ライフサイエンス、医療、バイオテクノロジーおよびナノテクノロジーを基盤とする分野においては、個人の多様性、年齢層の拡がり、価値観の拡がりなどに対応した、従来の工学とは異なる基準に基づく製品やサービスの開発が求められている。さらには、これらの製品やサービスは、我が国国内のみを対象とするものではなく、広く地球規模において複数の国や地域をその対象とするものである。このような背景の下、ライフサイエンス、医療、バイオテクノロジーおよびナノテクノロジーを基盤とする応用バイオおよび応用化学の分野において、従来の工学の枠を超えた発想を持ち、新規な産業を立ち上げていくことができる技術者の育成が求められている。バイオ・化学専攻では、応用バイオ学および応用化学の基盤を修得した上で、深く自らの研究を探究することにより基礎学力および応用・実践力をバランス良く身につけ、従来の工学の枠組を超えて、広く社会において活躍する応用バイオあるいは応用化学技術者の育成を目標とする。
現在、広範な分野でバイオテクノロジーが用いられ、医薬品や検査薬、さらに遺伝子治療や再生医療へと発展しつつある。DNAからRNA、RNAからタンパク質合成までの遺伝子情報の流れの本質を理解し、バイオ工学分野への応用と新分野の創造を目指す。分子生物学、細胞生物学、生化学や医用工学などの学術領域全般を修得し、バイオマテリアルの創製、核酸やタンパク質などの解析、遺伝子組換えによる物質生産やタンパク質の改変ならびに生命現象の計測と制御に関する理解
を深める。
目標●1. 本質・真理をつねに大事にし、客観的に追求することができる。2. 未知のもの、わからないことに、好奇心をもって取り組むことができる。3. 世界に先駆ける基礎・応用研究に貢献し、関連技術を修得しようと努力することができる。4. 生命科学を学ぶ意義を説明することができ、客観的に論じることができる。5. 研究成果を論文にまとめるとともに、口頭発表などにより、社会に公表することができる。
行動は知覚や運動制御、動機づけ、さらには学習・記憶などによって組み立てられている。その行動を生み出しているわれわれの脳や動物の中枢神経系の構造と機能について学ぶ。脳や神経系について、細胞レベルの生理学や形態学にとどまらず、生物物理学、分子生物学、神経生化学、神経システム生理学などによって得られた最新の解析結果についても体系的に学ぶ。さらに、認識や理解、情動といった高次脳機能についても、非侵襲脳機能解析などによって得られた最新の知見を学ぶことによって、情報処理装置としての脳への理解を深める。
目標●1. 感覚、認知、知覚について説明できる。2. 筋肉の働きとその仕組みについて説明できる。3. 脳を構成する神経細胞の機能とそれを支える構造について説明できる。4. 神経細胞の興奮の伝導と、神経間の伝達の仕組みについて説明できる。5. 脳による運動の調節について説明できる。6. 脳の構造と機能局在について説明できる。7. 脳の統合機能について、人間と動物を比較しながら説明できる。
環境化学は、地球環境における物質とエネルギーの循環ならびに化学的挙動を解明し、環境汚染物質の除去システムや環境保全のための新しい手法などを構築する基礎となる学問分野である。環境化学特論では、分離分析化学、機器的環境計測法、水圏環境化学などの関連学際領域を総合的に講述し、水中の微量化学種の化学反応に関する知識を修得する。
目標●1. 環境化学の領域における自らの研究の学問的位置づけと意義を、教員の指導の下に文章化して説明することができる。2. 研究の位置づけと意義の理解に基づき、研究計画について教員と討論ができる。3. 研究遂行に必要な機器操作や実験操作を正確に行うことができる。4. 教員の指導の下に、探査した文献の内容が理解できる。5. 教員の指導の下に、文献調査の結果などを考慮しながら、得られた実験結果を化学的に考察することができる。6. 研究成果を口頭発表などにより、教員の指導の下に社会に公表することができる。
