858-1947).
Zur Theorie des Gesetzes der Energie Verteilung im Normalspectrum.
Leipzig, 1900, First edition.

マックス・プランク(1858-1947)
正規スペクトルのエネルギー分散則の理論
ライプッィヒ, 1900年, 初版

 ニュートンによって既に確立されていた物理学の領域と科学的世界観を全面的に革新したのは、プランクの量子論とアインシュタインの相対性理論でした。本書はプランクの量子論の有名な報告です。
 プランクは熱力学の研究を手始めに研究生活に入り、やがて黒体輻射の問題に興味を抱くようになりました。黒体とは入射するあらゆる輻射をすべて吸収し、熱すると光の全領域のものを輻射(放出)するという理想物体のことです。この理想的な輻射において高温の下では、短い波長の波の数は長い波長の波の数にくらべてはるかに大きくなります。このことはほとんどすべてのエネルギーは高い周波数の波として輻射されていることを意味します。それだから、もしエネルギーが連続的に均一に分布して放射されているとすれば、それはいわゆる紫外発散あるいは紫異変を生ずることになるでしょう。
 ところが、輻射の実際について見ると、上の理論にかかわらずこのような現象は起らないのです。この矛盾を解決しようとして、プランクはエネルギー分布の新しい式を提出しました。
 それは輻射の際の全波長領域に適用できるものでした。エネルギーの連続性の仮説を否定することによって、プランクはエネルギーは連続しているものでなくて、不連続な分離量として吸収され、また輻射されるものと結論して、これを「量子」と呼びました。これはすなわち輻射エネルギーの最小量であって、振動数と作用量子6,624×10-27エルグ・秒の積であらわされます。この数値をプランクの定数と呼び、これは物理学で最も基本的な定数になっています。
 この結論がいくぶん不可解であるのは周波数は波動の連続性の性質であるのに、これに対して「量子」はエネルギーの不連続性を示しているからです。しかしこれは、光には粒子と波動というエネルギーの両義的な性質が実在することを示唆したもので、それゆえまた古典物理学の限界を示すものでもあったのです。
 プランクは当時、この学説が革命的な重要性を持っていることを自覚していませんでしたが、彼は新しい物理学の領域、すなわち量子力学として知られる領域を創始したのでした。量子力学はアインシュタインによって光電効果の研究において確められ、拡張され、続いてシュレーディンガー、ハイゼンベルグ、ディラック等によって確立されました。このような物理学に対する貢献によりプランクは1918年ノーベル賞を受けたのでした。
 

金沢工業大学ライブラリーセンター所蔵