1.事業概要

ICT・IoT・AIの先端技術を活用して新たな里山都市を創生!

「ICT・IoT・AIの先端技術を活用して新たな里山都市を創生する大学」 と言うブランド確立を目指し、我が国の重要課題である過疎地を研究フィールドとした 「里山都市」において、産業界・自治体とともに本学研究所群が持つ多様な要素技術を集結した産学連携型研究を進める事で、 里山都市の新たな機能(ライフスタイル)創生を行い、地域に貢献する理工系総合大学として、 地方創生イノベーションの実現と社会への価値発信に取り組みます。

私立大学研究ブランディング事業とは

学長のリーダーシップの下、優先課題として全学的な独自色を大きく打ち出す研究に取り組む私立大学等に対し、 経常費・施設費・設備費を一体として重点的に支援する事業です。 平成28年度は各大学から198件の申請があり、その中から選定されたのは金沢工業大学の 『ICT・IoT・AIの先端技術を活用した地方創生』をはじめ40件(タイプA:17件、タイプB:23件)でした。 本事業はタイプA(地域の経済・社会、雇用、文化の発展や特定の分野の発展・深化に寄与する研究)とタイプB (先端的・学際的な研究拠点の整備により、全国的あるいは国際的な経済・社会の発展、科学技術の進展に寄与する研究) の2タイプがあり、本学が申請したタイプAは129校の申請校の中から17校が選定されました。

事業計画書(PDF)

2.事業内容

◇背景

本学が所在する石川県の産業は、全国の地方都市同様にものづくり企業がベースに位置づけられていますが、 ICT企業の集積が高いことやニッチトップ企業が多い地域としての特色も有しています。しかしながら、 次代を担う新たなニッチ企業やビジネスを創出する企業の機運が高まらず、結果として首都圏ビジネス、 国内メーカー、公共事業等に依存する産業構造となっております。今後、地方都市が存続していくためには、 その地方都市の経済を担う産業が従来の依存型ビジネスに頼るだけではなく、イノベーション創出型ビジネスとの両輪による ハイブリッドなビジネス展開を推進しなければなりません。また、地方が抱えるもう一つの課題として過疎地における人口減少に伴い、 社会インフラの維持、安全安心な暮らしを守り続けることが困難になることが予想されます。このような状況の中、 平成28年度新学長体制のもと、「世代・分野・文化を超えた共創教育研究」の推進と開学以来掲げる建学の理念である 「人間形成」、「技術革新」、「産学協同」の更なる強化を図るために、これまで個々の企業ニーズに応じた産学連携研究の推進から、 地域を支える産業界全体との協同・共創による産学連携イノベーション研究の推進へと大きく踏み出します。

◇中山間部の過疎地を「里山都市」という新たな価値を有した都市へ変革

本学は、イノベーション創出を支援すべく、平成29年に過疎地域と呼ばれる白山市中山間部に新たに建設する 金沢工大白山キャンパスに新たな研究所を設立します。過疎地域への研究機能の進出を決定した最大の理由は、 既存の経済圏に捉われず、大都市から一線を画した場所が、未来志向に基づいた新たな都市を創造するをテーマとしたイノベーションの創出に最も効果的であると捉えたからです。また、過疎という危機的な状況を打開するためには、 既存の人々の豊かな生活を支える自然や街・コミュニティといった重要な里山の機能を保ちつつ、安心・安全の暮らしを実現するために 地域防災・エネルギー・教育・福祉・医療・産業振興といった分野のライフスタイルを変革し、安心・安全の暮らしを実現することが求められています。これらを踏まえ、地方都市におけるイノベーション創出及びライフスタイル変革のフィールドとなる新たな街を 「里山都市」として位置づけ、その必要性を地元産業界・地域社会・自治体の方々と共有し、都市そのものを研究対象とすることで、 地元産業界の新たなイノベーションに向けたチャレンジを喚起する実践的な産学連携研究を推進していきます。