有機・高分子機能化学は現代のあらゆる産業を支える基盤学問である。本科目においては、有機機能物質や高分子材料の高機能・高性能化、あるいは全く新しい機能を有する次世代型の機能物質の創成に関する研究を行う。さらにバイオテクノロジー、無機化学、環境化学に関連する技術と融合させて環境調和・環境修復型の新素材の開発、繊維、食品、衛生、医療・福祉分野で必要となる人に優しい新機能物質やそれらを複合化した新素材の技術開発を行う。
目標●1. 有機化合物や高分子材料に関する最新の研究動向を把握し、自らの研究の意義、社会への影響について説明できる。2. 有機機能物質や高分子材料の高機能、高性能化に関する研究計画、あるいはバイオテクノロジーとの融合領域における研究計画を立て、それらをプロポーザルとしてまとめることができる。3. 研究成果を国内および国際会議での発表により社会に公表することができる。4. 実験データを正しく評価し、他者と議論しながら、研究を進めることができる。
無機機能化学は、有機・高分子機能化学とともに現代の先端産業を支える基盤学問である。本科目においては、地球環境や人にやさしいプロセスあるいは物質を創製していくことを目的として、無機機能化学を、有機機能化学、ナノテクノロジーあるいはバイオテクノロジーと融合しながら、実践的な無機機能化学物質の合成プロセスあるいは物性、そしてプロセス評価手法および物性評価手法に関する基礎知識およびこれらの高度な応用のための基盤知識を講義あるいは論文講読などによ
り修得していく。
目標●1. 自らが専修していく学問領域に関する基礎知識を持つとともに、これを研究の遂行に応用することができる。2. 自らが専修していく学問領域において研究を遂行していく上で必要な高度な知識を、自らの基礎知識に基づき得ていくことができる。3. 自らが専修していく学問領域の位置づけと意義の理解に基づき、専修していく学問領域における研究の計画を立てることができる。4. 自らの専修学問領域における研究活動において得られた研究結果を、自らの持つ知識あるいは文献などの調査の結果に基づき、論文にまとめることができるとともに、これを客観的に論ずることができる。
学部で学んだ生化学をベースとし、前半では糖質や脂質、タンパク質や核酸などの生体関連物質の生合成ならびに代謝について、後半では天然物化学を通じた二次代謝について詳細に学ぶことを目的とする。全体を通じて基本となる酵素反応では、有機電子論ならびに立体化学を交えてより詳細に理解し、機能性タンパク質の代表たる酵素の本質に迫る。天然物化学においては、ポリケタイドやテルペノイド、ステロイドやアルカロイドの生合成を通じて二次代謝の基礎を理解するとともに、医薬候補物質の宝庫たる二次代謝物の各論についても触れる。
目標●1. 生体関連物質の構造・分類・性質について理解し、説明できる。2. 生体関連物質の生合成ならびに代謝について理解し、説明できる。3. 酵素反応を立体化学ならびに有機電子論的に理解し、説明できる。4. 代表的な二次代謝物の構造・性質・生合成経路を理解し、説明できる。
生命体の構造や機能を理解するためには、個体の発生からその死までの過程および進化の過程での変化についても知ることが重要である。この講義では生命維持のためのさまざまな機能に焦点を当てながら、特に人体の構造とその機能を定量化する測定方法とその正常範囲の検査値について学習する。
目標●1. 単細胞の構造と機能に関する必要事項を理解し、説明できる。2. 生命体としての人体を構成する各組織についてその特徴と機能を理解し、説明できる。3. 脊椎動物の受精卵から成体までの発生過程について理解し、説明できる。4. 生命体の機能を調べる古典的な計測手法から最新の計測手法についての特徴と限界を理解し、説明できる。5. 人体の持つさまざまな機能を定量化した場合に得られた検査結果の正常値範囲を理解し、説明できる。
生命現象そのものは、タンパクや核酸が主役となる情報伝達メカニズムから、脳が取り扱う高次の情報処理に至るまで、情報処理がその本質である。また、生命現象においては、理解しようとする現象由来のデータが、他の要因によるノイズのために乱されて、直接的な表現が意味をなさない事が多い。本科目では、実験データから意味を取り出すための、さまざまな統計的手法を修得し、生命現象の理解を情報的視点から深めることを目的としている。生命科学の基礎だけでなく、情報科学とコンピュータ利用の基礎を修得していることが望ましい。
