軍事論
1472年
ロベルトゥス・ヴァルトリウス(1413-1484)
 ヴァルトリウスは15世紀イタリアにあったリミニ公国の王、リミニ候マラテスタの技術顧問をしていた人です。イタリアは当時多くの小国に分かれて争っていましたから、彼の主要な仕事のひとつは、王の為に色々な軍事機械-兵器を考案する事でした。彼は当時知られていた軍事技術に自分のアイデアを加えて、1460年にこの本を書き上げました。最初は手で書き写した写本によって広く読まれたのですが、1472年に遂に印刷本となって82枚のイラストをつけて出版され、当時のベストセラーになりました。これがその本です。  イラストを見てわかる様に城攻めの機械や戦車や野戦用の橋等、当時の技術水準が良くわかります。また潜水服や潜水艦のアイデア等、近代になって実用化された技術の着想も見られます。レオナルド・ダ・ヴィンチもフィレンツェ公国の王チェザーレ・ボルジアの技術顧問をしていた時、この本を一冊持っていて、ヴァルトリウスのアイデアを幾つか取り入れたのでした。