◇新たな里山都市の実現に向けて展開する都市研究レイヤー

本事業では、都市の機能と構造を情報、生活、医療と福祉、教育と文化、自然と災害といった人との関わりの中で切り分けるのではなく、ICT・IoT・AIの先端技術を活用する4つの層に分け、各層間のつながりから「新たな里山都市を創生する」という、全く新しい取組み方です。そこで生み出された多様な研究領域の中から地元産業界と共にイノベーションに向けた産学連携による活動を実践します。各層における研究概要は以下の通りです。

  • ① 都市インフラ層(空間情報技術を活用した国土データインフラ整備)  空間情報技術を用いた地形3Dデータとオープンデータや自治体データ、さらにセンサーを活用した都市のリアルタイムデータから都市の状態把握を行い、可視化する仕組みを研究します。
  • ② 都市プラットホーム層(データに基づく都市の機能別プラットフォームの開発)
  •  都市インフラ層のデータを、都市の機能毎に必要なデータとして取りまとめるために、収集したデータをデータマイニング等の分析技術を用いて、都市の各機能に対して付加価値の高いデータとして提供する取組みや、後述する都市アプリケーション層の都市アプリケーション構築に必要なデータを準備するためのスクリーニングやナレッジの蓄積をAI等の技術を用いて行う研究を推進します。
  • ③ 都市アプリケーション層(新たな里山都市のライフスタイルを支えるアプリケーション開発)
  •  新たな都市機能として必要なアプリケーションの開発を行います。研究テーマの設定は、先の①、②によるデータ分析を踏まえて、人と文化・生活・自然さらに科学技術と経済が調和する近未来里山都市のあるべき姿を地域社会と共に創造し、そこで必要とされる具体的なアプリケーションの開発に取り組みます。
  • ④ 都市ユーザーエクスペリエンス層(感性評価に基づくユーザーインターフェースの開発)
  • 里山が持つ重要な機能を単に維持するのではなく、更なる豊かさの表現につなげていく取組みを進めます。
  • ◇研究成果の把握

    平成28年度に就任した新学長は、イノベーション創出に向けた「世代・分野・文化を超えた共創教育研究の推進」を新たなビジョンとして掲げております。 「新たな里山都市の創生」を基軸においた産学連携によるイノベーション研究の推進は、まさしくこのビジョンを具現化する取り組みとして位置づけられており、 学長自らのリーダーシップの下で全学的に、研究の推進、成果の把握、外部評価を踏まえた評価、改善サイクルの推進を行います。具体的には、 イノベーションに向けた産学連携研究を推進することが最も重要な要素となるため、以下の指標に基づいて本事業の成果を測ります。

    この様に、成果の把握は、本学にとっての研究推進に対する成果のみ把握するものではなく、新たな里山都市の創生に寄与する全てのステークホルダーの取り組みを成果として 把握するものと捉えています。この事業を推進する新たな研究所「里山都市イノベーション研究所」を設置し、研究構成員と共に事業を推進するコーディネーターが研究成果管理を行い、 研究所としての事業推進の自己評価を定期的に確認します。また、自治体・産業界からの外部評価を受けると共に、大学全体の研究運営管理を行う研究支援機構運営委員会において事業全体の点検・評価を行います。