目標●1. 遺伝子、タンパク質、生体イオンなどによる細胞内情報伝達機構を説明できる。2. 細胞外刺激受容の物質とメカニズムおよび、細胞間情報伝達機構を説明できる。3. 計算機を用いた大規模データ処理技術による分子進化学的解析について説明できる。4. 生命現象のさまざまな統計的取り扱い手法について説明できる。
無機化学および物理化学は、無機機能化学の基礎となる科目であり、さらには机上における知識の修得のみではなく、演習を交えてはじめて十分な学力が修得できる科目である。本科目においては、物質の状態、化学熱力学、熱化学、化学結合、化学反応、結晶構造などの基礎的な項目について、演習をまじえながら学んでいき、学部における自らの学びを振り返りながら、修得してきた知識をより実践的な知恵に変えていくことを目標として修学を進めていく。
目標●1. 原子および分子の構造を説明でき、これに関する演習問題を解くことができる。2. 物質の状態と構造を説明でき、これに関する演習問題を解くことができる。3. 熱力学第一法則および第二法則を説明でき、これらに関する演習問題を解くことができる。4. 化学反応速度論を説明でき、これに関する演習問題を解くことができる。
学部の有機化学および高分子化学に関連した科目で学んだ有機合成法、有機化合物の構造と性質、諸物性の解析方法、およびプラスチック、ゴム、繊維、接着剤などの高分子化合物を利用する場合に必要となる、化学的性質、力学的性質、表面の性質、電気的性質、環境適合性などに関する基礎項目を、演習問題や課題を考えながら学ぶ。そして、大学院で新しい有機機能物質や高分子材料またはそれらの複合物を創成するために必要な基礎学力を修得する。
目標●1. 基本的な有機合成反応を理解できる。2. 有機化合物の構造と性質の関係を理解できる。3. 高分子材料の化学的性質と物理的性質を理解し、その主な測定法を説明できる。4. 高分子材料の環境適合性を評価する手法を説明できる。
化学反応を理解する上で、化学平衡の知識は必要不可欠である。本科目では、これまでに学習した各種化学平衡論を復習し、演習を中心とした学習により、平衡論的思考を養うと共に、溶液内平衡について説明できる能力を身につけることを目標とする。
目標●1. 酸塩基反応を理解し、説明できる。2. 酸化還元平衡を理解し、説明できる。3. 錯生成反応を理解し、説明できる。4. 沈殿生成平衡を理解し、説明できる。5. 二相間分配平衡を理解し、説明できる。
近年、分子レベルで生体反応を理解する分子生物学が生物学の大きな潮流となっている。また、環境問題においても遺伝子組換え技術により、生物を利用して解決する研究が進んでいる。本講義では、生物を遺伝子やタンパク質などの分子機能から理解し、遺伝学や生化学の最新手法を会得しながら、疾患の病態や遺伝子組換え食品について、分子レベルから理解する生物学を学ぶ。
目標●1. 現在、認められている結論(説)に至った実験系の経緯とその歴史的背景を説明することができる。2. 遺伝子異常によって引き起こされる病気について説明できる。3. 遺伝子組換え食品について解決しなければならない問題点を説明できる。4. 簡単な英語の論文を読むことができる。
分子生物学は、生物の持つ共通法則として、生命現象の設計図が書き込まれている遺伝子からタンパク質が作られる過程など理解した上でのバイオテクノロジーの根幹である学問である。本教科においては、特に物質の代謝に関係させた物質生産を変異育種、遺伝子組換えおよび培養工学的な立場から学習する。発酵による物質生産は、食品や医療分野における基幹技術であり、その基礎や応用を学習する。
目標●1.ターゲットとなる物質の代謝を説明できる。2.微生物の変異育種について説明できる。3.遺伝子工学技術について説明できる。4.培養工学に関する諸条件について理解し説明できる。
私達は視覚や聴覚などの感覚器官を介して対象物やその状況を認知し、目的行動を達成するための運動を行っている。この時、脳内では感覚システムから得られた膨大な情報を処理しつつ、さらに処理結果に基づいて運動を計画・計算・実行している。本講義では、人間および高等動物における感覚・運動、さらに高次脳機能である認知、学習、情動、記憶などの仕組みを理解し、情報処理システムとしての脳の構造や機能・特性を工学的な分野に応用するための基礎を修得する。
目標●1. 脳における情報処理過程の概略を説明できる。2. 感覚系および運動系の情報処理過程を説明できる。3. 心理物理的計測および脳機能イメージングなどによるデータが意味することを見極めることができる。4. 脳情報システムの特性に基づいた工学的応用に関して議論できる。5. 脳情報システム関連の原著論文を読むことができる。
環境化学は、地球環境における物質とエネルギーの循環ならびに挙動、およびそれらに連携して引き起こされる化学反応を解明する学問である。本科目では、環境汚染の原因解明と健全な環境の保全を目的として、物質とエネルギーの環境中での循環および挙動の解析法、ならびに環境汚染物質の除去システムあるいは環境保全のための新しい手法の開発に関する研究を、企業あるいは他大学、種々の研究機関との共同研究などを交えながら、行っていく。
目標●1. 環境中の物質の挙動とエネルギーの循環について説明でき、これに関する演習問題を解くことができる。2. 水溶液中の主要な平衡反応について理解でき、これを説明することができる。3. 水溶液中の化学種の主要な定量方法について説明でき、これらに関する演習問題を解くことができる。4. 水溶液中の化学種の主要な分離濃縮法について、説明することができる。5. 水溶液中の化学種について、分離濃縮法や定量法を提案することができる。
有機・高分子機能化学は、繊維、食品、衛生、医療、福祉、自動車、電機などあらゆる産業に応用されている有機系機能物質を対象にした学問分野である。本科目では、有機機能物質や高分子材料の高機能・高性能化、さらには環境化学やバイオテクノロジー、ナノテクノロジーを利用して新しい機能物質や高分子材料を創成するために必要な有機・高分子関連の専門知識を学ぶ。そして、1つの工業製品が複数の要素技術の融合または複合化によって成り立っていることを実際の事例などを通して学習する。
目標●1. 有機機能物質の構造と性質を説明できる。2. 高分子材料の高機能化・高性能化の概要を説明できる。3. バイオ・ナノテクノロジーを駆使した新機能物質の創成技術の概要を説明できる。4. 有機系機能物質の開発における諸問題を議論できる。
無機機能化学は、金属、セラミックス、有機無機複合材料の合成および物性評価の基礎となる学問分野であり、我が国のものづくりを支える基盤であると言える。無機機能化学においては、無機固体化学、固体電気化学などを総合的に学び、現代産業を支える金属およびセラミックスの合成および物性などに関する知識を修得する。
目標●1. 無機物質の構造および成り立ちを説明でき、これに関する演習問題を解くことができる。2. 無機物質の物性を説明でき、これに関する演習問題を解くことができる。3. 固体電気化学を説明でき、これらに関する演習問題を解くことができる。4. 無機機能物質の社会における役割を説明することができる。5. 無機機能物質の特性を生かしたプロセスやデバイスを提案することができる。
有機化学における反応を理解する上で,有機分子における電子論の果たす役割は大きい。本科目ではこれまでに学んだ有機化学の知識について,有機電子論の観点からその反応機構を理解し,反応の制御や条件設定に必要な知識として習得する。また,有機合成における反応経路策定および反応解析について,実習を通じて学ぶ。
目標●1. 共有結合における分極を有機電子論の観点から説明できる2. I効果とE効果が分子の性質に与える影響を説明できる3. 置換・脱離・付加反応を有機電子論の観点から説明できる4. 有機合成における反応経路を,有機電子論の観点から考えることができる。
合理的な行動システムである人間および動物の行動を理解し、その基盤となっている神経系やホルモン系の構造と機能およびそれらの分子的基盤について学ぶ。さらに、生理的な側面だけでなく、なぜそのような行動がわれわれの身についたのかという進化的な側面についても学ぶ。認識や理解、判断などは次世代の情報処理技術を開発する上で不可欠な機能であるが、未だ工学的に有効な解決法は得られていない。これまでの脳の構造と機能に関する研究が今日の情報処理技術の開発に結びついた応用例について学ぶとともに、最新の細胞間、さらには細胞内の情報伝達機構の理解を通して、次世代に求められる新技術の開発の可能性を探る。運動機能の補助や1部の脳機能の代行を目指すBrain Machine Interfaceについても学ぶ。