    ◇ブランディングの取組

    ■ステークホルダー全体の成長物語の発信

     本事業は、地方創生を具現化するイノベーション研究事業であると同時に、我が国のイノベーションを支える地方都市の変革モデルを創出する取り組みでもあります。そのため、「ICT・IoT・AIの先端技術を活用した新たな里山都市の創生」を通じた各種研究成果はもちろんのこと、携わる人々の成長や葛藤、意識の変化や感動といったプロセス全体を我が国全体に対して共感を得なければなりません。  そこで、里山都市という研究フィールド全体で繰り広げられる様々な取り組みについて、都市の成長、市民の成長、企業の成長、大学の成長、学生の成長の観点から「物語」として取りまとめ、コンテンツとして発信する仕組みを研究所の機能として構築します。また、これらのイノベーション事業に賛同する首都圏にある企業の誘致や地元企業とのアライアンスを推進するPR活動を自治体と連携して定期的に開催します。  さらに、全国の里山都市を有する自治体や新たなライフスタイルの創造に取り組むイノベーティブ企業が参画する「イノベーション里山都市フォーラム」を毎年開催します。現在整備している里山都市のキャンパスには、外部の方々が宿泊できる機能やフォーラムを開催するホール、デジタルファブリケーションの機能を有した産学連携による研究拠点等を整備する計画となっており、我が国のイノベーションを支える地方都市の変革モデルを国内に広く発信することが可能となります。

    ■地域社会の発展と連動した大学ブランディング

    これらの社会発信の取り組みは、旧来から存在する「固有の研究領域に基づいた大学のブランディング」というものではなく、地方都市における大学の新たな存在価値を明確に示すものです。学長が示す「世代・分野・文化を超えた共創教育研究の推進」に基づいて「我が国の地方創生を支える理工系大学」という価値を明確に示し、「ICT・IoT・AIの先端技術を活用した新たな里山都市を創生する大学」というブランドを確立させることに繋がると認識しております。 文部科学省のCOI STREAM事業、大学改革推進事業やオープンリサーチ研究等、これまで本学が取り組んできた地域社会と連携した教育研究改革による実績と特色を本事業を通じて集約し、学長のリーダーシップの下で確固たる地方都市に根差す大学としての存在価値の確立を目指します。

    3.実施体制

    ■学内及び地域社会のイノベーティブ人材が集う「地方創生研究所」

    本事業を推進する新たな研究所「地方創生研究所」を発足します。この研究所は、以下の8つの研究フェーズを持ち、都市レイヤーの目的に合わせて本学の研究所と地域社会からイノベーション創生に向けて取り組む人材が参集し、研究プロジェクトとして活動する拠点となります。

    研究所所属メンバーは学長を所長とし、副学長(研究担当・教育担当の2名)とコーディネーター(6名)で構成されます。研究担当副学長は、学長のリーダーシップのもと各都市レイヤーで実施する研究プロジェクトが発足されたのち、各研究所からメンバーの選抜調整を行います。また、教育担当副学長は連携協定を締結している自治体との密接な連携推進の役割を担っており、自治体や地域企業、地域住民と調整を行います。さらに、コーディネーターは産学連携局に所属する職員が兼任し、これまで教育研究の両面から地域連携や産学連携を推進してきた実績による人脈や地域社会との信頼関係を本事業に対しても有効に活かしていきます。加えて、研究プロジェクトに参画する教員と地元企業を「地方創生研究所」のメンバーとして位置づけ、地元産業界と共にイノベーションに向けた産学連携による活動を実践します。  外部評価機関として、連携自治体および地元産業界の代表者らを招集し、年1回の外部評価を行います。

    ■自己点検・評価体制

    この事業については単なる研究を推進するということではなく、地域社会と共にイノベーションを推進するという事業であることから、都市全体を「企業体」と捉えた自己点検を推進する必要があります。そのため、里山都市イノベーション研究所において企業経営の自己点検のスタンダードでもあるマルコムボルドリッジ賞で用いられる経営品質のフレームワークを参考に、都市全体の自己点検を行い、持続可能な研究推進体制の確立を行います。また、事業推進は研究プロジェクト毎で行われ、四半期ごとに都市レイヤー間での進捗状況や機能面での連携の確認、レイヤーを統括した都市全体での連携の確認(半年に一度)を行います。さらに、年に一度「イノベーション里山都市フォーラム」を開催し、自治体及び地元産業界の代表による外部評価者や参画企業の責任者、地域社会の方々に対して当該年度の最終成果の報告を行うと共に、第三者評価が行われ次年度以降の研究計画の見直しに活かしていきます。

    4.事業報告

    平成28年度事業進捗報告書(PDF)