目標●1. 細胞内、および細胞間の情報伝達機構を、認識や判断などの脳における情報処理様式と関連づけて説明する事ができる。2. 次世代の情報処理技術が、生命が行う情報処理に根ざしたものになる可能性を具体例を示しながら議論することができる。3. 現在の生命科学における理解があれば、実現可能な技術と、実現困難と考えられる技術とを、根拠をあげて説明できる。4. 脳機能の補助や代行を目指す技術がもたらすであろう恩恵と問題点を、例を用いて説明する事ができる。
バイオ・化学の学問領域において、物質を取り扱う化学サイドからの取り組みは原子・分子の性質を議論するところから始まる。応用化学特論においては、無機機能化学、有機機能化学、環境化学、さらにはバイオあるいはナノテクノロジーの基盤となる量子化学、すなわち量子力学による原子、分子、化学結合の取り扱いについて学ぶ。さらに計算機とプログラムの進歩によって、実験科学者が個別の対象について量子化学計算を行い、定量的な予測のもとで実験を進めることも一般的になっている。本科目では量子化学を応用できるようになるために計算機シミュレーションの実習も行う。
目標●1. 原子および分子について量子化学的観点から理解でき、説明することができる。定性的あるいは定量的な説明のための量子化学計算ができる。2. 有機化合物の構造と性質を分子レベルで理解でき、説明することができる。3. 化学反応について、熱力学および反応速度論的な立場から理解でき、計算および説明することができる。4. ナノテクノロジー、機能性薄膜などについてその機能性質を分子レベルで理解でき、説明することができる。
バイオテクノロジーが急速な進歩を遂げる中で、その関連技術を実験により実践することで、社会での技術者としての擬似体験が可能となる。講義を交え、バイオ工学を理解する上で必要な微生物のスクリーニング・酵素の評価・キメラプラスミドの形質転換・プラスミドの回収・分泌タンパク質の判定方法などについて学習する。これは、実際に有用な微生物あるいはタンパク質を自然界より選択し、遺伝子工学技術による酵素生産を行う一般的な内容となっている。その際、修得した知識を用いて自ら実験目的に沿った実験計画を立案し、得られた実験結果を考察することで、バイオ工学を総合的に学習する。
目標●1. 微生物実験を行うための安全・ルールを理解し、定められた服装で作業手順通りに、安全に実験を行うことができる。2. 目的の酵素を商品からスクリーングして、酵素の評価・特定ができる。3. 遺伝子工学的手法により既知遺伝子をクローニングして、形質転換体よりプラスミドの回収や分泌酵素の測定ができる。4. 制限酵素やアガロースゲル電気泳動によるキメラプラスミドの解析ができる。5. 実験手順・結果を的確に記録し、定められた形式で実験レポートを作成し、口頭発表により第三者に説明ができる。
応用化学統合特論は、講義と実験とを組み合わせたモジュール科目であり、その内容は環境化学系と機能化学系の2つの要素の講義・実験から構成されている。環境化学系の講義・実験では、水質保全のために必要な環境水の水質調査法と得られた水質データの解析法と環境化学的意義を講義あるいはセミナー形式で学んでいく。機能化学系の講義・実験では機能性材料について採り上げ、材料の特性評価法について学ぶと共に、機能を最大限に発揮させるような試料作製条件の探索を実習を通じて実践する。
目標●1. 化学種の特性に応じた環境試料の採取方法と保存方法について理解し、説明できる。2. 環境試料中の有害化学種の捕集除去に必要な技術である溶媒抽出法が正確に操作でき、関連する研究開発に関わる課題の解決方法を提案することができる。3. 機能性材料の機能に応じた分析手段、評価方法を提案することができる。4. 期間、資源の制約のもとで試料作製、分析、評価のプロセスを計画し実行できる。
産業界における企業のさまざまな活動について理解し、自らが専攻する専門の領域に加え、幅広い専門知識の必要性を学ぶ。具体的には、経営品質の観点から「顧客本位に基づく卓越した業績を残す企業」のあり方、ならびにその企業の活動に対するエンジニアの関わり方について理解を深め、実社会の中で複雑に絡み合う専門領域の実情を学習する。これにより、自らが思い描く現時点のキャリア像を、社会から必要とされる技術者像へと近づけていくことが可能となる。また、社会から必要とされる社会人基礎力について学び、そこに示される指標に基づいた自己分析を行う。
目標●顧客本位に基づく卓越した業績を残す企業の特徴について説明する事ができる。企業の発展に寄与するエンジニアの役割について理解できる。社会人基礎力に基づいた自己分析を行うことができる。
実際の企業の業務体験や、企業が提供する課題の解決案の提案などの業務を行うことにより、仕事の進め方や企業の技術者として要求される知識・技術や人間力(社会人基礎力)などについての理解を深める。そして、自分が修得している知識、技術および人間力と企業の業務遂行上必要な知識、技術の深さと広がり、および人間力の内容とレベルの相違を認識し、今後自分が修得もしくは磨くべき項目を深く理解する。また、企業の社員との交流などから、業務の遂行に必要な人間関係の重要性を理解する。就業体験を参考に大学院の修学計画を立案し、自分のキャリアデザインを再検討する。
目標●インターンシップ先の企業概要が理解できる。的確な就業体験計画が立案できる。体験に必要な予備知識を調査し、事前学習を行うことができる。業務体験や提供された課題の解決案を作成できる。作業実施記録や実施報告書を作成し、発表または報告ができる。就業体験を基に大学院の修学計画を立案できる。
バイオ・化学の分野においては、バイオおよび化学の融合技術の産業応用を目指して、つねに新しい技術が開発されている。これら先端的な技術について学んでいき、研究開発の動きを理解することが専門技術者として必須となる。本講義においては、専攻の基盤あるいは応用科目でカバーすることができないバイオ工学の先端領域における研究開発のトピックスについて学んでいくとともに、研究開発の基盤をなす工学あるいは理学の知識を、実例を学びながら再度整理していき、自らの学問体系を確立していく。
目標●1. 応用バイオあるいは応用化学の社会における位置づけや役割を説明することができる。2. 応用バイオあるいは応用化学の分野における研究開発あるいは技術開発の状況を説明することができる。3. 応用バイオあるいは応用化学の分野における技術開発あるいは研究開発課題を自ら調査することができる。4. 学習した知識を自らの修士研究に生かすことができる。
バイオ・化学の分野においては、バイオおよび化学の融合技術の産業応用を目指して、つねに新しい技術が開発されている。これら先端的な技術について学んでいき、研究開発の動きを理解することが専門技術者として必須となる。本講義においては、専攻の基盤あるいは応用科目でカバーすることができない応用化学の先端領域における研究開発のトピックスについて学んでいくとともに、研究開発の基盤をなす工学あるいは理学の知識を、実例を学びながら再度整理していき、自らの学問体系を確立していく。
目標●1. 応用バイオあるいは応用化学の社会における位置づけや役割を説明することができる。2. 応用バイオあるいは応用化学の分野における研究開発あるいは技術開発の状況を説明することができる。3. 応用バイオあるいは応用化学の分野における技術開発あるいは研究開発課題を自ら調査することができる。4. 学習した知識を自らの修士研究に生かすことができる。
バイオ・化学の分野においては、バイオおよび化学の融合技術の産業応用を目指して、つねに新しい技術が開発されている。これら先端的な技術について学んでいき、研究開発の動きを理解することが専門技術者として必須となる。本講義においては、専攻の基盤あるいは応用科目でカバーすることができないバイオ工学および応用化学融合領域における研究開発のトピックスについて学んでいくとともに、研究開発の基盤をなす工学あるいは理学の知識を、実例を学びながら再度整理していき、自らの学問体系を確立していく。
目標●1. 応用バイオあるいは応用化学の社会における位置づけや役割を説明することができる。2. 応用バイオあるいは応用化学の分野における研究開発あるいは技術開発の状況を説明することができる。3. 応用バイオあるいは応用化学の分野における技術開発あるいは研究開発課題を自ら調査することができる。4. 学習した知識を自らの修士研究に生かすことができる。
この科目においては、受講学生の所属する専修科目担当教員以外の大学院担当教員の下で、一定期間(2単位相当分)研究活動を行う。その内容は、それぞれの担当教員の専門領域であり、それぞれ定める。この研究活動を通して、狭い研究領域にとどまらず広い視野の下に既存の科学技術あるいは研究領域の融合、新しい領域の開拓に対処できる能力の獲得を目指す。特に、実際の産業において活用できるような総合的な知識と応用力を身につける。
バイオテクノロジーは、現在、あらゆる分野で我々の生活を支えている技術である。本研究科目では、菌類や植物、動物細胞、ヒト由来検体を用いて、バイオテクノロジーの基礎技術を修得する。さらに応用として、遺伝子改変や遺伝子発現制御、タンパク質発現制御、また、画像処理を用いた生細胞の観察や生体機能計測方法、遺伝子解析におけるデータ処理方法について学び、生命現象に関する研究に取り組む。
目標●1. 本質・真理をつねに大事にし、客観的に追求することができる。2. 未知のもの、わからないことに、好奇心をもって取り組むことができる。3. 世界に先駆ける基礎・応用研究に貢献し、関連技術を修得しようと努力することができる。4. 研究成果を論文にまとめるとともに、口頭発表などにより、社会に公表することができる。5. 豊かな人間力を持つ高度専門技術者・研究者として活動することができる。
われわれの脳や神経系は、自然が長い年月をかけて淘汰を繰り返して作り上げた高度な情報処理システムである。膨大な数のニューロンによって形成された脳が、外界からの感覚情報を抽出・処理し、行動出力として運動系を制御する仕組みについて理解し、その工学的応用を目指す。ヒトやサルの高度に発達した脳ばかりでなく、昆虫などの微小脳をも対象として、分子・細胞レベルでの解析および心理物理・脳機能イメージングの手法で研究に取り組む。
目標●1. 感覚情報の符号化と調節について説明できる。2. 人間と動物の運動調節について、比較しながら説明できる。3. 神経系の特異性と可塑性について説明できる。4. 脳機能を支えている物質的基礎について説明できる。5. 脳および神経系の発生と発達について説明できる。6. 学習、記憶、認知、情動といった高次脳機能についての最近の知見を説明できる。7. 脳機能に関わる複数の英語文献を調査し、口頭発表により第三者に説明できる。
環境化学は、地球環境における物質とエネルギーの循環ならびに挙動、およびそれらに連携して引き起こされる化学反応を解明する学問である。本科目では、環境汚染の原因解明と健全な環境の保全を目的として、物質とエネルギーの環境中での循環および挙動の解析法、ならびに環境汚染物質の除去システムあるいは環境保全のための新しい手法の開発に関する先端的な研究を行う。
目標●1. 環境化学の領域における自らの研究の学問的位置づけと意義を、文章化して説明することができる。2. 研究の位置づけと意義の理解に基づき、研究計画を提案できる。3. 研究遂行に必要な機器操作や実験操作を正確に行うことができる。4. 研究テーマに関連した文献を、自ら探すことができる。5. 文献調査の結果などと合わせて、得られた実験結果を化学的に考察することができる。6. 研究成果を口頭発表などにより、社会に公表することができる。
有機・高分子機能化学は現代のあらゆる産業を支える基盤学問である。本科目においては、有機機能物質や高分子材料の高機能・高性能化、あるいは全く新しい機能を有する次世代型の機能物質の創成に関する研究を行う。さらにバイオテクノロジー、無機化学、環境化学に関連する技術と融合させて環境調和・環境修復型の新素材の開発、繊維、食品、衛生、医療・構造材料分野で必要となる人に優しい新機能物質やそれらを複合化した新素材の高度な研究開発を行う。
目標●1. 有機化合物や高分子材料に関する最新の研究動向を把握し、自らの研究の意義、社会へのインパクトについて説明できる。2. 有機機能物質や高分子材料の高性能化に関する研究計画、あるいはバイオテクノロジーとの融合領域における研究計画を立て、それらをプロポーザルとしてまとめることができる。3. 研究成果を学術論文としてまとめるとともに、国内および国際会議での発表により社会に公表することができる。4. プロジェクトリーダとして、研究指導をおこなうことができる。
無機機能化学は、有機・高分子機能化学とともに現代の先端産業を支える基盤学問である。本科目においては、既存の無機機能化学を、有機機能化学、ナノテクノロジー、バイオテクノロジーと融合させながら、地球環境や人にやさしいプロセス、物質を創製することを目的として、無機機能化学物質の合成プロセス、物性、プロセス評価手法、物性評価手法に関する高度な研究を行う。
目標●1. 無機機能化学に関する研究の社会における状況についての理解に基づき、自らの研究の位置づけと意義を客観的に文章により説明することができる。2. 研究の位置づけと意義の理解に基づき、自ら研究計画を立てることができる。3. 研究遂行に必要な機器操作や実験操作を正確に行うことができる。4. 得られた研究結果を文献などの調査に基づき、客観的に論ずることができる。5. 研究成果を論文にまとめるとともに、口頭発表などにより社会に公表することができる。6. 自らの知識を基に研究指導を行うことができる。
高度専門技術者や研究者にとって、自らが取り組んでいる研究の置かれている状況を客観的に分析すること、さらなる研究価値を向上させることは重要である。このとき、社会的要請、社会が受ける研究成果によって得られる価値、競合する研究との差別化などを合理的に理解・整理すること、あるいはそれらが考慮された研究を行うことが必要である。さらに企業にあっては国際的な標準化を視野に入れた開発や知財による研究開発の保護などを十分考慮して企業価値を高めることが必須である。本科目は、これらのことを具体的な事例を交えて、企業価値の創造やイノベーションの創出を考え、研究活動に結びつける手法について学ぶ。
目標●社会要請、社会が受ける研究成果によって得られる価値、他の研究との差別化、または国際的な標準化に対する位置付け、知財による研究開発の保護などの企業価値と直結する内容について学び、研究活動に活かすことを目的とする。
バイオ・化学分野では、iPS 細胞の例を引くまでもなく、旧来の教科書が書き換えられる程のブレークスルーが相次いでいる。現在、大発見とその波及効果で急速に技術が進展している状況にあり、最先端の研究を遂行するためには、常に最新の研究動向を注視する必要がある。当科目においては、バイオ・化学分野における最先端の研究動向を、基盤となる学問体系を整理しながら理解し、博士課程における研究活動に資することを目的とする。外国語による情報収集、ディスカッション、プレゼンテーション、報告書作成などのトレーニングをアクティブラーニング形式で実施する。
目標●①自分の研究分野において、科学的に未解明の領域の全体像を把握し、解明のための方法論を提案できる。②自分の研究分野において、社会的に必要とされている技術を把握し、技術開発のための方策を提案できる。③社会に貢献できる具体的な研究テーマを探索し、設定することができる。
この科目では、「特殊研究」で行う研究テーマと関連のある研究や技術開発を行っている民間企業(あるいは、公的研究機関)に長期間(3 ヶ月以上)滞在し、組織の中で実践される研究・開発のプロセスについて理解を深めると共に、一人の研究・開発者として組織に貢献することを目指し、就業体験を行う。派遣先企業(あるいは公的研究機関)は、本学にある研究所や、「特殊研究」の指導教員との共同研究及び受託研究を基盤に、密接に連携している企業(あるいは公的研究機関)の中から、派遣先の意向も考慮して決められる。
目標●1. 自らの専門研究分野について、最先端の現場で行われている研究・技術開発について理解できる。2. 就業体験において提供された課題を深く理解し、具体的な解決策を立案し、実際に試行することができる。3. 就業体験を基に大学院での残りの期間の研究計画・修学計画を立案できる。